珈琲   作:おたふみ

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六十六話

コーヒーショップ

「…折本、すまない。お前とは付き合えない」

「だよね~、ははは…」

「別に、折本のことが嫌いな訳じゃないんだ…。中学のことも関係ない…。ただ…」

「うん、いいんだ。ありがとう、比企谷」

「折本…」

「これは私のケジメなの」

「そうか…」

「でも、友達…だよね」

「あぁ、そうだな」

「比企谷と友達とか、ウケるwww」

「ウケるのかよ」

「じゃあ、私…、行くね」

「おう」

「またね、比企谷」

「またな」

 

「マスター、スペシャルください」

「はいよ」

 

「甘っ」

「坊主、頑張ったな」

「フラレることには百戦錬磨でしたけど、フるのは…」

「そういうことで、大人になるんだよ。お前も、さっきの嬢ちゃんもな」

「苦いっすね…。これは激甘ですけど」

「人生は苦いからMAXコーヒーが旨いんだろ?」

「そうでしたね」

 

とある公園

(帰って、数学の復習でもするか…。ん?あそこで、猫とコミニュケーションしてるのは…)

 

「おい、雪ノ下…」

「にゃ~」

「何を野良猫をもふってるんだよ」

「にゃにゃ~」

「あ~、これは言いたくなかったんだが…」

「にゃにゃにゃ?」

「パンツ見えてるぞ」

「!!!」

「おい、携帯をしまってくれ!俺は注意喚起しただけだろ!」

「あ、貴方、見たのね…」

「い、いや、その…」

「み・た・の・ね!」

「…はい」

「私の下着を見たのと、逃げた猫の責任をとりなさい」

「ど、どうすれば…、よろしいでしょうか…」

 

比企谷家

「カマクラさん、元気だった?いいこね~。にゃ~」

「ねぇ、お兄ちゃん」

「なんだ妹よ」

「なんで急に雪乃さんが来たの?」

「ま、前からカマクラもふりたいって言ってたし、さっき偶然会ったんだよ」

「ふ~ん」

「にゃ~」

「雪乃さん、どこから猫じゃらし出したの?」

「たぶん、鞄の中の常備品だ。気にするな」

「ふ~ん」

「少し、ほっといてやろう」

「じゃあ、私は買い物行くね」

「お、おい、小町…」

「お兄ちゃんは雪乃さんこと、よろしく♪あっ、今の小町的にポイント高い♪」

「あ、おい!…」

「にゃ~♪」

「仕方ない、ここで勉強するか」

 

(あれ?雪ノ下が静かになった。寝てるし…。スカートで不用意に寝るなよ、またパンツ見えてる。見せたいのかね?毛布かけてやるか)

 

 

(あ、寝ちまった…。嫌な夢を見ちまった…。藤沢の顔、海老名さんの顔折本の顔、辛そうだったな…)

「比企谷君?」

「雪ノ下、起きたのか」

「えぇ、毛布ありがとう」

「どういたしまして」

「その…、大丈夫かしら?」

「何がだ?」

「すごく…、辛そうな顔してたから…」

「ん、ああ、なに、大丈夫だ、気にするな」

「嘘…。また一人で抱え込むの?」

「っ!これは、俺の問題だから…」

「それでも!…それでも、貴方の辛そうな顔は見たくないの…」

「すまん…。じゃあ、聞いてくれるか?」

「えぇ」

「さっき、折本に告白された…」

「え…」

「断ったんだがな…」

「えぇ」

「その前に、海老名さんと藤沢にも…」

「そう…だったのね…」

「『俺じゃ釣り合わない』とか『俺を陥れようと』とかで断ったわけじゃない。真剣に告白されたから、俺も真剣にお断りしたんだ。理由は聞かないでいてくれると助かる」

「わかったわ」

「でもな、あいつらの顔を思い出すと…」

「そう…」

「ゆ、雪ノ下!何をしてるんだ!」

「貴方を抱き締めてるのよ」

「そ、それはわかるが、何故だ!」

「小さい時に、よく姉さんがしてくれたのよ。こうしてもらうと、落ち着いたのよ」

「雪ノ下…」

「なに?」

「ありがとな」

「気にしないで」

 

「雪ノ下」

「なにかしら」

「顔に柔らかいモノが当たってるんですが…」

「え~と、こういう時は『当ててるのよ』だったわね」

「なんで知ってるんだよ」

 

「だだいま♪お兄ちゃん、雪乃さん…あ」

「あ」

「あ」

 

 


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