珈琲   作:おたふみ

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二十一話

ゴールデンウィーク最終日。

勉強とアルバイトの毎日…。やっぱり、あの両親の息子…。

 

今朝は小町に髪型をセットしてもらった。

 

「おはようございます」

「おう、おはよう。いいな、その髪型」

「ありがとうございます。妹にやってもらいました」

「今日も頼むぞ」

「はい」

 

「いらっしゃいませ」

「あ、比企谷…」

「おぅ、相模か」

「なんで、比企谷がここに…」

「バイトだよ。…あ~、相模」

「何?」

「ウワサを聞いて来たなら、ここにはイケメンはいないからな」

「そう…なんだ」

「無理して居なくてもいいからな」

「せっかく来たから、コーヒー頂戴」

「はいよ。カウンターでいいか」

「うん」

 

「はい、お待たせ」

「ありがと」

「え~と、相模…」

「何?」

「その…。文化祭では、悪かったな」

「え?」

「あのな、あれはワザとやったんだ…」

「どういうこと?」

「閉会式のセレモニーに相模が居なかったら、文化祭は成功とはいえないだろ?今まで頑張ってた連中が可哀想でな…。それに、相模をステージに連れてくるって信じて時間を稼いでくれてる人達にもな。なんとか相模に閉会式に来てほしかったんだ。俺にはあんな方法しか出来なかったんだ…」

「だからって…」

「今さらなのは、俺もわかってる…。それでもな…、せっかく話せる機会が出来たから言っておきたかったんだ」

「…」

「それは俺のオゴリだ。じゃあ、ごゆっくり」

 

 

「いらっしゃい」

「こんにちは、比企谷君」

「由比ヶ浜は?」

「今日は家族で出かけるそうよ」

「もう少しで休憩だから、待っててくれ」

「そうさせてもらうわ。…あら、相模さん」

「こ、こんにちは」

「貴方もウワサのイケメン目当てかしら?」

「まぁ、そうかな…」

「そう」

「雪ノ下さん」

「何かしら?」

「ちょっと話を聞いてもらえるかな?」

「え、えぇ、いいわよ。比企谷君、奥の席を借りるわ」

「おう」

 

「話というのは?」

「さっき、比企谷に文化祭でのことを謝られた」

「そう…」

「でも、なんかすっきりしないんだ」

「彼が最初にやらかしたのは覚えてる?」

「スローガン決めだよね?」

「そう。あの時の文実はバラバラだったわ。彼は集団をまとめるひとつの方法を取った。それは『共通の敵を作る』ということ」

「それって…」

「彼は文実の『敵』になったのよ」

「他にやり方は…」

「リーダーシップ…。そういう方法もあるけど、貴方にあったと思う?もちろん、私にもないわ」

「…」

「実際には『敵』どころか、一番仕事をしてたと言っても過言ではないわ」

「…」

「そして、閉会式。彼は貴方に相当辛辣なことを言ったらしいわね」

「うん…」

「あの時は、貴方を探すのに大勢では騒ぎになる。そこで私は時間稼ぎ、彼に探してもらう選択をしたわ。それしか方法がなかっと言い切ってもいいわ。そして、彼は貴方を見つけた…」

「ウチは…」

「そして、貴方への罵詈雑言。彼の立場・周りから評価、そして、あの場に葉山君が居たことを考えての彼なりの最善手だったのよ」

「…」

「結果、貴方は閉会式に間に合った。貴方は罵詈雑言を言われても閉会式に出た悲劇のヒロイン、彼は文実委員長を泣かせたヒール、そんなところかしらね」

「…」

「貴方はステップアップしたいと言ってたわね。ステータス的にはステップアップ出来たわ。問題は中身…。ここまで話して何も感じないなら、貴方にステップアップは無理ね」

「ウチは…」

「彼は変わろうと努力しているの。今までの彼なら接客なんてやろうともしなかったわ。彼は人に想いを伝える、相手の想いを受けとる。それが上手く出来てなくて苦い経験をして成長しようとしている。そんな彼を手助けしたくて、こんな話をしたの。貴方はどうなのかしら?」

 

「おい、雪ノ下。相模に何を言ったんだ?涙目になってるぞ。相模、あんまり気にするなよ」

「あら、貴方は相模さんをかばうのかしら?」

「雪ノ下の言葉は辛辣過ぎて、常人には耐えられないだろ」

「そうね。貴方は異常だから、何を言っても大丈夫そうね」

「俺も泣いてるからね、心で」

「相模さん、もう終わったことだから、今すぐ答えを出さなくてもいいわ。ゆっくり考えてみて」

 

「雪ノ下、相模と何を話していたんだ?」

「さぁ、女性であれば優しくするスケコマシ谷君には関係ないわ」

「なにそれ、語呂悪すぎ。しかも、スケコマシって何の嫌味?」

「ふんっ!」

「そうだ。今日は早めに終われるから、ファミレスで勉強見てくれないか?」

「貴方のオゴリなら、いいわよ」

「チクショウ、お嬢様のクセに貧乏人に…。わかったよ」

「うふふっ」




――――――――――――――――

サガミンにタネアカシ…。難しい…。
もう少し練り直すかも…。

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