珈琲   作:おたふみ

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三十七話

「お兄ちゃん、予備校?」

「ん?あぁ、そのあとバイト」

「まっすぐ帰って来てね。ケーキ買っておくから」

「ありがとな、小町。いってきます」

「いってらっしゃい」

 

8月8日、俺の誕生日。雪ノ下や由比ヶ浜はお祝いしてくれると言ったが、予備校とバイトだと断った。

今まで誕生日は友達と過ごすなんてなかったから、気恥ずかしいのだ。

誕生日なんて祝ってもらわなくても、雪ノ下や由比ヶ浜、みんなにはたくさんのモノをもらっている。これ以上望んだら、バチがあたる。だから、今日も普通の日でいいんだ。

 

「比企谷」

「え、えっと…、川…川田さん?」

「川崎だけど、埋めるよ」

「ごめんなさい、冗談です」

「アンタ…」

「ん?」

「誕生日なんだろ?おめでとう」

「お、おう」

「パーティーとかやらないの?」

「ガラじゃねぇんだよ。察してくれ」

「ふ~ん」

「川崎」

「何?」

「その…、ありがとな」

「う、うん。じゃあ、私は先に帰るよ」

「お疲れ」

「さて、俺はもうひとがんばり…」

 

予備校が終わりバイトへ。

店の裏口から入る。

「お疲れで~す」

「坊主、着替える前に店来い」

マスターに呼ばれたので店内に向かう。

「マスター、なんです…」

 

「HAPPYBIRTHDAY 八幡!!」

 

みんなの声とクラッカーの音に驚く…。

「なっ…」

「何を驚いているのかしら、比企谷君」

「今日はヒッキーの誕生日だよ」

「まぁ、そうなんだが…」

「比企谷のことだから、『俺の誕生日なんて、祝わなくていい』とか思ってたんだろ?」

「これだから、ゴミぃちゃんは」

「次はヒッキーの番って言ったよね?」

「私は覚悟しなさいと言ったわよね?」

「負けたよ、降参だ」

「ほら、座りなよ」

「川崎~、芝居しやがったな」

「さてね」

 

「さがみん、折本さん…」

「何?」

「なにかな?」

「なんでヒッキーの隣に座ってるの?」

「いいじゃん、席決まってないし」

「マジウケるんですけどwww」

 

「留美さん」

「何?」

「比企谷君の膝から降りなさい」

「嫌」

「比企谷君が困るでしょ?」

「八幡、嫌?」

「嫌なわけないだろ」

「ほら」

「ぐっ!」

「はーちゃんとこ、けーかもすわりたい」

「けーちゃんもおいで」

「先輩は年下に甘いんですから。じゃあ、私も…」

「いろはちゃんはダメ!」

「一色さんはダメ!」

「チッ!」

 

「八幡、誕生日おめでとう!これプレゼント」

「戸塚!ありがとな。開けていいか?」

「どうぞ」

「マリオパーティじゃねぇか」

「材木座君と選んだんだよ」

「うむ」

「みんなで遊ぼね」

「ありがとう、戸塚、材木座」

 

「比企谷!」

「折本。お前まで居るとは思わなかったぞ」

「あの頃の私が見たら、ウケてただろうね」

「まったくだ」

「これプレゼント。使ってよ」

「このペン…、高かっただろ?」

「そんなことないよ」

「さ、さんきゅな」

「なに、その言い方、ウケるwww」

「ウケねぇよ」

 

「比企谷」

「相模…。なんか不思議だな、相模に祝ってもらえるなんて」

「きっかけは、比企谷に迷惑かけちゃったけど、許してもらえたなら、この繋がりは大事にしたいな」

「そうか」

「これ、大したモンじゃないけど、プレゼント」

「モバイルバッテリーか。実用的だな」

「だって、何がいいかわからなかったから…」

「嬉しいよ、ありがとな」

 

「はーちゃん、これぷれぜんとぉ」

「けーちゃん、ありがとな。また似顔絵描いてくれだんだ。嬉しいよ」

「えへへっ。さーちゃん、はーちゃん、うれしいって!」

「良かったね、けーちゃん。私からはこれ…」

「ん?服じゃねぇか」

「古着を改造してみたんだ」

「おぉ、いいよ。新品みたいだ。ありがとな」

 

「八幡…これ」

「ハンカチ…。留美、ありがとな」

「うん」

 

