金曜日 夜
比企谷家
「いいなぁ、京都旅行…」
「ん、代わりに行くか?」
「うえぇ。そういうこと言うのはポイント低いよ」
「冗談だ。アイツらに楽しんでほしいんだ。その為には…」
「お兄ちゃんも楽しまないと、雪乃さんも結衣さんも楽しめないよ」
「そういうことだ」
「だからって、聖地巡りは却下だよ」
「うっ!わかったよ」
「今回は、お土産話期待してるよ」
「おう、わかった」
「お~い、愚息」
「なんだよ、クソ親父」
「じゃあ、小遣いは無しだ」
「なんでございましょうか、御父様」
「気持ち悪い」
「お兄ちゃん、キモイよ」
「明日から雪ノ下と由比ヶ浜の娘達と旅行だろ?だから、小遣いをやろう」
「ありがとな、親父」
「あと、これを持っていけ」
「これは…」
「備えあれば憂いなしだ」
「お兄ちゃん何?」
「小町は見ちゃいけません!親父!」
「必要だろ?」
「必要ねぇよ!変なハンドサインをするな!親指をピコピコさせるな!」
「お兄ちゃん何?」
「こ、小町には、まだ早い!って、あっ!」
「これって…。お父さんのスケベ!変態!お母さ~ん!お父さんが…」
「あっ!小町!」
「親父、お袋に怒られてくれ」
同時刻
由比ヶ浜家
「結衣、支度できた?」
「大丈夫だよ。ママは『ようじやのあぶらとり紙』だね」
「京都土産の定番よね」
「結衣、これも持っていきなさい」
「パパ、なにこれ?」
「八幡君と、もしもの時の為に…」
「パ、パパ!こんなのいらないよ!!」
「え?結衣は使わないの?」
「マ、ママもなに言ってるの!しないからね」
「そんなんじゃ、雪乃ちゃんにヒッキー君とられちゃうわよ」
「うぅ~、がんばるけど…」
「大丈夫!子供が出来たら、パパとママが助けてあげるから」
「まだ付き合ってもないのに、そんなことしないよ!」
「世の中には『既成事実』という言葉があるぞ」
「知らない!!」
同時刻
雪ノ下雪乃のマンション
「雪乃ちゃん、準備は?」
「大丈夫よ、姉さん」
「私も行きたいなぁ」
「姉さんは、何か用事が?」
「お父さんの名代でね、色々と…」
「ごめんなさい、私ばっかり…」
「気にしないで。今回は雪乃ちゃん達の為だから」
「ありがとう、姉さん」
「あ、お父さんから、これ預かってたんだ」
「何かしら?…姉さん、中身は見たのかしら?」
「ん?見てないよ。なんだったの?」
「こ、これ…」
「あっ!コン○ーム!」
「えっ!いやっ!これを持っていっても…」
「えっ?雪乃ちゃん、使わないでスルの?」
「そういうことじゃなくて、そんなことしないわよ」
「そんなんじゃガハマちゃんにとられちゃうよ」
「うぅぅ…」
翌朝
「比企谷様、おはようございます」
「おはようございます、都築さん。よろしくお願いします」
「比企谷君、おはよう」
「やっはろー♪」
「うっす」
「では、出発いたします」
「東京駅まで、車で送ってもらうのは助かるな」
「そうだね」
「東京駅での京葉線ホームの疎外感たらないからな。千葉への嫌がらせなのか?」
「そんなことはないと思うのだけど…」
「ディステニーランドがある千葉への嫉妬かもしれん」
「それはあるかもしれないわね」
「それはあるんだ…」
「お前らは、どこに行きたいか決まってるのか?」
「太秦映画村行きたい!」
「私は…」
「猫猫寺だろ?」
「何故、それを…」
「ヒッキー、なにそれ?」
「比叡山の麓のテーマパークみたいなモンだ」
「ゆきのんは、そこだね」
「俺は新撰組屯所跡かな」
「楽しみだね」
「ええ、そうね」
「楽しもうな」
比企谷家のやりとりを追加しました。