珈琲   作:おたふみ

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五十七話

奉仕部部室

 

「う~す」

「やっはろー!」

「あれ?由比ヶ浜だけか?」

「ゆきのんは平塚先生に呼ばれて、職員室行ったよ」

「ほ~ん、そっか」

「どうかしたの?」

「いや、雪ノ下が居ないなら丁度いい」

「なに?」

「少し寝させてくれ」

「寝不足なの?」

「寝付けないから、小説読みはじめたら止まらなくてな」

「わかった。ゆきのん帰ってきたら起こすね」

「すまんが、頼む」

 

(…ん?なんか頭撫でられてる?)

「ヒッキーの寝顔可愛い」

(ゆ、由比ヶ浜!!な、なんで由比ヶ浜に撫でられてるの!)

「撫で心地もいいし」

(な、なんで由比ヶ浜は俺の頭を撫でるんだ?)

「ねぇ、ヒッキー…」

(なんでしょうか?)

「ヒッキーはゆきのんのこと好きなの?」

(そ、それはなんと言いますか)

「私はね、ヒッキーのこと…」

 

コンコン

 

「ひゃ!ひゃい!」

「失礼します」

「あ、書記ちゃん、どうしたの?」

「あの、比企谷先輩にお願いが…」

「ヒッキー、起きて」

「ん、どした…」

「書記ちゃんが来てるよ」

「ごめんなさい、起こしてしまって」

「…いや、大丈夫だ。どうした?」

「重い書類があるんですが、副会長が休みで…」

「一色はどうした?」

「サッカー部に顔出してます」

「仕方ない、行くか。由比ヶ浜、留守番頼めるか?」

「私も行くよ」

「いや、依頼があったら困るだろ?お前にしか頼めない」

「私にしか…?」

「そう。由比ヶ浜にしか…」

「うん!留守番する!」

(ちょろいな)

(ちょろいですね)

 

 

「ふう、これでいいか?」

「ありがとうございます、比企谷先輩」

「これぐらいならな。さてと…」

(部室で寝ると、また由比ヶ浜に撫でられそうだな…)

「藤沢、生徒会室で休んでも平気か?」

「えぇ、大丈夫ですよ」

「んじゃ、少し寝させてもらうわ」

 

(…なんで、藤沢に頭撫でられてるの?)

「比企谷先輩、よく寝てる」

(いいえ、起きてます)

「比企谷先輩は、誰が好きなんですか?」

(そんなこと言えません!)

「私は…」

「書記ちゃん、お待たせ」

「ひゃい!」

「どうしたの?」

「な、なんでもないです、会長」

「?」

「わ、私、用事を思い出したので帰ります!」

「お疲れ様」

 

「先輩、よく寝てる」

(だから、起きてます!起きるタイミングを逃しただけです!)

「一度、やってみたかったんですよね」

(なんで一色まで頭撫でるの!)

「目を閉じていれば、イケメンなんですよね」

(はい、目が色々台無しにしてます)

「先輩は、気がついてなんですかね?」

(なんのことでしょうか?)

「気がついているなら、悪趣味ですよね」

(そういわれましても…)

「私は先輩のことが…」

 

コンコンコン

「は、はい!」

「失礼するわ」

「雪ノ下先輩、どうしたんですか?」

「そこの寝坊助谷君を引き取りに来たの」

「あ、そうなんですね。先輩、起きてください」

「ん、一色…、それに雪ノ下」

「比企谷君、部室に戻るわよ」

「あいよ…。眠い…」

「特別に部室で寝るのを許可するから」

「さんきゅ、雪ノ下」

(由比ヶ浜も雪ノ下が居れば、撫でることもないだろ…)

 

カシャッ

(ん?今、シャッター音がしなかったか?)

「ふふふ♪」

(雪ノ下!!)

「比企谷君の寝顔…。ふふふ♪」

(俺の寝顔撮ったの?)

「ただいま~」

「おかえりなさい、由比ヶ浜さん」

「ヒッキー、まだ寝てるね」

(起きてます)

「そろそろ下校時間だから、起こしましょう」

「ヒッキー、起きて」

「比企谷君、起きなさい」

「ん、おはよう」

「下校時間よ。早く帰って寝なさい」

「おう、そうさせてもらうわ」

(少しも寝れた気がしないからな)

 

 

 

 

 


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