「ではでは、私と大志君からは、これです」

「まて小町。大志と買いに行ったのか?」

「お兄ちゃんが心配することはありませんよ~。お友達だもんね、大志君」

「そ、そうッスよ、あはは…」

(少し大志が不憫に思えてきた)

「ん?Tシャツ…。ウサミンじゃねぇか」

「ウサミン星(千葉)在住アイドルの安倍菜々ちゃんTシャツ!それと、悠木碧のDVD!」

「悠木碧、マジ天使!さすが小町。わかってるな…。みんな若干引いてる?」

「仕方ないよ、ゴミぃちゃんなんだから」

 

「比企谷、私からはこれだ!」

「餃子無料券て…」

「その、あれだ、ラーメン屋に比企谷を誘う機会も減るだろうから…」

「平塚先生…。ありがたくいただきます」

「君が成人したら、ピッタリの酒があるからそれをプレゼントしよう」

「はいはい『ぼっち』ですね」

「チッ!もうやりつくされたネタか…」

 

「先輩!わたしからはこれです!」

「おっ!クッキーか。ありがとな。お菓子作り得意な設定だからな」

「設定って、なんですか!」

「冗談だよ」

 

「比企谷君、私からはバイオリンの生演奏だよ」

「雪ノ下さん、ありがとうございます」

「何かリクエストある?」

「やなぎなぎの曲は出来ますか?」

「リサーチ済み。お姉さんに任せなさい」

 

「ヒッキー!私からはこれ!」

「ありがとう、由比ヶ浜。開けていいか?」

「どうぞ」

「…おい、由比ヶ浜」

「なに?」

「トマトって…」

「ヒッキーが苦手を克服出来るようにだよ」

「参考書の意趣返しか?」

「いしゅがえし?よくわかんないけど、こっちが本当のプレゼントだよ」

「Bluetoothイヤホンか」

「よく教室で聴いてるから」

「由比ヶ浜、ありがとな。嬉しいよ」

 

「比企谷君、私からはこれを」

「ありがとな、雪ノ下。…おい!」

「なにかしら?」

「お前もトマトかよ!」

「冗談よ。それはあとで料理に使うわ。こっちが本物よ」

「まったく…。お、桜島麻衣のサインだ。…それと、豊浜のどかのサインもあるぞ」

「何!八幡、我にも見せよ!」

「ヒッキー、桜島麻衣はわかるけど、もう一人は?」

「スイートバレット知らないのかよ」

「うむ。絶賛売り出し中のアイドルグループよ」

「材木座、説明ありがとう」

「うむ」

「あと、白銀さんとかぐやさんから伝言よ。秀知院に遊びに来いと」

「嫌だよ」

「ヒッキー、私も一緒に行くから行こうよ」

「由比ヶ浜、お前は藤原さんだっけ?仲良くなったからいいけど、俺には無理ゲーだ。一色、お前行ってこい。生徒会運営の意見交換出来るぞ」

「私だって嫌ですよ」

「比企谷君、どうするのかしら?」

「…善処します」

 

ワイワイとパーティは盛り上がり、いい時間になった。

 

「いいのか?片付け任せて」

「貴方は主賓よ」

「そうだよ、ヒッキー!小町ちゃん、ヒッキーお願いね」

「はーい、小町にお任せあれ」

 

「比企谷君」

「なんだ?」

「これを…。一人の時に開けて」

「お、おう」

 

帰り道。

 

「お兄ちゃん、どうだった?」

「あぁ、良かったんじゃねぇの」

「もう、素直じゃないなぁ」

「こんな、誕生日は初めてでな」

「お兄ちゃんには、こんなにたくさん、誕生日を祝ってくれる人が居るんだよ」

「あぁ…」

「もうボッチ返上だね」

「…かもな」

「お兄ちゃん?」

「ん?」

「泣いてるの?」

「ば、バカ。泣いてねぇよ」

「お兄ちゃん♪」

「なんだよ」

「なんでもない♪」

 

部屋に帰り、雪ノ下から渡されたモノを開けると、雪ノ下とお揃いのPC眼鏡が…。

布団を被って悶絶してると、小町にゴミを見るような目で見られました。

 




―――――――――――――――――

誕生日と花火は逆だったかな?逆だな、うん。ごめんなさい。

夏休み編は、そろそろ終わりですかね。
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