珈琲   作:おたふみ

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閑話 その三

相模南の邂逅

 

ユッコも遥も家族旅行…。

せっかく一緒にイケメンが居るとウワサのコーヒーショップへ行こうと思ったのに…。

仕方ない、一人で行こう。

 

「いらっしゃいませ」

 

なんで比企谷がいるの?しかも、髪の毛セットしてちょっと格好いいかも…。いや、比企谷はウチにあんなことを言ったんだ。

 

比企谷曰く、イケメンはガセネタらしい。

 

比企谷って、あんな笑顔出来るんだ。お客さんとも話をしてる。

 

「その…。文化祭では、悪かったな」

 

えっ?謝られた…。ウチを動かす為にワザとやった…。わからない…。

コーヒーはオゴリだと言って仕事に戻った…。

 

あっ、雪ノ下さん…。比企谷と同じ奉仕部の部長。雪ノ下さんなら、わかるかも…。

 

『敵』になる?わからない…。なんで、そんなことを…。

なんで悪役になってまで文化祭を成功させたかったの?

 

「おい、雪ノ下。相模に何を言ったんだ?涙目になってるぞ。相模、あんまり気にするなよ」

 

比企谷と雪ノ下さんが言い合いをしている。でも、なんだろう。お互いを見ている目が優しい気がする…。

もしかしたら、比企谷は…。

 

家に帰って思いかえす。ウチも成長しなきゃ!

まず、比企谷と雪ノ下さんに謝ろう。そこからだ!

 

でも、今日の比企谷…、格好よかったなぁ…。

 

 

――――――――――――――――

 

一色いろはは見てみたい

 

 

やっと家に着いた。もう夕方だ、早くしないと。

結衣先輩から場所は聞いてる。先輩の働いてる姿を生でも見たい!写真を見たら、余計にそう思ってしまった。

 

店内に入ると渋いおじ様が一人カウンターの中に。

コーヒーをもらって、店内を見回してると…。

 

「お嬢ちゃんもウワサを聞いて来たクチかい?」

「ウワサ?いえ、学校の先輩がアルバイトしてると聞いて…」

「そうか。あの坊主なら、もうあがっちまったぞ」

「そうなんですか…」

「また夏休みにでも頼むつもりだから、その時には来てやってくれ」

「はい」

夏休みには、絶対に見てやる!

 

 

――――――――――――――――

 

平塚静は恋(?)をする

 

「こんばんは!」

「いらっしゃい」

「あれ?比企谷君は?」

「黒髪のお嬢ちゃんと勉強だとよ」

「な~んだ。せっかく静ちゃん連れてきたのに」

「比企谷がどうかしたのか?」

「ここでアルバイトしてたの。静ちゃんにも見せたかったなぁ」

「比企谷がアルバイト!あの『働きたくないでごさる』とか言ってた比企谷が!」

「あの坊主は、コーヒーの入れ方を見たかったってのもあるがな」

「…」

「静ちゃん、どうしたの?」

「い、いやなんでもない」

「マスター、お客さんもいないし

、一曲弾いてもいいかな?」

「いいぞ。店もcloseにするか」

「で、では、私は失礼する」

「えっと…」

「平塚です。平塚静といいます。総武高で教師をしています」

「坊主のトコの先生か。平塚さん、酒はいけるかい?」

「えぇ」

「一杯付き合ってもらえるかい?」

「私で良ければ…」

「あのピアノを肴に、平塚さんみたいな美人に付き合ってもらったら最高だよ」

「び、美人…。恐縮です」

「坊主め、こんな美人の先生がいるなら、早く連れてこいって。はははっ!」

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

「マスター、私も一杯もらっていい?」

「おう、待ってろよ」

「静ちゃん、顔赤いよ」

「よ、酔っているんだ」

「ふ~ん、なるほどね」

「な、なんだ陽乃」

「なんでもない。ちなみに、マスター独身らしいよ」

「そ、そうか!」

 

平塚静も常連になりました。

 


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