珈琲   作:おたふみ

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四十八話

一色の依頼…。体育祭を盛り上げたい…。

 

「却下!無理!帰れ!」

「先輩、ヒドイです!考えてくださいよ」

「去年と同じでいいだろ」

「民衆は常に新しい娯楽に飢えてるんですよ」

「なにを、それっぽいこと言ってるんだよ」

「雪ノ下先輩、結衣先輩、お願いしますよ~」

「ねぇねぇ、ゆきのん」

「毎年、新しい競技をするのは難しいわね…」

「ほらみろ」

「せめて、考えるだけでも…」

「仕方ないわね。会議に参加するぐらいなら…」

「さすが雪ノ下先輩!」

「会議に参加するだけだからな。意見が出なくても、文句言うなよ」

「はい♪」

「良かったね、いろはちゃん♪」

 

翌日、生徒会室での会議に出席することになった。

 

「う~す」

「あ、先輩、適当に座ってください」

「よお、雪ノ下。相変わらず早いな」

「貴方は教室で話す相手が居ないのに、遅いわね」

「ほっとけ。マッカン買ってたんだよ」

「そう」

「由比ヶ浜は教室で三浦達としゃべってたから…。ほかの連中は?」

「すぐに来ますよ」

 

「お疲れ様です」

「副会長、お疲れ様です」

「よお、本牧」

「比企谷…。いや言うまい…」

「なんだよ」

「なんでもない」

「あそ」

 

「やっはろー!」

「由比ヶ浜、うるさい」

「由比ヶ浜さん、静かに」

「結衣先輩、静かにしてください」

「なんでこんなにアウェイ!」

「適当に座っとけ」

「うん」

 

「すいません、遅くなりました」

「書記ちゃん、お疲れ様」

「お疲れ様です」

「じゃあ、席について」

「は、はい」

 

「…ねぇ、書記ちゃん」

「はい」

「なんで、先輩の隣に座ったの?」

「ごめんなさい。席、決まってたんですか?」

「そうじゃないけど…」

「では、ここで。比企谷先輩もいいですか?」

「あ、別にかまわん」

「くっ…」

 

「で、では体育祭の新競技の会議を始めます」

「中止がいいと思います」

「先輩、マジメに」

「はい、すいません」

「去年の新競技はどうするのかしら?」

「出来れば、継続したいですね」

「なるほどね~」

「コスプレでリレーするのはどつうかな?」

「騎馬戦でコスプレしてるだろ」

「ふたつあってもいいじゃん」

「それも案としては有りですね」

「かなり出尽くしているから、難しいわね」

 

良い案が出ないまま、下校時刻。

 

「では、明日もよろしくお願いします」

「じゃ、お疲れ」

「ヒッキー、帰るの?」

「あ、コーヒー飲みながら一考してから帰る」

「私も行く~」

「私も行こうかしら」

「お前らも行くのかよ」

「先輩、私も行きま~す」

「一色まで来るのかよ」

「僕は行ったことないから、興味がある」

「本牧まで…」

「比企谷先輩、私もいいですか?」

「結局、全員じゃねぇか」

 

「こんばんは」

「おう、今日は大勢だな」

「生徒会の役員も一緒なんで。アイスコーヒー6で」

「坊主、ちょっと手が離せないから、頼む」

「了解です。適当に座っててくれ」

 

「ほい、お待たせ」

「先輩、ありがとうございます」

「本牧と藤沢は初めてだよな?ここのコーヒーは旨いぞ」

「比企谷が饒舌だ…」

「い、いただきます」

「ほい、雪ノ下に由比ヶ浜…」

「ヒッキーって、こぼしたりしないよね」

「そうね、バランス感覚かしら…」

「ステルスモードの応用だ」

「なるほど」

「それなら、納得出来るわね」

「…ん。これって、競技に出来ねぇか?」

「どういうことですか?」

「マスター、プラスチックとか落としても割れないカップありますか?」

「子供用のカップがいくつかあったな」

「ちょっと借ります」

 

「これでよし。由比ヶ浜、お盆に載せて運んでみてくれ。出来るだけ早くな」

「わかった。…意外と難しいね」

「結構、こぼれたな。一色は運動神経は?」

「サッカー部のマネージャーなめないでください」

「じゃあ、やってみな」

 

「よっ、ほっ、あれ?」

「どうだ?」

「難しいですね」

「藤沢は運動は?」

「あまり得意では…」

「やってみてくれ」

「はい」

 

「こぼさないようにすると遅くなりますね」

「でも、こぼれてないな」

「本牧もやってみてくれ」

「わかった」

 

「こぼれてないようにするのと、早く運ぶことの両立は難しいな」

「これで競技の…」

「待ちなさい」

「なんだよ、雪ノ下。不服か?」

「私にもやらせなさい」

「お前、出来ちゃうだろ」

 

「視線をぶれないようにすれば、こぼれてないわね」

「もう攻略法見つけちゃったよ…」

 

「ハイスペックの雪ノ下が出来たのはイレギュラーとして、競技としてはどうだ?」

「ゴールする順番じゃダメですよね…」

「タイムを競う。規定量より少なければ、ペナルティでタイムをプラスする」

「なるほど…。プラカップとかでラインを書いて、その線より少なくなっていたら、ペナルティ10秒とか…」

「さすが本牧。キレるな」

「比企谷に言われてもうれしくないな」

「まぁ、そう言うなよ」

「…」

「どうした?」

「先輩と副会長って、仲が良いんですね」

「いや、別に」

「顔みたら、少し話す程度だけどな」

「まず、比企谷の顔をなかなか見ないけどな」

「ほっとけ」

「いやいや、普通に会話してるじゃないですか。先輩が普通に会話してるのが、珍しいですよ」

「よく話すぞ、戸塚とか戸塚とか戸塚」

「全部、彩ちゃんだし」

「先輩、キモイです」

「まったく、比企谷君は…」

「比企谷先輩って…」

「比企谷…」

 

新競技決定!!

コスプレリレー?採用されました。

 


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