珈琲   作:おたふみ

64 / 116
五十九話

 

金曜日 夜

比企谷家

 

「いいなぁ、京都旅行…」

「ん、代わりに行くか?」

「うえぇ。そういうこと言うのはポイント低いよ」

「冗談だ。アイツらに楽しんでほしいんだ。その為には…」

「お兄ちゃんも楽しまないと、雪乃さんも結衣さんも楽しめないよ」

「そういうことだ」

「だからって、聖地巡りは却下だよ」

「うっ!わかったよ」

「今回は、お土産話期待してるよ」

「おう、わかった」

「お~い、愚息」

「なんだよ、クソ親父」

「じゃあ、小遣いは無しだ」

「なんでございましょうか、御父様」

「気持ち悪い」

「お兄ちゃん、キモイよ」

「明日から雪ノ下と由比ヶ浜の娘達と旅行だろ?だから、小遣いをやろう」

「ありがとな、親父」

「あと、これを持っていけ」

「これは…」

「備えあれば憂いなしだ」

「お兄ちゃん何?」

「小町は見ちゃいけません!親父!」

「必要だろ?」

「必要ねぇよ!変なハンドサインをするな!親指をピコピコさせるな!」

「お兄ちゃん何?」

「こ、小町には、まだ早い!って、あっ!」

「これって…。お父さんのスケベ!変態!お母さ~ん!お父さんが…」

「あっ!小町!」

「親父、お袋に怒られてくれ」

 

同時刻

由比ヶ浜家

 

「結衣、支度できた?」

「大丈夫だよ。ママは『ようじやのあぶらとり紙』だね」

「京都土産の定番よね」

「結衣、これも持っていきなさい」

「パパ、なにこれ?」

「八幡君と、もしもの時の為に…」

「パ、パパ!こんなのいらないよ!!」

「え?結衣は使わないの?」

「マ、ママもなに言ってるの!しないからね」

「そんなんじゃ、雪乃ちゃんにヒッキー君とられちゃうわよ」

「うぅ~、がんばるけど…」

「大丈夫!子供が出来たら、パパとママが助けてあげるから」

「まだ付き合ってもないのに、そんなことしないよ!」

「世の中には『既成事実』という言葉があるぞ」

「知らない!!」

 

同時刻

雪ノ下雪乃のマンション

 

「雪乃ちゃん、準備は?」

「大丈夫よ、姉さん」

「私も行きたいなぁ」

「姉さんは、何か用事が?」

「お父さんの名代でね、色々と…」

「ごめんなさい、私ばっかり…」

「気にしないで。今回は雪乃ちゃん達の為だから」

「ありがとう、姉さん」

「あ、お父さんから、これ預かってたんだ」

「何かしら?…姉さん、中身は見たのかしら?」

「ん?見てないよ。なんだったの?」

「こ、これ…」

「あっ!コン○ーム!」

「えっ!いやっ!これを持っていっても…」

「えっ?雪乃ちゃん、使わないでスルの?」

「そういうことじゃなくて、そんなことしないわよ」

「そんなんじゃガハマちゃんにとられちゃうよ」

「うぅぅ…」

 

翌朝

 

「比企谷様、おはようございます」

「おはようございます、都築さん。よろしくお願いします」

「比企谷君、おはよう」

「やっはろー♪」

「うっす」

「では、出発いたします」

 

「東京駅まで、車で送ってもらうのは助かるな」

「そうだね」

「東京駅での京葉線ホームの疎外感たらないからな。千葉への嫌がらせなのか?」

「そんなことはないと思うのだけど…」

「ディステニーランドがある千葉への嫉妬かもしれん」

「それはあるかもしれないわね」

「それはあるんだ…」

「お前らは、どこに行きたいか決まってるのか?」

「太秦映画村行きたい!」

「私は…」

「猫猫寺だろ?」

「何故、それを…」

「ヒッキー、なにそれ?」

「比叡山の麓のテーマパークみたいなモンだ」

「ゆきのんは、そこだね」

「俺は新撰組屯所跡かな」

「楽しみだね」

「ええ、そうね」

「楽しもうな」

 




比企谷家のやりとりを追加しました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。