いつも通りの放課後
「ねぇねぇ、ヒッキー」
「ん?なんだ」
「川島瑞樹と高垣楓のどっちが好き?」
「お前、そんなこと聞いてないで勉強しろよ」
「いいじゃん!」
「それは、私も聞きたいわね」
「雪ノ下も食い付くなよ」
「ねぇねぇ、どっち?」
「どっちなのかしら?」
「なんで、そんなにノリノリなんだよ」
(助けて!誰か依頼に来て!)
ガラガラ
「夜空の星が輝く陰で
悪(ワル)の笑いがこだまする
星から星に泣く人の
涙せおって宇宙の始末
銀河旋風ブ○イガ―
およびとあらば、即参上!」
「…」
「…」
「…平塚先生、呼んでないです」
「平塚先生、ノックを…」
「で、ブラ○ガーをマスターと観たってノロケ話ですか?」
「い、いや、ノロケではなくてだな…、まだ付き合ってないというか…」
「へ~」
「ふ~ん」
「な、なんだ!ニヤニヤするな!」
「平塚先生、今日は依頼ですか?」
「ああ、そうだった。入りたまえ」
「はろはろ~」
「姫菜、どうしたの?」
「依頼…というか、比企谷君に頼みが…」
「比企谷君に?」
「ヒッキーに?」
「おい雪ノ下、俺を睨むな。由比ヶ浜、目のハイライトを消すな」
「比企谷君!冬コミの原稿手伝って!」
「もう、そんな時期か…。で、なんで俺なんだ?」
「夏コミのオリジナルが好評で、ストーリーの意見も聞きたくて…。ダメ?」
(上目遣いとか卑怯だろ)
「あれかぁ…。まぁ、あれだ。部長の許可がないとな」
「仕方ないわね。同人誌に関しては、私も由比ヶ浜さんも力になれないから」
「わかった。引き受ける」
「じゃあ、早速今日からね」
「えっ!マジ!」
「マジだよ」
「じゃあ、行ってくる」
「ねぇ、ゆきのん」
「なにかしら?」
「姫菜の手伝いって、どこでやるのかな?」
「漫研かしら?」
「姫菜、漫研入ってないよ」
「まさか…」
「そんなことないよね…」
「なあ?」
「なにかな?比企谷君」
「なんで、俺は海老名さんの部屋に居るんだ?」
「同人誌の手伝いの為だよ」
「いや、他にも場所あったでしょ?」
「まさか、女の子と二人っきりだからって…」
「お、おい…」
「エロ同人誌みたいなことするのね」
「ネタじゃねぇかよ…。まったく。で、進捗は?」
「こんな感じ…」
「どれどれ………。ほぼ完成してるな」
「そうだね」
「…。で、本当の目的は?」
「いやぁ、比企谷君は理解が早くて助かるよ」
「まあな」
「…京都駅でさ、比企谷君となら付き合えるかもって言ったの覚えてる?」
「あぁ、あと時はヒキタニ君だったがな」
「あれさ…、少し変わったんだ」
「ふ~ん」
「私ね、比企谷君と付き合いたい」
「え~と、隠しカメラとボイスレコーダーを出せ」
「そんなことしない。本気で好きなんだ…」
「はぐらかして、すまなかった」
「比企谷君なら、言うかもとは思ってた」
「あ、そ」
「返事…、聞かせてくれないかな?」
「海老名さんみたいに可愛い女の子に告白されて嬉しく思う。…でも、すまない。海老名さんとは付き合えない」
「やっはりなぁ…。それは、私が腐ってるからかな?」
「それは関係ないかな」
「これから入試とか冬コミとかで忙しくなるから、胸のモヤモヤをすっきりさせたかったんだ。だから、これは自己満足かな」
「そんなことない。告白するのって、凄い勇気がいることだから、すげぇと思う。俺にはまだ…」
「ありがと。…そんな比企谷君にお願いがあります」
「俺で出来ることであれば…」
「この漫画の中だけ、私とのハッピーエンドにさせて…」
「それでいいのか?」
「本当はお付き合い出来ればいいよ。でも、出来ないなら、漫画の中だけでも…」
「海老名さんの好きにしていいよ」
「ありがとう」
「お礼を言うのは俺の方だ」
「それと、好きな人にちゃんと告白してね」
「おう、わかってるさ」
「じゃあ、帰るよ」
「じゃあ、また学校でね」
「またな」
「やっはり、あの娘たちには勝てないかぁ…」