珈琲   作:おたふみ

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三十六話

只今、閉店後の掃除中。

マスターも俺も花火大会に行く為、早めの閉店。

マスターは自分の煎れたコーヒーを飲んでいる。

「コーヒーが旨いと気分がいい」

「砂漠の虎が居る…。どんだけガンダム好きなんですか」

「ガンダムの話は、平塚さんと盛り上がるからな」

「そろそろ、愛しのアイシャが来ますよ」

「よし、車をまわしてくる」

 

マスターが車を出しに行ってすぐ、浴衣の女性が店に入って来た。

 

「すいません、今日はもう閉て…」

「ひ、比企谷、マスターは…」

「ひ、平塚先生!!」

「どうした、比企谷。私だ、平塚だ」

「み、見違えました…」

「そ、そうか」

「すげぇ、綺麗です」

「そ、そうか…」

 

車を準備してきたマスターが戻ってきた。

 

「…」

「に、似合わないでしょうか…」

「いや、平塚さんは浴衣も似合う。俺の方が気後れしそうだ」

「マスター、平塚先生、写真撮っていいですか?」

「ひ、比企谷、何を…」

「おぉ、坊主、俺にもデータよこせよ」

「もちろん!」

写真を数枚撮ったあと、マスターと平塚先生は店を出る。

 

「後は任せたぞ、ダコスタ君」

「誰がダコスタですか!ヨーグルトソースのケバブでも食ってください」

「ではな、比企谷」

「いってらっしゃい、アイシャさん」

「なっ!」

「では、行こうか、アイシャ」

「え、えぇ、アンディ…」

「そこはネタにノるんですね…」

 

しばらくすると、独特な挨拶で由比ヶ浜が店内に入ってくる。

「やっはろー!」

「おぅ、由比ヶ浜」

「…」

「ヒッキー、なんか言うことないの?」

「に、似合ってるぞ、浴衣…って、言わすなよ恥ずかしいんだよ」

「う、うん。でも、言ってもらえると嬉しいんだよ」

「俺が言うとキモイだけだろ」

「そんなこと…ないし…」

「ゆ、雪ノ下は一緒じゃないのか?」

「車でここまで送ってもらうって言ってたよ」

 

そんな会話をしていると、雪ノ下が到着した。

 

「ごめんなさい。遅くなってしまったかしら」

「ゆきのん、やっはろー!」

「…」

「浴衣、すごい似合ってるね」

「そ、そうかしら…」

「…」

「ねぇ、ヒッキー!」

「…」

「ヒッキー、ゆきのん見過ぎ…」

「うわっ、す、すまん!」

「い、いえ…。大丈夫よ」

「むぅ…」

「そ、そうだ!さっき平塚先生が浴衣で来たぞ」

「そうなの!」

「写真撮ったぞ。見るか?」

「見る~!」

「是非、見たいわ」

「ほら」

「うわぁ、すごい綺麗」

「とてもお似合いの二人ね」

(なんとか誤魔化せた…)

 

三人で花火大会の会場へ。

由比ヶ浜は、雪ノ下を右へ左へと引っ張り、雪ノ下も露店が珍しいのか繁々と覗いていた。

そして、俺の手には、お好み焼き・たこ焼き・焼きそば・焼きとうもろこし…etc。二人はりんご飴を食べている。こんなに食えるのかよ…。

「ゆきのん、ケバブ売ってるよ。やっぱりチリソースだよね」

「そうなの?」

「いやいや、ケバブにはヨーグルトソースだ」

「そうなの?」

「某・砂漠の虎が言っていた」

「?」

「?」

「そうですよね、通じないですよね…」

 

「花火、どこで見ようか?」

「観覧席に姉さんが居るから、そこへ行きましょう」

「おいおい、大丈夫なのか?」

「?」

「『なにが?』見たいに首傾げて。お偉いさんとかに挨拶を…」

「私もそれくらいは出来るのはわ」

「でも…」

「それに、今日は『友人が居ますので』って、断れるから」

「それにしたって…」

「大丈夫よ。今日は心強い味方が二人も居るから」

「そうだよ、ゆきのん!」

「まぁ、案山子だがな」

 

観覧席へ行くと、雪ノ下さんが待っていた。

 

「ひゃっはろー!」

「姉さん、その挨拶やめてちょうだい」

「雪ノ下さん、こんばんは」

「こ、こんばんは」

「待ってたよ。こっちに座って」

 

「…で、何故姉さんが比企谷君の隣なのかしら?」

「だって~、比企谷君の隣がいいんだモン。比企谷君もそう思うでしょ?」

「か、勘弁してください」

 

「ほら雪乃ちゃん、後援会長さん。挨拶行かなきゃ」

「はい、ちょっと行ってくるわ」

「ゆきのん、頑張って!」

「雪ノ下…」

「何?」

「無理…すんなよ」

「ありがとう」

 

「やぁ、陽乃ちゃん、雪乃ちゃん」

「この度は、無理を聞いてくださって、ありがとうございます」

「なに、雪ノ下さんの頼みだ。席ぐらいはなんともない。それに」

「それに?」

「男の子の方は、雪乃ちゃんの意中の人らしいじゃないか」

「なっ!」

「その反応は、間違いなさそうだね」

「お、お恥ずかしい…」

「いやいや、雪乃ちゃんにもそういう人が現れて。彼がそうかい?」

「…」

「なかなか、いい男じゃないか。これなら、安心だな。ゆっくりしていきなさい」

「…ありがとうございます」

 

「ゆきのん、お帰り~。顔真っ赤だけど、大丈夫?」

「だ、大丈夫よ」

 

四人で座り、花火を観賞。

つつがなく、花火大会は終了し、雪ノ下の好意で車で送ってもらう。

車中は若干だが百合の雰囲気が漂ったが、黙っておく。

由比ヶ浜家前に着くと、ガハママが出てきたので、挨拶をしたら、何故か家に拉致…、招かれそうになったので、丁重にお断りをして、車へ戻った。

由比ヶ浜が居なくなった車中では、雪ノ下さんが絡んで来るのを全力で拒否していた。

比企谷家前に着くと、車を待たせ雪ノ下も降りた。

「悪かったな、送ってもらって」

「大丈夫よ、私が誘ったのだから」

「そこからだよな。誘ってくれて、ありがとうな。嬉しかった」

「そ、そう…」

「それと…だな…」

「な、なにかしら?」

「あ、あの…、こんなタイミングになっちまったがな…。その…だな…、ゆ、浴衣!す、すげぇ、似合ってて、綺麗だぞ!」

「!!!!!」

「じゃあ、またな。おやすみ」

 

「雪乃ちゃん、大丈夫?」

「…」

「雪乃ちゃ~ん!」

 

八幡は部屋に帰って布団の中で悶絶、雪乃はしばらく放心状態でした。

 


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