珈琲   作:おたふみ

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六十二話

京都三日目

 

(由比ヶ浜とエロゲイベント?ねぇよ。悪かったな、ヘタレで)

 

「う~す」

「やっはろー」

「おはよう、比企谷君」

「今日はどうする?帰る?」

「いや、帰るけど、もう少し見ようよ」

「実は、鉄道博物館行きたいんだけど、いいか?」

「なかなか男の子らしい選択ね」

「いつまでも、男は少年の心を持っているんだよ」

 

「すご~い!トーマスの駅みたいだよ」

「この転車台が見たかったんだよ」

「これは興味深いわね」

「男子は鉄道が好きなんたよ。999とかシンカリオンとか、マイガイ…」

「最後、言いかけたげどなに?」

「いや、材木座が出てきそうな気がしたから…」

「さすがに、それはないと思うのだけど…」

 

「さてと、そろそろ新幹線の時間だな」

「残念だけど、そのようね」

「遊んだね。陽乃さんに感謝しないとね」

「まったくだ」

 

「由比ヶ浜さん、寝てしまったわね」

「はしゃいでたからな。仕方ないだろ」

「そうね。ねぇ、比企谷君」

「なんだ?」

「あの時のこと、覚えてる」

「忘れた」

「嘘つき」

「悪かったな。正確に言えば思い出したくない」

「そうよね。私もなの…」

「嫌な記憶なんて蓋しちまえよ」

「時々、夢を見るの。比企谷君が…、貴方が海老名さんに告白して、そのまま一緒に歩いていってしまうの」

「そんなことあるわけ…」

「呼んでも振り向いてもくれない。比企谷君、私を、私を置いていかない…で…」

「雪ノ下?寝ちまったのかよ…。置いていかねぇよ。お前こそ待っててくれよ」

 

「う、ううん…。ヒッキー?」

「由比ヶ浜、起きたのか?」

「うん。ゆきのんは…。寝てるね」

「まだ少しかかるから、寝かしといてやれ」

「うん。ヒッキーは真っ直ぐ帰るの?」

「いや、銀ブラしてこうかと思ってな」

「ぎんぶら?」

「銀ブラ」

「銀…、ブラ…。ヒッキー、エロイ!キモイ!」

「比企谷君が気持ち悪いのは認めるけど、銀ブラは意味が違うわよ、由比ヶ浜さん」

「ごめん、ゆきのん。起こしちゃったね」

「気持ち悪いを認めるなよ」

「『銀座でブラジルコーヒーを飲む』が元で、今では『銀座をブラブラする』ことが銀ブラと言われているのよ」

「へ~。じゃあ、ヒッキーは銀座に行くの?」

「ちょっとな。ブラジルコーヒーではないが、コーヒー屋に寄ろうと思ってな」

「どうして銀座でコーヒーを?」

「マスターが前に、銀座でコーヒーが旨い店があるって言ってたんだよ」

「…。比企谷君、私も行っていいかしら?」

「私も行きたい!」

「かまわないぞ。じゃあ、三人で行くか」

「そうね」

「うん!」

 

 


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