珈琲   作:おたふみ

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二十話

アルバイト4日目。

 

「マスター」

「なんだ?」

「この店、女性客こんなに多かったんですか?」

「いや、オッサンばっかりだったがな」

「いやいや、オッサン肩身が狭そうなんですけど」

 

「いらっしゃいませ」

「あ、ヒキオじゃん」

「ヒキタニ君、はろはろ~」

「どうしたん?」

「バイト中だ」

「ヒキタニ君、バイトしてたんだね」

「まあな。そこ空いてるから、どうぞ」

「ん~」

「ご注文は?基本、ブレンドが多いけどな」

「ケーキとかはないの?」

「ないな」

「ふ~ん、じゃあブレンドで」

「はいよ」

 

「お待たせ」

「ねぇ、ヒキオ」

「あん?」

「ここにイケメンの店員が居るってウワサがあるんだけど、知らない?」

「ん?マスターと俺しか居ないからな。ガセだな」

「マスターとヒキタニ君、キマシタワー!!」

「姫菜、擬態しろし!」

「でも意外だな。葉山一筋の三浦がミーハーだとは思わなかった」

「あーしも、一応チェックしないとね」

「リア充の話題作りか。大変だな」

「すいませ~ん」

「悪いな。ゆっくりしてくれ」

「あんがと」

 

「ねぇねぇ、優美子」

「どうした?」

「ヒキタニ君、すごい笑顔で接客してるよ」

「なんか教室と違う…」

「それと、私達すごい睨まれてる…」

「な、なんで?」

「ウワサのイケメンて、ヒキタニ君なのかな?」

「まさか…」

「もう一回呼んでみればわかるかも…」

「ねぇ、ヒキオ」

「ん、なんだ」

「コーヒーおかわり」

「はいよ」

 

「やっぱり睨まれた…」

「じゃあ、ウワサのイケメンて…」

「ヒキオ!」

「ヒキタニ君!」

 

「こんにちは、比企谷君」

「やっはろー!」

「いらっしゃいませ」

「休憩してこい」

「はい、ありがとうございます」

 

「この玉子焼き、ジャリって…。由比ヶ浜か…」

「えへへ」

「いや、えへへじゃねぇから」

「この唐揚げは雪ノ下か」

「ええ、そうよ」

「旨いな。さすがだよ」

「むぅぅぅ」

「ほれ、食ってみろ」

「あ~ん」

「なにやってるの?」

「食べさせて」

「何言ってるの?」

「早く!あ~ん」

「わかったよ、ほれ」

「ぱくっ。えへへ」

「で、なんで雪ノ下は口開けてんだ?」

「ゆ、由比ヶ浜さんにやったのだから、私にも…」

「ほれ」

「あ~ん。…うふふ」

「ん?どうした?」

「比企谷君とこんなことする日が来るなんて、うふふ」

 

「そういえば、三浦と海老名さんが来たぞ」

「優美子と姫菜が?」

「なんか、この店にイケメン店員がいるってガセネタが出回ってるらしい」

「それで、女性客が多いのね」

「なんで、そんなガセネタが出回ったんだろうな」

「…」

「…」

「ん?なんだ?」

「なんでもない」

「なんでもないわ」

「それと、夕方ぐらいから、雪ノ下さん目当てのオッサンが増える」

「姉さんは、そんなに頻繁に来てるの?」

「結構来てるな。来てピアノ弾いてる。オッサン達は見惚れるからな」

「…貴方はどうなの?」

「まぁ、あれだけの美人が弾いてれば見るな。雪ノ下が弾いてる時にも…。なんでもない」

「何?何?」

「何かしら?」

「自分でもキモイと思ったから、言わない」

「ヒッキー、気になる!」

「さぁ、言いなさい!」

「仕事に戻らなきゃ」




―――――――――――――

何か長編になってきてしまいました(汗)
お付き合いありがとうございます。

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