京都旅行も終わり、奉仕部は通常営業中。
「こんにちは~」
「いろはちゃん、やっはろー!」
「こんにちは、一色さん」
「げっ!」
「『げっ!』ってなんですか、先輩!可愛い後輩が来たんですよ」
「はい、あざといあざとい」
「あざとくないです!」
「まあまあ、いろはちゃん。生八つ橋食べる?」
「え?私もお土産に買ってきたんですけど…」
「私達も京都行ってきたんだ」
「一色さんも緑茶でいいかしら?」
「あ、はい。いただいます」
「実は三人にお願いがありまして…」
「えっ!いろはちゃん。依頼?」
「依頼ではないんですが…」
「依頼ではないと…。だが断る!」
「やめなさい。比企谷君」
「男子の言ってみたいセリフベスト5に入る名言だ。で、どうしたんだ?」
一色が一枚の紙を差し出す。
「生徒会長選挙の推薦人名簿…、だよね?」
「はい。ぜひ、先輩方に最初に書いて欲しくて」
「一色さん…」
「いろはちゃん…」
「雪ノ下、部長だろ?最初に書いてやれ」
「書かせていただくわね」
雪ノ下が書き始めると、ノックが。
「どうぞ」
「失礼します。あっ、先を越された」
「書記ちゃん!」
「どうしたのかしら?」
「私も推薦人名簿書いてほしくて…」
「藤沢も会長に?」
「いえ、私は副会長に立候補しようかと。副会ち…本牧さんに推されまして…」
「そうか。ほら、貸しな。書くから」
「先輩、私の時と対応が違います!」
「うるせぇ…。ん、本牧に書いてもらったんだな」
「…はい」
「そうか。前に進んだんだな」
「はい」
「いろはちゃん。ヒッキーと書記ちゃんて、何かあったの?」
「書記ちゃん、先輩に告白したらしいんです」
「えっ!」
「声が大きいですよ。先輩はフッたみたいなんですけど、副会長が慰めてたら…」
「何こそこそしゃべってるんだ?藤沢のも書いてやれ」
「う、うん…」
「一色さん、由比ヶ浜さん」
「ひゃい!」
「へゃい!」
「その話、あとで私にも詳しく…」
藤沢の推薦人名簿を書いていると、またノックが
「こんにちは!」
「おぉ、小町!お兄ちゃんに会いたくなったか?」
「うへぇ、そんなわけないでしょ」
「やめなさい、シスコン谷君」
「小町ちゃん、どうしたの?」
「これを書いてもらおうかと!ババン!」
「SEを口で言わないでね、小町ちゃん」
「ゴミぃちゃんは、ほっといて」
「ひでぇ」
「生徒会役員に立候補します!バーン!」
「だから、やめなさい」
「小町ちゃんも」
「私としては、先輩の妹ちゃんが生徒会に入ってくれれば、助かります」
「藤沢はどうだ?」
「文実での働きも良かったですし、問題ないと思います」
「だとよ、小町」
「ではでは小町は会計に立候補します!」
「総武高は安泰だな」
「一色さん、来年は助けてあげられないけど、しっかりね」
「はい」
「いろはちゃん、頑張ってね」
「はい」
「ま、小町が居るから大丈夫だろ」
「シスコン!」
「ちげぇよ」
「今日は終わりにしましょうか」
「いろはちゃん、一緒に帰ろう♪」
「ゆきのんも♪」
「えぇ」
「小町もご一緒しても?」
「いいよ♪」
「あの…、私も…」
「サワサワも来なよ」
「おい、それは藤沢のことか?」
「え?そうだよ」
「由比ヶ浜さん、それは…」
「結衣先輩、そのアダ名は…」
「えぇ!可愛いじゃん」
「結衣さん、かわいくないです…」
「あ!俺は用事があるから行くぞ。お先に」
「比企谷君が用事?」
「ヒッキーが?」
「先輩が?」
「比企谷先輩が?」
「お兄ちゃんが?」
サイゼリア
「藤沢さん」
「はい」
「私達は決して、面白半分に聞く訳ではなくて、真剣に聞きたいの」
「はい」
「その…、比企谷君に…こ、こく…」
「告白したの?」
「由比ヶ浜さん!」
「あ、ごめんね」
「いえ…。告白したというより、好きな人を聞いてみたんです…」
「ふんふん、それで」
「一色さん、食い付き過ぎよ」
「それで、『私はどうですか?』って聞いたら…」
「うんうん」
「『薄々そうじゃないかと思っていたが。悪いが、藤沢とは付き合えない』って…」
「そう…、だったのね…」
「先輩が『とは』と言ったってことは…」
「比企谷先輩は『今、目指してるところがある。そこにたどり着けたら、告白する』って。誰かまでは聞けませんでした」
「お兄ちゃんの好きな人かぁ…」
「あと、『藤沢のこと、見てくれてるヤツが居るから、ソイツを大事にしろ』って言われました」
「比企谷君らしいわね。でも、その彼の為にフッた訳ではなさそうね」
コーヒーショップ
「悪いな、本牧。数字見てもらって。雪ノ下ばっかりだと悪くて」
「比企谷、ここ間違えてる」
「マジか」
「マジだ」
「…で、どうなんだ?」
「何がだ?」
「藤沢だよ」
「傷心につけこんでるみたいで、心苦しいんだがな…」
「それでも、俺みたいなヤツよりは、お前の方がいいだろ」
「そんなことないだろ」
「それに…」
「それに?なんだ?」
「いや、なんでもない」
「好きなひとがいるんだろ?」
「な、なぜそれを…」
「カマかけただけだ」
「おのれ、本牧…」
「ここ、計算ミス」
「はい、すいません…」
「誰かは聞かないが、頑張れよ」
「ありがとよ」