珈琲   作:おたふみ

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四十話

文化祭初日。

奉仕部喫茶。只今準備中…。

 

先に女性陣の準備。男の仕度なんぞは早く出来るからな。

 

「久しぶりに着たけど、どうかな?」

川崎はバーテンダー。

「前に見た時も思ったが、似合うよな」

「そ、そう…」

次は相模…。

「どうかな?」

「ん?ファミレスの制服っぽいけど…」

「なんか、北海道にあるファミレスの制服らしいよ。確かワグナ○アだっけ?」

「…。誰の入れ知恵だ?」

「材木座君が比企谷が喜ぶって…。ダメ?」

「いや、ごちそうさまです」

 

由比ヶ浜は、うさぎを注文したくなる喫茶店風。

「ヒッキー!どうかな?」

「これも材木座の入れ知恵か?」

「ヒッキーなら、食いつくって中二が言ってた」

「あの野郎…」

「ダメ?」

「いや、大丈夫だ。推奨するまである」

 

雪ノ下は着物にエプロン。

うさぎを注文したくなる喫茶店のご近所、某和風喫茶の看板娘っぽい。

「紅茶を出すのに着物って、どうなのかしら…」

「雪ノ下は着物似合うから、いいんじゃねぇの」

「そ、そう…」

おのれ材木座め。俺の心がピョンピョンしちまうじゃねぇか。アイツはコーヒーサービスだ。

 

次は、俺と戸塚の番。

俺はバイトの服に着替え、髪をセット。プラス銀縁の伊達眼鏡。

「八幡、カッコいいよ!」

「ありがとう。戸塚も似合ってるぞ」

戸塚も店に合うサイズがあったので、借りてきた。

実は、戸塚は男装しているマフィアのヒットマンではないだろうか…。

「八幡、どうかした?」

「いや、なんでもない」

 

無言で女性陣に見つめられる。

「なんだよ。変か?」

「ふん!」

「に、似合ってるよ」

「ヒッキー、普段からその髪型すればいいのに」

「ダメよ、由比ヶ浜さん。そんなことしたら…ゴニョゴニョ」

「そ、そうだね」

「?」

 

さて開店だな。

 

「由比ヶ浜さんと相模さんはチラシを配ってきて貰えるかしら」

「わかったよ」

「いってきます」

「川崎さんは前払いの会計をお願い。戸塚君は接客を」

「はいよ」

「はい」

 

最初は恐る恐るの営業。致し方ない。誰?うちの生徒?とか聞こえるけど、気にしない。

俺も出来る時は、接客をする。

すると、一人の女子生徒に話かけられた。

「すいません。写真いいですか?」

「いいですよ。スマホ貸してください」

「いえ、一緒に写真を…」

「へ?俺と?」

「はい。ダメですか?」

「いや、参ったな…」

「比企谷、ちょっと…」

川崎に呼ばれ、耳打ちされる。

「撮影一回100円もらって。売上になるから」

「そんなに儲けてどうするんだよ?」

「打ち上げの軍資金」

「なるほどね。じゃあ、入り口に書いておいてくれ」

「了解」

 

「すいません、写真一回100円いただきますが、いいですか?」

「はい。お願いします!」

 

「比企谷君、どういうことなのかしら?」

「川崎から言われた。打ち上げの軍資金にするんだとよ。入り口のポスターに書いてもらった。雪ノ下も男子生徒に言われたら頼む」

「まったく…。但し書きでSNSにアップしないようにと、書き添えなさい」

「了解、川崎に伝えておく」

 

コーヒーと紅茶の売上棒グラフが着々と伸びていく。

おい、いつのまに写真撮影の棒グラフ作ったんだよ。

 

「せんぱ~い!」

「出たよ…」

「なんですかそれ!」

「今は営業中で忙しいんだよ!」

「私もお客ですよ」

「へいへい」

「むむむ…」

「なんだよ、川平慈英か?」

「違いますよ。普段の先輩と違うんで」

「バイト中と変わらん」

「先輩!写真撮りましょう」

「一回100円な」

「え~!私からお金取るんですか!」

「当たり前だ」

「ぶーぶー」

「はいはい、あざとい」

「扱い方が雑です!」

「へいへい」

「…楽しそう…ですね…」

「ん?そうか?」

「だって、先輩笑ってますよ」

「だったら、楽しいんでろうな」→だったら、楽しいんだろうな

「私もこっちに参加したかったなぁ…」

「生徒会だって、楽しいだろ?」

「先輩方との文化祭って、最後なので…」

「ほぅ…。一色、このあと空き時間とかあるのか?」

「12時ぐらいまでないなら…」

「ちょっと待ってろ」

「はぁ…」

 

「雪ノ下、ちょっと」

「なにかしら?」

「実は一色がな…」

「それで…」

「…て、したいんだが、どうだ?」

「やっぱり、貴方は一色さんに甘いわね」

「俺は働かせたいだけだ」

「どうかしらね。いいわよ」

 

「一色、12時までの時間を俺にくれ」

「なんですか口説いてるんですか文化祭ていう特別なイベントで告白なんて素敵なんですが場所を考えてくださいごめんなさい」

「違ぇよ。お前を働かせてやる」

「え?」

「相模!一色と服替えろ。戸塚!このチラシをコピーしてきてくれ」

 

「先輩、着替えました」

「一色は時間まで接客を頼む。相模と戸塚で、この『時間限定、生徒会長がウエイトレス!!』チラシを適当に配ってくれ」

「わかった」

「わかったよ、八幡」

「先輩、本当にやるんですか?」

「あぁ、なんつうの…。思い出作り…かな?」

「いろはちゃん、可愛いよ!一緒にがんばろうね」

「結衣先輩…」

「一色さん、頼むわね」

「雪ノ下先輩…」

「何泣いてんだよ」

「泣いてないですよ!」

「ほら、お客さんだ」

「はい!」

 

一色も参加して、初日の午前中が過ぎていく…。

 

 

 




――――――――――――――――

京アニ放火事件で、お亡くなりになられた方々、お悔やみ申し上げます。ケガをされた方々の一刻も早い回復をお祈り申し上げます。

警察・消防の方々、大変なご苦労だと思います。

アニメファンとして、非常に残念な事件です。一刻も早い真相解明を期待します。

後書きに相応しくないとは思いますが、ご了承下さい。

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