一色いろはは挫けない
「こんにちは~」
「いろはちゃん、やっはろー」
「こんにちは、一色さん」
「また、生徒会の仕事か?」
「先輩、何言ってるんですか?生徒会室で二人っきりになりたいんですか?私もやぶさかではないですが、ドキドキが収まらないので、またにしてください。ごめんなさい」
「はいはい。振られた振られた」
「先輩!扱いが雑です!」
「あざといあざとい」
「今日はいろはちゃん、どうしたの?」
「今日は生徒会も終わりましたし、サッカー部は休みなので、ここでゆっくりしようかと…」
「ここは休憩所ではないのだけど…」
「えぇ~、いいじゃん。ゆきのん」
「由比ヶ浜さん、暑いわ。…仕方ないわね」
「雪ノ下、お湯を貰えるか?」
「ええ」
「今日はコーヒーの日なんですね♪」
「あぁ、少し待ってろ」
コーヒーの飲み談笑していると…。
「一色、居るか?」
「平塚先生、ノックを」
「いやぁ、すまんな。おぉ居た居た。生徒会のことなんだがな…」
「これは…。資料が生徒会室なんで…」
「では、生徒会室に行くか。お前達は終わっていいぞ。鍵はここで預かろう」
「では、失礼します」
「じゃあな」
「いろはちゃん、先生、また明日」
「また明日で~す」
「気をつけて帰れよ」
「ねぇねぇ、あのコーヒー屋さん行こうよ」
「美味しいコーヒーもいいわね」
「いいけど、由比ヶ浜、騒ぐなよ」
(何それ!知らない!私も行きたい!)
「一色!どうした?」
「え?急用を思い出しました…」
「何を言ってるんだ!早く生徒会室に行くぞ」
「えぇぇぇ!」
今度、先輩に連れてって貰おうと思った一色いろはでした。
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雪ノ下陽乃の謝罪
先日のやりとりを詫びる為に、コーヒーショップへやってきた。
「お邪魔します」
「いらっしゃい」
「また、来てくれたんだな」
「先日は、大変ご無礼を…」
「なぁ、お嬢さん」
「はい」
「確か、ピアノ弾けたよな?」
「よくご存知ですね」
「うちの店にもピアノがあるんだが、弾き手がいなくてな」
「はい」
「ジャズなんて弾けるかい?」
「はい」
「ちょっと聞かせてもらえないか?それでチャラでどうだい?」
「え、ええ。私は構いません」
ピアノの前に座り一曲弾く…。
「さすがだな」
「いえいえ」
「たまにでいいんだが、ピアノを弾きに来てくれないか?コーヒーぐらいしかサービス出来ないがな」
「是非、弾かせてください」
ダンディな立ち居振舞いと笑顔で、惚れそうになってしまう、雪ノ下陽乃なのでした。
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川崎沙希と雪ノ下陽乃
比企谷は予備校がない日。一人だけど、寄ってみようかな。
「こんばんわ」
「いらっしゃい」
「あ、ピアノ…」
マスターが奥を指差す…。たしか、雪ノ下陽乃さん。ピアノを弾く姿が、とても綺麗。
見惚れていると、弾き終った雪ノ下さんが近づいてくる。
「貴方は比企谷君と一緒に居た…」
「川崎沙希です」
「隣、いいかな?」
「どうぞ」
「この前はゴメンね」
「いえ、大丈夫です」
「ねぇ、川崎さん」
「はい」
「川崎さんは比企谷君のこと、好きなの?」
「い、いや、そんな…」
「顔、真っ赤だよ」
「うぅぅ」
「私はね、比企谷君のこと好きだよ」
「え…」
「だからね、この前はこんなに可愛い娘と一緒に彼が居たからヤキモチ妬いてあんなことに…。妹が…、雪乃ちゃんが好きな男の子だから、どうしていいかわからなくて…」
「わ、私も比企谷のこと好きです。今まで異性を好きになったことがなくて、どうしていいかわからなくて…」
「そっかそっかぁ…。私と川崎さんはライバルだね」
「そう…ですね」
「ライバル多過ぎだよ」
「そうですね。雪ノ下さんみたいな美人ばっかりで」
「『陽乃』でいいよ」
「じゃあ、私も『沙希』で」
「沙希ちゃんだって美人だよ。笑うととっても可愛いしね」
「そ、そんな…」
「じゃあ、そんな沙希ちゃんに一曲プレゼントするよ。マスター、いいかな」
「任せる」
「ありがとうございます」
陽乃さんがピアノを弾き始める。タイトルは知らないけど、どこかで聞いたことのある優しい曲。
マスターが隣に座る。
「マスター、そのグラスは?」
「ウイスキーだ」
「お店は…」
「こんな良いピアノ聞いて仕事してたら、もったいない。もうcloseにしたよ」
「ふふっ。そうですね」
素敵なピアノを聞きながら飲むコーヒーは格別なのでした。