アルバイト3日目、午前中は予備校に行き、午後から店へ。
昼飯は雪ノ下が持ってくるとか言ってたからなぁ…。
「お疲れ様です」
「おう、来たな。お嬢ちゃんがお待ちかねだぞ」
「こんにちは、比企谷君」
「うす」
「さぁ、お昼ご飯にしましょう」
雪ノ下の弁当に舌鼓を打ったあと、仕事を始める。
「今日は雪ノ下さんと川崎は来てないんですね」
「姉さんもそんなに暇ではないわ」
「なるほどな。で、雪ノ下は暇なのか?」
「わ、私は…。そ、そう!比企谷君がちゃんと仕事をしてるか、監視してるのよ、奉仕部部長として」
「へいへい。仕事熱心なことで」
しばらくすると、独特な挨拶で元気に入店してくるお客さんが…。
「やっはろー!」
「お客様、静かにお願いいたします」
「ヒッキーが仕事してる…」
「悪いかよ」
「小町ちゃんに聞いた時は、嘘だと思ったらモン」→嘘だと思ったんだモン
「ちゃんとやってるよ」
「あ、ゆきのん!やっはろー!」
「だから、静かに」
「は~い」
「こんにちは、由比ヶ浜さん」
「とりあえず、お前ら座れ」
「ねぇねぇ、ゆきのん」
「なにかしら?」
「ヒッキー、なんか格好いいね」
「え、えぇ。ほんの少しだけね」
「ほい、お待たせ。二人してなんなんだよ」
「そうだ!ゆきのん、ズルイよ!ヒッキーがバイトしてたの昨日から知ってたんでしょ?」
「その…、ごめんなさい。友達を誘うとか、上手く出来なくて…」
「もう、仕方ないなぁ、ゆきのんは。今度は誘ってね」
「ええ、そうさせてもらうわ」
「それと、ヒッキー!明日は私がお弁当作ってあげるね」
「やめてください。死んでしまいます」
「お店に迷惑がかかってしまうわ」
「二人してともヒドイ!」
「由比ヶ浜さん、一緒に作りましょう」
「やったー!ゆきのん大好き!」
「雪ノ下、一曲弾いてやれよ」
「そうね」
「一曲?」
「奥にピアノがあるんだよ」
「へ~、知らなかった」
「俺もまったく気がつかなかった」
「何がいいかしら?」
「『子犬のワルツ』なんてどうだ?由比ヶ浜にぴったりだと思うが」
「子犬のワルツ?」
「俺はマンガ読んで知ったけど、なかなか軽快な曲だぞ」
「へぇ」
「興味深いマンガね」
「雪ノ下、頼む」
「ゆきのん、お願い」
「ええ、いいわよ」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「ゆきのん、すご~い!」
「さすが雪ノ下だな」
「そ、そうかしら」
「そうだ!ヒッキー、写真撮らせて」
「断る」
「えぇ~、いいじゃん」
「なんで、俺なんかの写真が撮りたいんだよ」
「だって、いろはちゃん誘ったら旅行中でゴールデンウィークは来れないから、写真送ってって」
「比企谷君、観念しなさい」
「わかったよ」
「ヒッキー、もうちょっと笑ってよ」
「嫌だね。俺が笑うとキモイとか言われかねん」
「もう!撮るよ」
「ゆ、由比ヶ浜さん」
「なに?」
「わ、私にも送ってもらえないかしら」
「うん、いいよ」
「何こそこそ話してんだよ」
「ヒッキー、女子トークに絡むとかキモイ!」
「盗み聞きしないでくれるかしら、盗聴谷君」
「へいへい。悪うございました」
「おう、坊主。今日はいいぞ」
「はい、お疲れ様です」
「さぁ、比企谷君始めましょうか」
「あ、やるのね…」
「ゆきのん、何するの?」
「今から、理系をみっちりと教えるのよ」
「あ、由比ヶ浜も一緒にやるか?」
「あ~!私、用事思い出した。じゃあね、ゆきのん、ヒッキー」
「逃げた…」
「逃げたわね…」