珈琲   作:おたふみ

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四話

土日の休みを挟んで月曜日。ブルーマンデーにブルーマウンテン…。予備校の後に寄るつもりだから、マスターにどんな特徴がある豆なのか聞いてみようと思いながら、部室に入る。

 

「う~す」

「ヒッキー!やっはろー!」

「こんにちは、比企谷君」

 

由比ヶ浜が口をモゴモゴ動かしている。

「由比ヶ浜、なに食ってんだ?」

「ゆきのんが焼いたクッキーだよ」

「食べながらしゃべるなよ」

「由比ヶ浜さん、お行儀が悪いわよ」

「えへへ、ごめんね」

「比企谷君、紅茶は飲むのかしら?」

「すまん。予備校行くから、顔出しただけなんだ」

「そう。では、こ、これを、貰ってくれないかしら…」

 

それは、小袋に入ったクッキーだった。

 

「週末に実家へ行って、父と話をしてきたの…。思いの外、充実した会話が出来たので、そのお礼…」

「それは、良かったんだが、貰っていいのか?」

「ええ」

「雪ノ下のクッキーは美味いからな。ありがたく、頂くよ」

「か、感謝しながら食べなさい」

 

ツンデレな雪ノ下とリスのようにクッキーを頬張る由比ヶ浜に別れを告げて予備校に向かった。

 

予備校が終わり、小町にメールをしてからコーヒーショップに立ち寄る。

 

いつも座る席の隣に中年の男性が座っていた。

 

「すいません。隣、いいですか?」

「そこが君の定位置かい?」

「はい。マスターの手元が良く見えるので」

「男同士で横並びで色気がなくて、すまんね」

「いえいえ。後から来たのに、すいません。それに…」

「それに?」

「ここで、いろんな方と話をするのも楽しみなので」

「はい、ブレンドお待たせ。初めて来た時は緊張した顔してたが、最近は表情が柔らかくなったな」

「そうかもしれませんね。挙動不審でしたしね」

 

三人で談笑し、マスターに聞いたブルーマウンテンの特徴をメモしようとカバンを開けると雪ノ下に貰ったクッキーが目に入った。

 

「あの、貰い物なんですが、クッキー食べませんか?」

「ウチには菓子がねぇからな」

「頂いてもいいのかい?見たところ、手作りのようだけど…」

「はい。部活仲間が作ったものです。美味しいですよ」

「彼女じゃないの?」

「そ、そんな…ち、違いますよ」

「満更ではなさそうだね」

 

「これは…。店で出したいぐらいだな」

「ですよね。料理もプロ級なんですよ」

「はぁぁぁ…」

「ど、どうしたんですか」

「ウチの娘は、料理全般的に壊滅的でね…」

「ああ…。いますね、そういうコ」

「その腕前でクッキー作ったりするから…」

「あぁぁ…」

「どうしたらいいのやら…」

「こんなこと言うのもおこがましいのですが…」

「言ってみて」

「まず、作ろうとする姿勢と努力を誉めてあげてください」

「ふむ」

「センスがない、作れないって諦めてしまうのは簡単です。諦めないで努力してるって、すごいことですよ」

「確かにね」

「それと、一緒に作ってみたらどうですか?」

「クッキー作りを?」

「はい。俺も妹と料理しますけど、楽しいですよ」

「なるほど…。いいかもしれないね」

 

雪ノ下のクッキーを食べながら、料理やお菓子作りの話で盛り上がった。

 

数日後の奉仕部では…。

 

「ねぇねぇ、ゆきのん」

「なにかしら?」

「ゆきのんのクッキーのレシピ教えて」

「ま、まさか、由比ヶ浜さん…」

「パパがね、一緒にクッキー作ろうって言ってたんだ。だから、パパとママと三人で作るんだ」

「それはいいことね。…私も父とやってみようかしら…」

「う~す」

「ヒッキー、遅い!」

「俺は日直だ。仕方ないだろ」

「え?そうだっけ?」

「はいはい。どうせ認識されてませんよ」

「こんにちは、比企谷君。では、お茶にしましょうか」

「俺にも貰えるか?」

「わかったわ」

「わ~い、お茶の時間だ♪」

「比企谷君」

「なんだ?」

「その…。比企谷君が煎れたコーヒーをまた飲んでみたいのだけど…」

「ヒッキー、私も!」

「わかったよ。また持ってくるよ」

「そ、そう…」

 

次はもっと上手く煎れようと思い、部活の時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

閑話

 

比企谷のヤツ、予備校の帰りにどこ行ってるんだ?

 

比企谷の寄り道が気になって、後をつけてみる…。

暗い路地に入っていくので、心配になってきた…。

 

とある店に入っていくのが見えた。

喫茶店?ちょっと覗いてみよう…。

 

なんかオッサン達とコーヒー(?)飲みながら談笑してる。アイツあんな顔して笑ったりするんだ。新しい発見だ。

 

小町には心配ないって連絡しておこう…。

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