一日の終わり。小説を閉じて布団に入ろうとすると、携帯が鳴る。
『あ、ヒッキー!やっはろー!』
「お前、こんな時間なのにテンション高いな」
『明日は暇だよね?』
「明日は、あれがこれでそれだ。そして、夕方からバイトだ」
『バイトまでは暇なんだよね?』
「…一応、図書館に行くつもりでした」
『買い物に付き合ってよ』
「雪ノ下は?」
『なんか忙しいみたい』
「は~、仕方ない。荷物持ちしてやるよ」
『じゃあ、明日10時に駅前ね』
「わかったよ。おやすみ」
『おやすみ~』
「暑い…、ダルい…、帰りたい…」
「お店に入ったら冷房効いてるから」
「リア充の巣窟…」
「早く行くよー」
「へいへい」
「冷房、最高。ここから動きたくない」
「いきなりベンチに座らないでよー」
「で、今日は何を買うんだ?」
「新しい水着♪」
「pardon?」
「水着♪」
「いや、何を買うんだ?って?」
「だから、水着!!」
「帰る!」
「なんで帰ろうとするし!」
「俺が女性物水着売り場に居たら通報される!」
「それはヒッキーが挙動不審になるからでしょ!私と居れば大丈夫だから!行くよ!」
「腕を掴むな~!」
(柔らかい!柔らかい!柔らかい!)
「ふぇ~、こんな紐みたいな水着あるんだ…」
「由比ヶ浜はチャレンジャーだな。こんなん選ぶとは…」
「ちちちち、違うし!見ただけだよ!」
「わかってるよ」
「ひ、ヒッキーは、こういう水着が好きなの?」
「いやいやいや、こんな水着着てるヤツは二次元しか見たことないし!それに、こんなん由比ヶ浜が来たら、こぼれ落とそう…」
「こぼれ落ちる…。ヒッキーのバカ!変態!マジキモイ!」
「バカ!デカイ声だすな!」
「あわわわわ、ごめん」
「ほれ、店の中見るんだろ」
「う、うん」
「あれ、ヒッキー?入らないの?」
「ATフィールドが…」
「なにそれ?早くぅ」
「あ、だから腕を掴むな」
「ヒッキー!これとこれ、どっちがいい?」
「えっと…」
「ちゃんと見てよ」
「…直視できません」
「服の上から当ててるだけじゃん」
「そ、それでもだなぁ…」
「ほら、ヒッキー!」
「ゆ、由比ヶ浜、布の面積少なくないか?」
「え~、優美子なんて、もっと際どいよ!」
(あーしさん、どんな水着選んだんですか!)
「わかった!」
「何がわかったんだ?」
「試着してみる」
「まてまてまて!」
「だって、着てみないとわからないじゃん。とりあえず、これかな」
「ヒッキー、どう?」
「あ、えっと、とても素晴らしいと思います…」
「ちゃんと見てよ!」
「見ろって言われましても…」
「似合うかどうかわかんないじゃん!」
「キモイとか言うかとなよ」
「言わないから」
「…すげぇ似合ってると思うぞ」
「えへへ。そうかな」
「胸元の小さい飾りとかもいいと思う…」
「胸元…。ヒッキーのエッチ!変態!キモイ!」
「やっぱり、キモイって言われたよ…」
「なぁ、由比ヶ浜」
「何?」
「昼飯、食べないか?」
「え?もうそんな時間?」
「もう2時です…」
「ごめんね、夢中になっちゃって」
「なぁ、由比ヶ浜」
「何?」
「この後、どうする?帰るか?」
「え~!もっと遊ぼうよ~」
「いや、俺は夕方から仕事だからな」
「そっかぁ」
「本屋でも行くか」
「何買うの?」
「ラノベと問題集」
「勉強してるんだね」
「一応な。由比ヶ浜は?」
「あ、うん、あはは」
「大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ…。たぶん」
「さて、そろそろバイト行くけど、由比ヶ浜はどうする?」
「さっき、ゆきのんからメールがあって、お店来てだって。だから私も行くよ」
「ほう。仲の良いことで」
「こんにちは」
「やっはろー!」
「よう、雪ノ下。…平塚先生早いですね」
「こんにちは、由比ヶ浜さん、比企谷君」
「まぁ、君たちに話があってな」
「坊主、先に着替えてきな」
「うす」
「お待たせしました」
「マスター、話を進めても?」
「平塚さんに任せます」
「では、君たち、キャンプに行くぞ」
「…」
「…」
「…はい?」
「奉仕部の合宿と思ってもらってもかまわん」
「嫌ですよ」
「坊主、想像してみろ。夜になって、少し肌寒くなった時、夕食の残り火でお湯を沸かし、満天の星空の下で飲むコーヒー…。どうだ?」
「…行きます」
「まったく、貴方は…。平塚先生、行くメンバーは?」
「お前らと私とマスター。車にはあと3、4人は乗れるから、誰か誘ってもかまわんぞ」
「わかりました」
「はぁ、ゆ○△キャンでも見直すか」
「平塚先生、泳げる場所あるかな?」
「もちろん、あるぞ」
「じゃあ、さっき買った水着のお披露目だね、ヒッキー」
「あ、おま、バカ!」
「比企谷君、どういうことかしら?」
「い、いやぁ、由比ヶ浜の荷物持ちで買い物に付き合って…」
「ヒッキーに、水着選んでもらったんだ」
「比企谷君…」
「ナンデショウカ」
「明日、私の水着も選びなさい」
「俺が女性の水着を選ぶなんて…。そ、それに、雪ノ下だって俺なんかに見られたくないだろ…」
「比企谷君…」
「ハイ」
「いいわね」
「YES MY LORD」
「では、次の土日。遅刻しないように」
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ゆ○△キャンの聖地まで、車で1時間で行けます。
次回はキャンプ編です。