珈琲   作:おたふみ

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六十五話

いつも通りの放課後

 

「ねぇねぇ、ヒッキー」

「ん?なんだ」

「川島瑞樹と高垣楓のどっちが好き?」

「お前、そんなこと聞いてないで勉強しろよ」

「いいじゃん!」

「それは、私も聞きたいわね」

「雪ノ下も食い付くなよ」

「ねぇねぇ、どっち?」

「どっちなのかしら?」

「なんで、そんなにノリノリなんだよ」

(助けて!誰か依頼に来て!)

 

ガラガラ

「夜空の星が輝く陰で

悪(ワル)の笑いがこだまする

星から星に泣く人の

涙せおって宇宙の始末

銀河旋風ブ○イガ―

およびとあらば、即参上!」

「…」

「…」

「…平塚先生、呼んでないです」

「平塚先生、ノックを…」

「で、ブラ○ガーをマスターと観たってノロケ話ですか?」

「い、いや、ノロケではなくてだな…、まだ付き合ってないというか…」

「へ~」

「ふ~ん」

「な、なんだ!ニヤニヤするな!」

「平塚先生、今日は依頼ですか?」

「ああ、そうだった。入りたまえ」

「はろはろ~」

「姫菜、どうしたの?」

「依頼…というか、比企谷君に頼みが…」

「比企谷君に?」

「ヒッキーに?」

「おい雪ノ下、俺を睨むな。由比ヶ浜、目のハイライトを消すな」

「比企谷君!冬コミの原稿手伝って!」

「もう、そんな時期か…。で、なんで俺なんだ?」

「夏コミのオリジナルが好評で、ストーリーの意見も聞きたくて…。ダメ?」

(上目遣いとか卑怯だろ)

「あれかぁ…。まぁ、あれだ。部長の許可がないとな」

「仕方ないわね。同人誌に関しては、私も由比ヶ浜さんも力になれないから」

「わかった。引き受ける」

「じゃあ、早速今日からね」

「えっ!マジ!」

「マジだよ」

「じゃあ、行ってくる」

 

「ねぇ、ゆきのん」

「なにかしら?」

「姫菜の手伝いって、どこでやるのかな?」

「漫研かしら?」

「姫菜、漫研入ってないよ」

「まさか…」

「そんなことないよね…」

 

 

「なあ?」

「なにかな?比企谷君」

「なんで、俺は海老名さんの部屋に居るんだ?」

「同人誌の手伝いの為だよ」

「いや、他にも場所あったでしょ?」

「まさか、女の子と二人っきりだからって…」

「お、おい…」

「エロ同人誌みたいなことするのね」

「ネタじゃねぇかよ…。まったく。で、進捗は?」

「こんな感じ…」

「どれどれ………。ほぼ完成してるな」

「そうだね」

「…。で、本当の目的は?」

「いやぁ、比企谷君は理解が早くて助かるよ」

「まあな」

「…京都駅でさ、比企谷君となら付き合えるかもって言ったの覚えてる?」

「あぁ、あと時はヒキタニ君だったがな」

「あれさ…、少し変わったんだ」

「ふ~ん」

「私ね、比企谷君と付き合いたい」

「え~と、隠しカメラとボイスレコーダーを出せ」

「そんなことしない。本気で好きなんだ…」

「はぐらかして、すまなかった」

「比企谷君なら、言うかもとは思ってた」

「あ、そ」

「返事…、聞かせてくれないかな?」

「海老名さんみたいに可愛い女の子に告白されて嬉しく思う。…でも、すまない。海老名さんとは付き合えない」

「やっはりなぁ…。それは、私が腐ってるからかな?」

「それは関係ないかな」

「これから入試とか冬コミとかで忙しくなるから、胸のモヤモヤをすっきりさせたかったんだ。だから、これは自己満足かな」

「そんなことない。告白するのって、凄い勇気がいることだから、すげぇと思う。俺にはまだ…」

「ありがと。…そんな比企谷君にお願いがあります」

「俺で出来ることであれば…」

「この漫画の中だけ、私とのハッピーエンドにさせて…」

「それでいいのか?」

「本当はお付き合い出来ればいいよ。でも、出来ないなら、漫画の中だけでも…」

「海老名さんの好きにしていいよ」

「ありがとう」

「お礼を言うのは俺の方だ」

「それと、好きな人にちゃんと告白してね」

「おう、わかってるさ」

 

「じゃあ、帰るよ」

「じゃあ、また学校でね」

「またな」

 

「やっはり、あの娘たちには勝てないかぁ…」

 


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