珈琲   作:おたふみ

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五十話

なんで俺はこんな格好しているんだ…。

「いいよ、比企谷君のアイドル風衣装」

「海老名さん、なんなのこれ?」

「ソシャゲのキャラだよ」

「やぁ、比企谷」

「葉山…。お前もか」

「作品の垣根の越えて、キマシタワー!」

「姫菜!擬態しろし!」

「三浦も出るのか?って、銀髪に眼帯って…」

「姫菜が着ろって…」

「本当はドリル的な作品の方が良かったけど…」

「あんなの着れないし!」

「海老名さんは、セーラー服なんだな」

「もってけセーラー服的な感じだね」

「ヒッキー!」

「由比ヶ浜も制服っぽいけど、金髪ポニテ…」

「どうかな?」

「いいんじゃねぇの」

「そう?えへへ」

「八幡!」

「おう、戸塚…。戸塚も制服っぽいな。しかも、デカイリボンだな」

「あとね、由比ヶ浜さんのことを『お嬢』って呼ぶようにって」

「なるほどな」

(すると、戸塚は女なのか?)

「何か気持ち悪いことを考えてないかしら?」

「うおっ!雪ノ下か、脅かすなよ」

「どうかしら、この衣装?」

「なんか、魔法を使いそうな衣装だな(氷系)」

「材木座君も、そんなことを言っていたわ」

「試しに『お兄様』と言ってみてくれ」

「お兄様」

「ぐはっ!」

「ど、どうしたの!比企谷君!」

「だ、大丈夫だ」

「グリーンのワンピースもあったのだけど、すごい姉が居る設定と聞いて、やめたわ」

「リアルにすごい姉が居るからな」

 

「お兄ちゃ~ん」

「小町、お前も出るのか?」

「そうだよ。どう?この衣装?」

「グリーンのワンピース…。居たよ、すごい姉」

「何?文句あるわけ?」

「文句ねぇよ、S級2位」

「私だけで、十分なのよ。ふんっ」

「行っちゃったよ…」

 

「わわわ、忘れ物~♪あ、ヒキタニ」

「大岡、お前も出るのか?」

「なんかブレザー着せられたよ」

「まぁ、がんばれよ。たにぐ…、大岡」

 

これが最後の競技。これで勝てば逆転…。まぁ、俺がアンカーの時点で負けだな。

 

「ねぇ、比企谷君」

「どうした、雪ノ下」

「去年、城廻先輩が勝ちたいって言ってたのが、少しわかったわ」

「…そうか」

「比企谷君…。勝ちましょうね」

 

おいおい、そんな顔すんなよ。

 

リレーが始まり、抜きつ抜かれつのデットヒート。

「うわ~ん、抜かれちゃったよぉ」

「由比ヶ浜、よく頑張ったよ」

「由比ヶ浜さん、私が逆転するわ」

 

有言実行、雪ノ下は見事に逆転。

そろそろ、俺の番か…。少しリードはしているが、相手は葉山。厳しいな。

 

「比企谷君」

「なんだ、雪ノ下」

「…勝って」

「そんな悲壮な顔するな。出来れば、笑顔で送り出してくれ」

「え、えぇ。そうね」

「それに…」

「それに?」

「俺は逃げ足は早いんだよ」

「ふふっ、そうね」

「やっぱ、雪ノ下は…。なんでもない。行ってくる」

 

「よう、葉山」

「君とアンカー対決とはね」

「ま、気楽にやってくれや」

「いや。君には負けたくないからね」

「そんなに、気負うなよ。ここで負けたって、ほかはお前が勝ってるだろ」

「そうでもないさ」

「そうか?」

「いずれわかるさ」

「じゃあな」

 

スタートしたのはいいが、差が微妙だな。

葉山もスタートしたみたいだな。すげぇな黄色い声援が。さすがリア充王だな。

なんか『比企谷先輩』とか『比企谷さん』とか聞こえるけど、キモイとか言われてるんですかね。

やべぇ、葉山早ぇよ、並ばれたぞ。

…雪ノ下。そんな顔して見んなよ。俺はお前のそんな顔見たくないんだ…よ!!!!

 

 

 

 

「比企谷君!!」

「はぁはぁはぁ…。勝ったぞ、雪ノ下!!」

「えぇ」

「はぁはぁはぁ、やっぱ雪ノ下は笑顔の方がいいな…」

「え?」

「はぁはぁはぁ…。疲れた…」

 

「ヒッキー!!」

「おう!由比ヶ浜。勝ったぞ」

「やったね!!」

「なにをやっているのかしら?」

「だ、だだだ、抱きつくな!」

「わぁ、ごめん」

 

逆転で赤組の勝利で体育祭は終わった。

 

打ち上げ?帰らせてください。

 


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