アルバイト4日目。
「マスター」
「なんだ?」
「この店、女性客こんなに多かったんですか?」
「いや、オッサンばっかりだったがな」
「いやいや、オッサン肩身が狭そうなんですけど」
「いらっしゃいませ」
「あ、ヒキオじゃん」
「ヒキタニ君、はろはろ~」
「どうしたん?」
「バイト中だ」
「ヒキタニ君、バイトしてたんだね」
「まあな。そこ空いてるから、どうぞ」
「ん~」
「ご注文は?基本、ブレンドが多いけどな」
「ケーキとかはないの?」
「ないな」
「ふ~ん、じゃあブレンドで」
「はいよ」
「お待たせ」
「ねぇ、ヒキオ」
「あん?」
「ここにイケメンの店員が居るってウワサがあるんだけど、知らない?」
「ん?マスターと俺しか居ないからな。ガセだな」
「マスターとヒキタニ君、キマシタワー!!」
「姫菜、擬態しろし!」
「でも意外だな。葉山一筋の三浦がミーハーだとは思わなかった」
「あーしも、一応チェックしないとね」
「リア充の話題作りか。大変だな」
「すいませ~ん」
「悪いな。ゆっくりしてくれ」
「あんがと」
「ねぇねぇ、優美子」
「どうした?」
「ヒキタニ君、すごい笑顔で接客してるよ」
「なんか教室と違う…」
「それと、私達すごい睨まれてる…」
「な、なんで?」
「ウワサのイケメンて、ヒキタニ君なのかな?」
「まさか…」
「もう一回呼んでみればわかるかも…」
「ねぇ、ヒキオ」
「ん、なんだ」
「コーヒーおかわり」
「はいよ」
「やっぱり睨まれた…」
「じゃあ、ウワサのイケメンて…」
「ヒキオ!」
「ヒキタニ君!」
「こんにちは、比企谷君」
「やっはろー!」
「いらっしゃいませ」
「休憩してこい」
「はい、ありがとうございます」
「この玉子焼き、ジャリって…。由比ヶ浜か…」
「えへへ」
「いや、えへへじゃねぇから」
「この唐揚げは雪ノ下か」
「ええ、そうよ」
「旨いな。さすがだよ」
「むぅぅぅ」
「ほれ、食ってみろ」
「あ~ん」
「なにやってるの?」
「食べさせて」
「何言ってるの?」
「早く!あ~ん」
「わかったよ、ほれ」
「ぱくっ。えへへ」
「で、なんで雪ノ下は口開けてんだ?」
「ゆ、由比ヶ浜さんにやったのだから、私にも…」
「ほれ」
「あ~ん。…うふふ」
「ん?どうした?」
「比企谷君とこんなことする日が来るなんて、うふふ」
「そういえば、三浦と海老名さんが来たぞ」
「優美子と姫菜が?」
「なんか、この店にイケメン店員がいるってガセネタが出回ってるらしい」
「それで、女性客が多いのね」
「なんで、そんなガセネタが出回ったんだろうな」
「…」
「…」
「ん?なんだ?」
「なんでもない」
「なんでもないわ」
「それと、夕方ぐらいから、雪ノ下さん目当てのオッサンが増える」
「姉さんは、そんなに頻繁に来てるの?」
「結構来てるな。来てピアノ弾いてる。オッサン達は見惚れるからな」
「…貴方はどうなの?」
「まぁ、あれだけの美人が弾いてれば見るな。雪ノ下が弾いてる時にも…。なんでもない」
「何?何?」
「何かしら?」
「自分でもキモイと思ったから、言わない」
「ヒッキー、気になる!」
「さぁ、言いなさい!」
「仕事に戻らなきゃ」
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何か長編になってきてしまいました(汗)
お付き合いありがとうございます。