アルバイト2日目。
何故か朝から、川崎と雪ノ下さんが居る…。
「あ!文句あんの?」
「ないです。睨まないでください」
「お姉さんに会えて嬉しいくせに」
「いえ、間に合ってます」
どうやら、雪ノ下さんが川崎の勉強を見ているようだ。
「比企谷君も見てあげようか?」
「遠慮します。後が怖いんで」
「陽乃さん、教え方上手いですね」
「そう?沙希ちゃんの覚えがいいんだよ」
若干の百合空間を眺めていると、昼になる。
「じゃあ、私たちお昼食べに行ってくるね」
マスターのこだわりで食べ物系は、ほぼないこの店。
「坊主、お前も飯にしな」
「ありがとうございます」
すると、お客さんか…。
「いらっしゃいま…。あ!」
「ひ、比企谷君、こんにちは」
「雪ノ下、どうしたんだ?」
「あ、あの、小町さんに聞いたら、ここでアルバイトしてるって…」
「まあな。悪いけど、今から飯なんだ」
「あ、あの…、お、お弁当作ってきたのだけど…」
「へ?」
「あ、貴方、日本語も理解出来ないのかしら?」
「いやいや。言ってる意味がは理解出来るが、理由が理解出来ん。さては、毒入りか?」
「違うわ。小町さんに頼まれて…」
「そっかぁ。小町が無理言って、すまんな」
「その、貴方のアルバイトしている姿も見たかったし…」
「まぁ、俺が働くなんてレアだしな」
「それに、その服が、…格好…て」
「え?なに?よく聞き取れなかったんだが」
「はぁぁぁ」
「マスター、ため息ついて、どうしたんですか?」
「いや、お嬢ちゃん達は大変だな」
「はい、この朴念仁には参ります」
「なんでディスられてるの?」
「わからないなら、気にするな。裏で飯食ってこい」
「うっす」
「私もここで頂くわ」
「お前もここで食うのかよ。てか、弁当はわかるんだが、その大荷物は何?」
「ティーセットよ」
「は?」
「ごめんなさい。紅茶用具一式よ」
「いや、日本語に直さなくてもわかるから。理由がわからんのだが」
「マスター、お湯を頂けるかしら」
「おう、いいぜ」
「マスターに、たまには紅茶を飲んで頂こうかと思ったのよ」
「お、紅茶か。たまにはいいな。お嬢ちゃん、頂くよ」
「はい、少し待ってくださいね」
「どうぞ」
「ん、香り・味共に素晴らしい。お嬢ちゃん、相当練習したんだろ?」
「はい」
「坊主、お前も見習えよ」
「鋭意努力しております」
「理系もそれぐらいやれば、私と同じ…に」
「俺も雪ノ下さんに教えてもらおうかなぁ…」
「え?姉さん?」
「さっきまで、川崎に教えてて、今は昼飯に出ていったぞ」
「なんで川崎さんと…。まあいいわ。比企谷君!」
「なんだ?」
「私が教えてあげるわ」
「いや、お前も受験勉強が…」
「黙りなさい!」
「はい…」
「アルバイトが終わったら、みっちり教えてあげるわ」
「拒否権は?」
「あると思う?」
「ないんですね…。はい、知ってました」
アルバイトの終了時間が憂鬱になる比企谷八幡でした。