ゴールデンウィークも終わり、奉仕部も平常運転に戻る。
本日は珈琲たいむ。何、ヤク○トの製品?千葉はロッテでしょ。
「そろそろアイスコーヒーだな」
「そうね」
「アイスコーヒーって、煎れたあとに冷やすの?」
「それでもいいんだが、水出しにしてみようと思う」
「へ~。お水でも出来るんだね」
「マスターに聞いてみよう。それにあう豆とかもあるだろうしな」
「コーヒーも奥が深いのね」
「なら、取り込まれないようにしないとな『深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ』か」
「何それ?中二?」
「ニーチェね」
「さすがユキペディアさんだ」
「その呼び方、やめてもらえるかしら」
「悪い。由比ヶ浜の意見もあながち間違ってないな。ラノベやアニメに多用されてるからな」
「へぇ」
来客を告げるノックがする。
「どうぞ」
「お邪魔します」
「さ、サガミン、やっはろー」
「ん?何か依頼か?」
「きょ、今日はその…」
「相模さん、とりあえず座ったら」
「ありがとう」
「んで、どうしたんだ?」
「どうして、学校だと気だるそうなの?」
「ハイテンションで挨拶したら『元気なのキモイ』って言われる。ソースは俺」
「うわぁ」
「うわぁ」
「うわぁ」
「んなことは、どうでもいいんだよ」
「そうだ、えっと…。比企谷、雪ノ下さん、結衣ちゃん、文化祭の時はごめんなさい」
「えっ!ちょ、待て待て。なんで相模が謝るんだよ」
「比企谷が謝ってくれた後、雪ノ下さんと話をしたの。それで…」
「雪ノ下、お前な…」
「過去のことを気にしない、貴方らしくないことをしたからよ」
「くっ!たしかに…」
「人は変わるものよ」
「それで、色々考えて…」
「相模、ちょっと待ってろ」
「えっ?」
「ほらよ。マスターほどの腕前じゃないが、それなりに旨いコーヒーのつもりだ」
「比企谷って、そんな笑い方するんだね」
「ん?」
「笑ってた方がいいよ。…その…いいから」
「何?」
「な、なんでもない!」
「むぅ!」
「ふん!」
「なんで由比ヶ浜むくれてるの?雪ノ下さん、睨まないでください」
「美味しい…。ありがとう」
「俺は相模に謝罪した。相模も俺達に謝罪した。それでいいだろ。な、お前らも」
「うん!」
「そうね」
「ありがとう」
憑き物が取れた表情で相模は席を立った。部室を出る間際に声をかける。
「相模、今年はお互いにいい文化祭にしような」
「…比企谷、その笑顔は反則だよ…」
「?」
「むぅぅぅ!」
「ふんっ!」
翌日から、相模と挨拶や一言二言ぐらい会話をするようになった。取り巻き二人も驚いていたが…。
何故か相模の顔が赤い気がしたが、気のせいだろう。