珈琲   作:おたふみ

7 / 116
閑話

一色いろはの想い

 

奉仕部に遊びに来たら、凄い場面に遭遇してしまった。思わず聞き耳を立ててしまったけど…。

 

やっぱり、あの三人の間に入るの無理なのかなぁ…。少しギクシャクしてるように見えた時もあったけど、あの絆は羨ましい。私もあの中に入れたらなぁ…。敵わないなぁ…。

 

でも、恋愛は別!先輩を諦めた訳じゃない!お二人には負けません!

 

先輩が煎れたコーヒー、飲んでみたいなぁ。今度、おねだりしてみようかな♪

 

 

――――――――――――――――――――

 

川崎沙希の心配

 

小町には心配ないって連絡したけど、どんな店なんだろう。

勇気を出して、入ってみよう。

 

「いらっしゃい。若いお嬢さんとは、珍しいな」

「…どうも」

 

渋いおじさん?おじさま?とにかく、渋くて格好いいマスターだ。

 

「何にしますか?」

「えっと…」

「特に決まってないなら、ブレンドが無難だ。それに、自信もある」

 

何そのニヤリとした顔。年上好きの娘がみたら、即落ちしそう。

 

「じゃ、じゃあ、それで」

 

素人の私にもわかる…。ものすごく丁寧に…、繊細に…。不味いはずがない。

 

「お待たせ」

「あ、ありがとう…ございます…」

「初めて来た時のアイツみたいだな」

「たぶん、私のクラスメイトです」

「そうか。アイツと仲良くしてやってくれ」

「え?」

「アイツは、たぶん辛い思いをしてきたんだろうな。そうじゃなきゃ、あの歳であんな目にはならない」

「…はい。優しいのに周りに気づいてもらえなくて、人助けをする為に自分が傷ついて、自分に向けられる行為の裏を考えて動けなくなって…。たぶん、たくさん裏切られたりしたんだと思います」

「嬢ちゃんは、アイツのことよく見てるんだな」

「あっ、いや…、その…私もアイツに助けられました。なにか恩返しがしたいんですが『気にするな』の一点張りで…」

「そういうところが憎めないんだよ」

「はい」

「あんな目になっちまうほど、辛い思いをしても、どこかで人を信用している」

「そうじゃなきゃ、人助けなんて出来ませんから」

「そうだな」

「アイツは今も苦しんでいるのかな…」

「大丈夫だろ」

「どうしてですか?」

「この前、コーヒーの煎れ方を悩んでいたが、ちょっと教えたら、なにか憑き物が落ちたみたいな顔してたからな。何か掴んだんだろうな。いい目をして帰っていったぞ」

「そう…ですか」

「だが、またつまずいたりするだろう。その時は、嬢ちゃんの出番があるかもしれない。その時は助けてやってくれ」

「はい、必ず!」

「嬢ちゃんも、いい顔になったな」

「あ、いや、その…」

「はははっ!」

 

 

「ご馳走さまでした」

「気が向いたら、また来てくれ」

 

この店、入って良かった。比企谷のことも少しわかったし…。

今度はアイツと二人で来たいな…。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。