珈琲   作:おたふみ

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六十三話

京都旅行も終わり、奉仕部は通常営業中。

 

「こんにちは~」

「いろはちゃん、やっはろー!」

「こんにちは、一色さん」

「げっ!」

「『げっ!』ってなんですか、先輩!可愛い後輩が来たんですよ」

「はい、あざといあざとい」

「あざとくないです!」

「まあまあ、いろはちゃん。生八つ橋食べる?」

「え?私もお土産に買ってきたんですけど…」

「私達も京都行ってきたんだ」

「一色さんも緑茶でいいかしら?」

「あ、はい。いただいます」

 

「実は三人にお願いがありまして…」

「えっ!いろはちゃん。依頼?」

「依頼ではないんですが…」

「依頼ではないと…。だが断る!」

「やめなさい。比企谷君」

「男子の言ってみたいセリフベスト5に入る名言だ。で、どうしたんだ?」

 

一色が一枚の紙を差し出す。

 

「生徒会長選挙の推薦人名簿…、だよね?」

「はい。ぜひ、先輩方に最初に書いて欲しくて」

「一色さん…」

「いろはちゃん…」

「雪ノ下、部長だろ?最初に書いてやれ」

「書かせていただくわね」

 

雪ノ下が書き始めると、ノックが。

 

「どうぞ」

「失礼します。あっ、先を越された」

「書記ちゃん!」

「どうしたのかしら?」

「私も推薦人名簿書いてほしくて…」

「藤沢も会長に?」

「いえ、私は副会長に立候補しようかと。副会ち…本牧さんに推されまして…」

「そうか。ほら、貸しな。書くから」

「先輩、私の時と対応が違います!」

「うるせぇ…。ん、本牧に書いてもらったんだな」

「…はい」

「そうか。前に進んだんだな」

「はい」

 

「いろはちゃん。ヒッキーと書記ちゃんて、何かあったの?」

「書記ちゃん、先輩に告白したらしいんです」

「えっ!」

「声が大きいですよ。先輩はフッたみたいなんですけど、副会長が慰めてたら…」

 

「何こそこそしゃべってるんだ?藤沢のも書いてやれ」

「う、うん…」

「一色さん、由比ヶ浜さん」

「ひゃい!」

「へゃい!」

「その話、あとで私にも詳しく…」

 

藤沢の推薦人名簿を書いていると、またノックが

 

「こんにちは!」

「おぉ、小町!お兄ちゃんに会いたくなったか?」

「うへぇ、そんなわけないでしょ」

「やめなさい、シスコン谷君」

「小町ちゃん、どうしたの?」

「これを書いてもらおうかと!ババン!」

「SEを口で言わないでね、小町ちゃん」

「ゴミぃちゃんは、ほっといて」

「ひでぇ」

「生徒会役員に立候補します!バーン!」

「だから、やめなさい」

「小町ちゃんも」

「私としては、先輩の妹ちゃんが生徒会に入ってくれれば、助かります」

「藤沢はどうだ?」

「文実での働きも良かったですし、問題ないと思います」

「だとよ、小町」

「ではでは小町は会計に立候補します!」

「総武高は安泰だな」

「一色さん、来年は助けてあげられないけど、しっかりね」

「はい」

「いろはちゃん、頑張ってね」

「はい」

「ま、小町が居るから大丈夫だろ」

「シスコン!」

「ちげぇよ」

 

「今日は終わりにしましょうか」

「いろはちゃん、一緒に帰ろう♪」

「ゆきのんも♪」

「えぇ」

「小町もご一緒しても?」

「いいよ♪」

「あの…、私も…」

「サワサワも来なよ」

「おい、それは藤沢のことか?」

「え?そうだよ」

「由比ヶ浜さん、それは…」

「結衣先輩、そのアダ名は…」

「えぇ!可愛いじゃん」

「結衣さん、かわいくないです…」

「あ!俺は用事があるから行くぞ。お先に」

 

「比企谷君が用事?」

「ヒッキーが?」

「先輩が?」

「比企谷先輩が?」

「お兄ちゃんが?」

 

サイゼリア

「藤沢さん」

「はい」

「私達は決して、面白半分に聞く訳ではなくて、真剣に聞きたいの」

「はい」

「その…、比企谷君に…こ、こく…」

「告白したの?」

「由比ヶ浜さん!」

「あ、ごめんね」

「いえ…。告白したというより、好きな人を聞いてみたんです…」

「ふんふん、それで」

「一色さん、食い付き過ぎよ」

「それで、『私はどうですか?』って聞いたら…」

「うんうん」

「『薄々そうじゃないかと思っていたが。悪いが、藤沢とは付き合えない』って…」

「そう…、だったのね…」

「先輩が『とは』と言ったってことは…」

「比企谷先輩は『今、目指してるところがある。そこにたどり着けたら、告白する』って。誰かまでは聞けませんでした」

「お兄ちゃんの好きな人かぁ…」

「あと、『藤沢のこと、見てくれてるヤツが居るから、ソイツを大事にしろ』って言われました」

「比企谷君らしいわね。でも、その彼の為にフッた訳ではなさそうね」

 

コーヒーショップ

「悪いな、本牧。数字見てもらって。雪ノ下ばっかりだと悪くて」

「比企谷、ここ間違えてる」

「マジか」

「マジだ」

「…で、どうなんだ?」

「何がだ?」

「藤沢だよ」

「傷心につけこんでるみたいで、心苦しいんだがな…」

「それでも、俺みたいなヤツよりは、お前の方がいいだろ」

「そんなことないだろ」

「それに…」

「それに?なんだ?」

「いや、なんでもない」

「好きなひとがいるんだろ?」

「な、なぜそれを…」

「カマかけただけだ」

「おのれ、本牧…」

「ここ、計算ミス」

「はい、すいません…」

「誰かは聞かないが、頑張れよ」

「ありがとよ」

 

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