「到着だ。各自、荷物を下ろしてくれ。私はテントの設営場所を確保してくる」
平塚先生の号令で車を降りる。
「八幡、あっちに釣り堀があるよ」
「戸塚、後で行ってみよぜ」
「八幡、我も行くぞ」
「ヒッキー、西瓜どうしよう?」
「川で冷せば…」
「ヒッキー、どうしたの?」
「な、なんでもない(西瓜と由比ヶ浜のメロンのコラボレーション!!)」
「比企谷君…」
「はひっ!」
「どこを見ていたのかしら?」
「ミテマセン」
「先輩、目がエロい…」
「ゴミぃちゃん…」
「ひ、ヒッキーが見たいなら…」
「場所が決まったぞ。荷物を運んでくれ。それが終わったら昼食だ」
(助かった…)
「雪乃さんのサンドイッチ美味しい!」
「小町さんのおにぎりも美味しいわ」
「雪ノ下、ジャリって…」
「それは由比ヶ浜さんね」
「えへへ」
「えへへじゃねぇ」
「先輩、私が作った唐揚げも食べてください」
「おう…」
「どうですか?」
「普通に旨いな」
「でしょ」
「その、あざとい笑顔がなければ完璧だったな」
「あざとくないです!!」
「マスター、テントを設営したら、どうしますか?」
「暗くなるまで、自由行動だ。晩飯は俺がカレーを作ってやる」
「ヤバい、すげぇ旨そうです」
「私達に手伝うことはありますか?」
「う~ん、平塚さんには手伝ってもらうとして…。誰か飯盒で米を炊いてくれ。出来るか?」
「ならば、我に任せよ」
「材木座、お前出来るのか?」
「同胞にサバゲマニアがおってな」
「うむ、飯炊きは材木座に任せよう」
「俺は来る途中にあった無人の野菜売り場に行って、野菜を調達してサラダでも作りますよ」
「比企谷君、私も行くわ」
「いいよ、雪ノ下。俺だけで」
「私はトマトが食べたいけど、貴方は買ってこないでしょ?」
「ぐっ、確かに…。わかったよ」
「ヒッキー、私も行く!」
「先輩、私も」
「八幡、モテモテだね」
「おのれ…、爆発しろ」
「材木座、聞こえてるぞ」
「では、こうしよう。私とマスターでカレーの準備。材木座は飯炊き。比企谷・雪ノ下・由比ヶ浜が野菜の買い出し、戸塚・一色・小町君で水汲み。では、行動開始!」
「材木座、ちょっと…」
「うむ、なんだ?」
「実はな…」
「な、なんと!我も馬に蹴られて死にたくはないのでな。了解したぞ」
「ヒッキー、中ニと何話してたの?」
「平塚先生の邪魔するなって言っただけだ」
「貴方は、変なところで気がきくのね」
「ほっとけ」
「ヒッキー、見て!キュウリがこんなに曲がってる」
「由比ヶ浜、こっちのナスもすごいぞ」
「まるで、誰かさんみたいに捻れてるわね」
「ほっとけ」
「あら、自覚があったのね」
「買って来たよ~」
「おかえりなさ~い。すごい捻れたキュウリですね。まるで先輩みたい」
「お前もかよ!」
「結衣さん、あっちで女子高生がキャンプしてましたよ!コーギーが可愛かったんで、あとで行きましょう!」
「行く行く!」
「材木座、どうだった?」
「八幡、我完全に空気だった…」
「そ、そうか…」
「心の中でエクスプロージョンを…」
「それは爆発じゃねぇ、爆裂だ」
「よし出来た!明るいうちに晩飯食べちまおうか」
「マスター、旨いです」
「だろ」
「米も上手く炊けてる」
「我にかかれば造作もない」
「このカレー…。どうやったら、この味が出るのかしら…」
「嬢ちゃんには、あとで教えてやるよ」
「私も聞きたいです」
「このキュウリ、味が濃い」
「ナスも美味しい」
「比企谷君、トマトをどうぞ」
「なんの嫌がらせだ…」
「とっても美味しいわよ、はい」
「目が怖い…」
「ご飯食べ終わったら、花火しようよ」
「由比ヶ浜、準備がいいな」
「えへへ」
「俺は一杯やらせてもらう」
「お付き合いします」
「俺はコーヒーでも煎れようかな」
「ヒッキー、花火やらないの?」
「コーヒー飲んだらな」
「早く来てね」
ひとしきり花火をしたあと、テントに入る。
(眠れん…)
「まだ飲んでるんですか?」
「好きなモ○ルスーツについて語っていた。坊主も混ざるか?」
「結構です。どうせ、マスターがケ○プファーで、平塚先生がゴッドガン○ムでしょ?」
「ぐっ!何故わかった…」
「ふっ…。俺は散歩してきます」
「あまり、遠くへ行くなよ」
(月が綺麗だなぁ。普段、月なんて興味ねぇのに)
(…誰か居るなぁ。幽霊、オバケ?)
(雪ノ下か…。月明かりに照らされて…)
「綺麗だ…」
「え?」
「え?」
「比企谷…君?」
「お、おう。雪ノ下、こんなところでなにやってるんだ?」
「ちょっと夜風にあたっていたところよ」
「そうか…。邪魔したな」
「待ちなさい」
「なんでしょうか?」
「少し…、話をしない?」
「俺でよければ」
「比企谷君」
「ん?」
「修学旅行の時は、ごめんなさい」
「な!あれば俺が暴走したから、俺が悪いんだ」
「初めて部室でコーヒーを煎れてくれた時、もう一度やり直してくれと言われた時、嬉しかった…」
「雪ノ下…」
「私も冷静になって思い返してしたの。貴方のことを信じると言ったのに、やり方が嫌いなんて…」
「だから、そのことはいいんだって」
「良くないわ。貴方は意味もなくあんなことはしないわ」
「まあな」
「…海老名さんかしら」
「…」
「沈黙は肯定よ」
「守秘義務だ」
「葉山君と戸部君が出た後に海老名さんが来た…。出来すぎよね?」
「さあな」
「あくまで、答えないのね。それは、そのうち、問い詰めるわ」
「怖ぇよ」
「でも、一つわかったことがあるわ」
「なんだ?」
「貴方に特別な感情があること…」
「は?」
「でも、この感情の名前がわからないの…」
「それは俺にもわからんな」
「この答えは私自身で出すしかないの。この答えが出たら聞いてくれるかしら?」
「その時は聞いてやるよ」
「ありがとう」
「おう、どういたしまして」
「それと…」
「まだあるのか?」
「貴方、私を見つけた時、なんて言ったのかしら?」
「なんか言ったか?」
「えぇ」
「気のせいじゃねぇか」
「そう…」
「そろそろ戻ろうぜ」
「…」
「その…、一緒に戻ると…」
「あぁ、悪い」
「でも、…途中まで一緒に…」
「はいよ」