ゴールデンウィーク最終日。
勉強とアルバイトの毎日…。やっぱり、あの両親の息子…。
今朝は小町に髪型をセットしてもらった。
「おはようございます」
「おう、おはよう。いいな、その髪型」
「ありがとうございます。妹にやってもらいました」
「今日も頼むぞ」
「はい」
「いらっしゃいませ」
「あ、比企谷…」
「おぅ、相模か」
「なんで、比企谷がここに…」
「バイトだよ。…あ~、相模」
「何?」
「ウワサを聞いて来たなら、ここにはイケメンはいないからな」
「そう…なんだ」
「無理して居なくてもいいからな」
「せっかく来たから、コーヒー頂戴」
「はいよ。カウンターでいいか」
「うん」
「はい、お待たせ」
「ありがと」
「え~と、相模…」
「何?」
「その…。文化祭では、悪かったな」
「え?」
「あのな、あれはワザとやったんだ…」
「どういうこと?」
「閉会式のセレモニーに相模が居なかったら、文化祭は成功とはいえないだろ?今まで頑張ってた連中が可哀想でな…。それに、相模をステージに連れてくるって信じて時間を稼いでくれてる人達にもな。なんとか相模に閉会式に来てほしかったんだ。俺にはあんな方法しか出来なかったんだ…」
「だからって…」
「今さらなのは、俺もわかってる…。それでもな…、せっかく話せる機会が出来たから言っておきたかったんだ」
「…」
「それは俺のオゴリだ。じゃあ、ごゆっくり」
「いらっしゃい」
「こんにちは、比企谷君」
「由比ヶ浜は?」
「今日は家族で出かけるそうよ」
「もう少しで休憩だから、待っててくれ」
「そうさせてもらうわ。…あら、相模さん」
「こ、こんにちは」
「貴方もウワサのイケメン目当てかしら?」
「まぁ、そうかな…」
「そう」
「雪ノ下さん」
「何かしら?」
「ちょっと話を聞いてもらえるかな?」
「え、えぇ、いいわよ。比企谷君、奥の席を借りるわ」
「おう」
「話というのは?」
「さっき、比企谷に文化祭でのことを謝られた」
「そう…」
「でも、なんかすっきりしないんだ」
「彼が最初にやらかしたのは覚えてる?」
「スローガン決めだよね?」
「そう。あの時の文実はバラバラだったわ。彼は集団をまとめるひとつの方法を取った。それは『共通の敵を作る』ということ」
「それって…」
「彼は文実の『敵』になったのよ」
「他にやり方は…」
「リーダーシップ…。そういう方法もあるけど、貴方にあったと思う?もちろん、私にもないわ」
「…」
「実際には『敵』どころか、一番仕事をしてたと言っても過言ではないわ」
「…」
「そして、閉会式。彼は貴方に相当辛辣なことを言ったらしいわね」
「うん…」
「あの時は、貴方を探すのに大勢では騒ぎになる。そこで私は時間稼ぎ、彼に探してもらう選択をしたわ。それしか方法がなかっと言い切ってもいいわ。そして、彼は貴方を見つけた…」
「ウチは…」
「そして、貴方への罵詈雑言。彼の立場・周りから評価、そして、あの場に葉山君が居たことを考えての彼なりの最善手だったのよ」
「…」
「結果、貴方は閉会式に間に合った。貴方は罵詈雑言を言われても閉会式に出た悲劇のヒロイン、彼は文実委員長を泣かせたヒール、そんなところかしらね」
「…」
「貴方はステップアップしたいと言ってたわね。ステータス的にはステップアップ出来たわ。問題は中身…。ここまで話して何も感じないなら、貴方にステップアップは無理ね」
「ウチは…」
「彼は変わろうと努力しているの。今までの彼なら接客なんてやろうともしなかったわ。彼は人に想いを伝える、相手の想いを受けとる。それが上手く出来てなくて苦い経験をして成長しようとしている。そんな彼を手助けしたくて、こんな話をしたの。貴方はどうなのかしら?」
「おい、雪ノ下。相模に何を言ったんだ?涙目になってるぞ。相模、あんまり気にするなよ」
「あら、貴方は相模さんをかばうのかしら?」
「雪ノ下の言葉は辛辣過ぎて、常人には耐えられないだろ」
「そうね。貴方は異常だから、何を言っても大丈夫そうね」
「俺も泣いてるからね、心で」
「相模さん、もう終わったことだから、今すぐ答えを出さなくてもいいわ。ゆっくり考えてみて」
「雪ノ下、相模と何を話していたんだ?」
「さぁ、女性であれば優しくするスケコマシ谷君には関係ないわ」
「なにそれ、語呂悪すぎ。しかも、スケコマシって何の嫌味?」
「ふんっ!」
「そうだ。今日は早めに終われるから、ファミレスで勉強見てくれないか?」
「貴方のオゴリなら、いいわよ」
「チクショウ、お嬢様のクセに貧乏人に…。わかったよ」
「うふふっ」
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サガミンにタネアカシ…。難しい…。
もう少し練り直すかも…。