珈琲   作:おたふみ

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二十九話

今日のバイトは夕方からなので、図書館で勉強。野生のバニーガールとか居ないかなぁ…。

 

イヤホンをして外界と意識を切り離して勉強に没頭する…。

 

問題集の項目が変わるタイミングで一息。イヤホンを外し外の世界へと戻る。

 

「こんにちは、比企谷君」

「うっ!…。脅かすなよ」

「こんにちは、比企谷君」

「こ、こんにちは。どうしたんだ、こんなところに」

「小町さんに聞いたわ」

「俺のプライバシー&プライベート…」

「あるわけないでしょ」

「ですよね…」

「お昼はどうするのかしら?」

「コンビニかな」

「お弁当を作ってきたのだけど…」

「何故?」

「小町さんにお願いされたの」

「図書館のどこで食うんだよ」

「司書の方に確認したら、中庭なら大丈夫だそうよ」

「わかった。先に行っててくれ。マッカン買ってくる」

「ブラックではないの?」

「頭使ったからな。雪ノ下は紅茶でいいか?」

「ええ、お願いするわ」

 

「ご馳走さま。相変わらず旨かった」

「お粗末様でした。午後はどうするのかしら?」

「夕方からバイトだから、もう少し勉強していくよ」

「そう…。私も本を読んでいこうかしら…」

 

俺は勉強、雪ノ下は読書に没頭する。

勉強に集中していると、雪ノ下に肩を叩かれる。

「比企谷君、時間は大丈夫?」

「あっ、ヤベ!」

 

図書館の玄関を一緒に出る。

「悪いな、雪ノ下。弁当もらったのに、何も相手をしなくて」

「気にしないで、私がやりたくてやったことだから」

「そうか、じゃあまたな」

「比企谷君」

「ん?」

「いってらっしゃい」

「お、おう。行ってきます」

昼は小町に頼まれて弁当作ったって言ってたけど、今は…。言葉の綾かな。しかも、いってらっしゃいって…。

 

店に着き、着替えて髪をセットして店内へ出る。

 

「坊主、今日からも頼むぞ」

「うす」

「あ~、比企谷く~ん♪」

「城廻先輩、いらっしゃいませ」

「はぁぁ」

「どうしたんですか、ため息ついて。俺の顔がキモイですか?」

「ち、違うよぉ。比企谷君は…だから…」

「?」

「今から合コンなんだよぉ」

「さすが女子大生ですね」

「お酒はまだ飲めないし、男の人が絡んでくるのが…」

「城廻先輩、苦手そうですね」

「そうだぁ!比企谷君、写真撮らせて」

「あぁ、虫除けですか。俺で良ければいいですよ」

「…なんで、隣に来たんですか?」

「2ショットで撮らないと信憑性がないからね。もっと寄ってくれないと入らないよ」

近い!いい匂い!柔らかい!

「比企谷君、ありがとう♪」

「どういたしまして」

 

翌日、城廻先輩が友人とやってきた。

 

「いらっしゃいませ」

「へぇ~、君がめぐりの彼氏なんだ」

城廻先輩がペロッと舌を出して視線をこちらに送ってきた…。すげぇ可愛い。この人の彼氏になる男か羨ましい!

察しましたよ、城廻先輩。

 

「ええ、まあ」

「比企谷君は、おしゃべりが苦手だから、勘弁してあげて」

「めぐりのこと、大事にしてあげてね」

「うす」

 

城廻先輩と友人はしばくコーヒーを飲んでいたが、城廻先輩の顔が終始赤かった…。冷房弱かったかな…。


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