珈琲   作:おたふみ

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十九話

アルバイト3日目、午前中は予備校に行き、午後から店へ。

昼飯は雪ノ下が持ってくるとか言ってたからなぁ…。

 

「お疲れ様です」

「おう、来たな。お嬢ちゃんがお待ちかねだぞ」

「こんにちは、比企谷君」

「うす」

「さぁ、お昼ご飯にしましょう」

 

雪ノ下の弁当に舌鼓を打ったあと、仕事を始める。

 

「今日は雪ノ下さんと川崎は来てないんですね」

「姉さんもそんなに暇ではないわ」

「なるほどな。で、雪ノ下は暇なのか?」

「わ、私は…。そ、そう!比企谷君がちゃんと仕事をしてるか、監視してるのよ、奉仕部部長として」

「へいへい。仕事熱心なことで」

 

しばらくすると、独特な挨拶で元気に入店してくるお客さんが…。

 

「やっはろー!」

「お客様、静かにお願いいたします」

「ヒッキーが仕事してる…」

「悪いかよ」

「小町ちゃんに聞いた時は、嘘だと思ったらモン」→嘘だと思ったんだモン

「ちゃんとやってるよ」

「あ、ゆきのん!やっはろー!」

「だから、静かに」

「は~い」

「こんにちは、由比ヶ浜さん」

「とりあえず、お前ら座れ」

 

「ねぇねぇ、ゆきのん」

「なにかしら?」

「ヒッキー、なんか格好いいね」

「え、えぇ。ほんの少しだけね」

 

「ほい、お待たせ。二人してなんなんだよ」

「そうだ!ゆきのん、ズルイよ!ヒッキーがバイトしてたの昨日から知ってたんでしょ?」

「その…、ごめんなさい。友達を誘うとか、上手く出来なくて…」

「もう、仕方ないなぁ、ゆきのんは。今度は誘ってね」

「ええ、そうさせてもらうわ」

「それと、ヒッキー!明日は私がお弁当作ってあげるね」

「やめてください。死んでしまいます」

「お店に迷惑がかかってしまうわ」

「二人してともヒドイ!」

「由比ヶ浜さん、一緒に作りましょう」

「やったー!ゆきのん大好き!」

「雪ノ下、一曲弾いてやれよ」

「そうね」

「一曲?」

「奥にピアノがあるんだよ」

「へ~、知らなかった」

「俺もまったく気がつかなかった」

「何がいいかしら?」

「『子犬のワルツ』なんてどうだ?由比ヶ浜にぴったりだと思うが」

「子犬のワルツ?」

「俺はマンガ読んで知ったけど、なかなか軽快な曲だぞ」

「へぇ」

「興味深いマンガね」

「雪ノ下、頼む」

「ゆきのん、お願い」

「ええ、いいわよ」

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

「ゆきのん、すご~い!」

「さすが雪ノ下だな」

「そ、そうかしら」

 

「そうだ!ヒッキー、写真撮らせて」

「断る」

「えぇ~、いいじゃん」

「なんで、俺なんかの写真が撮りたいんだよ」

「だって、いろはちゃん誘ったら旅行中でゴールデンウィークは来れないから、写真送ってって」

「比企谷君、観念しなさい」

「わかったよ」

「ヒッキー、もうちょっと笑ってよ」

「嫌だね。俺が笑うとキモイとか言われかねん」

「もう!撮るよ」

 

「ゆ、由比ヶ浜さん」

「なに?」

「わ、私にも送ってもらえないかしら」

「うん、いいよ」

「何こそこそ話してんだよ」

「ヒッキー、女子トークに絡むとかキモイ!」

「盗み聞きしないでくれるかしら、盗聴谷君」

「へいへい。悪うございました」

 

「おう、坊主。今日はいいぞ」

「はい、お疲れ様です」

「さぁ、比企谷君始めましょうか」

「あ、やるのね…」

「ゆきのん、何するの?」

「今から、理系をみっちりと教えるのよ」

「あ、由比ヶ浜も一緒にやるか?」

「あ~!私、用事思い出した。じゃあね、ゆきのん、ヒッキー」

「逃げた…」

「逃げたわね…」

 

 

 


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