珈琲   作:おたふみ

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十八話

アルバイト2日目。雪ノ下の弁当を食べ、午後に備える。

 

「そんなに構えるな。疲れちまうぞ」

「はい。でも、なんかすげぇ見られてるんで…」

「何かしら?」

「なんでもありません」

「そう…」

「なんで帰らないんだよ…」

「何か言った?」

「何でもありませんです、はい」

「よろしい」

 

「マスター、比企谷君、ただいま」

「戻りました」

「あ~!雪乃ちゃんだ!」

「こんにちは、お二人さん」

「どうして、雪ノ下が」

「比企谷君にお弁当を届けにきたのよ。ね、比企谷君」

「あ、え、お、おう」

「ふ~ん、雪乃ちゃんがぁ…」

「ひ、比企谷!」

「お、おう、どうした?」

「あ、明日は私がお弁当作るよ」

「大丈夫よ、川崎さん。私が小町さんから依頼を受けているのだから。ゴールデンウィーク中は毎日、私が届けるわ」

「お、おい、それは悪いから…」

「貴方は黙りなさい」

「比企谷は黙って」

「…はい」

「じゃあ、間を取ってお姉さんが作ってあげる」

「勘弁してください」

「あんまり騒ぐなよ。ほかの客が入りにくくなるだろ」

「すいません」

「すいません」

「すいません」

 

「じゃあ沙希ちゃん、勉強再開しようか。比企谷君、コーヒー頂戴」

「かしこまりました」

「マスター、あとでピアノ弾いてもいい?」

「あぁ」

「ピアノ?」

「奥にあるんだ。雪ノ下さんがたまに弾いてる」

「私も弾いてるみようかしら…」

「雪ノ下も弾けるのか?」

「えぇ、一応…」

「雪乃ちゃんは、お堅いクラシックでしょ?」

「いけないかしら?比企谷君、何かリクエストはあるかしら?」

「リクエスト?そうだな…」

「葬送行進曲でいいかしら?」

「いや、死んでないからね。ゾンビじゃないから」

「あら、違ったの?」

「違うわ!雪ノ下は『猫のワルツ』とか得意そうだな」

「猫…。え、えぇ、弾けるわ」

「マスター、弾いてもいいかしら?」

「いいぞ」

 

♪♪♪♪♪♪

 

「…」

「比企谷君、どうだった?」

「…」

「比企谷君?」

「あ、すまん。見惚れてた…」

「え?」

「あ、いや、違う…、いや違わなくて…、その、すげぇ上手かったぞ」

「そ、そう…」

「雪乃ちゃんも比企谷君も顔が真っ赤だよ」

「…」

「…」

「チッ」

 

「坊主、今日はもういいぞ」

「はい、ありがとうございます。さて、帰るか…」

「比企谷君、何を言っているのかしら?」

「ほら、家で小町が待ってるから…」

「小町さんにはメールで連絡済みよ」

「ですよね…」

 

テーブルを借りて、陽乃さんのピアノをBGMにクタクタになるまで、理系の勉強会になった…。

 




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