コーヒーショップ
「…折本、すまない。お前とは付き合えない」
「だよね~、ははは…」
「別に、折本のことが嫌いな訳じゃないんだ…。中学のことも関係ない…。ただ…」
「うん、いいんだ。ありがとう、比企谷」
「折本…」
「これは私のケジメなの」
「そうか…」
「でも、友達…だよね」
「あぁ、そうだな」
「比企谷と友達とか、ウケるwww」
「ウケるのかよ」
「じゃあ、私…、行くね」
「おう」
「またね、比企谷」
「またな」
「マスター、スペシャルください」
「はいよ」
「甘っ」
「坊主、頑張ったな」
「フラレることには百戦錬磨でしたけど、フるのは…」
「そういうことで、大人になるんだよ。お前も、さっきの嬢ちゃんもな」
「苦いっすね…。これは激甘ですけど」
「人生は苦いからMAXコーヒーが旨いんだろ?」
「そうでしたね」
とある公園
(帰って、数学の復習でもするか…。ん?あそこで、猫とコミニュケーションしてるのは…)
「おい、雪ノ下…」
「にゃ~」
「何を野良猫をもふってるんだよ」
「にゃにゃ~」
「あ~、これは言いたくなかったんだが…」
「にゃにゃにゃ?」
「パンツ見えてるぞ」
「!!!」
「おい、携帯をしまってくれ!俺は注意喚起しただけだろ!」
「あ、貴方、見たのね…」
「い、いや、その…」
「み・た・の・ね!」
「…はい」
「私の下着を見たのと、逃げた猫の責任をとりなさい」
「ど、どうすれば…、よろしいでしょうか…」
比企谷家
「カマクラさん、元気だった?いいこね~。にゃ~」
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ妹よ」
「なんで急に雪乃さんが来たの?」
「ま、前からカマクラもふりたいって言ってたし、さっき偶然会ったんだよ」
「ふ~ん」
「にゃ~」
「雪乃さん、どこから猫じゃらし出したの?」
「たぶん、鞄の中の常備品だ。気にするな」
「ふ~ん」
「少し、ほっといてやろう」
「じゃあ、私は買い物行くね」
「お、おい、小町…」
「お兄ちゃんは雪乃さんこと、よろしく♪あっ、今の小町的にポイント高い♪」
「あ、おい!…」
「にゃ~♪」
「仕方ない、ここで勉強するか」
(あれ?雪ノ下が静かになった。寝てるし…。スカートで不用意に寝るなよ、またパンツ見えてる。見せたいのかね?毛布かけてやるか)
(あ、寝ちまった…。嫌な夢を見ちまった…。藤沢の顔、海老名さんの顔折本の顔、辛そうだったな…)
「比企谷君?」
「雪ノ下、起きたのか」
「えぇ、毛布ありがとう」
「どういたしまして」
「その…、大丈夫かしら?」
「何がだ?」
「すごく…、辛そうな顔してたから…」
「ん、ああ、なに、大丈夫だ、気にするな」
「嘘…。また一人で抱え込むの?」
「っ!これは、俺の問題だから…」
「それでも!…それでも、貴方の辛そうな顔は見たくないの…」
「すまん…。じゃあ、聞いてくれるか?」
「えぇ」
「さっき、折本に告白された…」
「え…」
「断ったんだがな…」
「えぇ」
「その前に、海老名さんと藤沢にも…」
「そう…だったのね…」
「『俺じゃ釣り合わない』とか『俺を陥れようと』とかで断ったわけじゃない。真剣に告白されたから、俺も真剣にお断りしたんだ。理由は聞かないでいてくれると助かる」
「わかったわ」
「でもな、あいつらの顔を思い出すと…」
「そう…」
「ゆ、雪ノ下!何をしてるんだ!」
「貴方を抱き締めてるのよ」
「そ、それはわかるが、何故だ!」
「小さい時に、よく姉さんがしてくれたのよ。こうしてもらうと、落ち着いたのよ」
「雪ノ下…」
「なに?」
「ありがとな」
「気にしないで」
「雪ノ下」
「なにかしら」
「顔に柔らかいモノが当たってるんですが…」
「え~と、こういう時は『当ててるのよ』だったわね」
「なんで知ってるんだよ」
「だだいま♪お兄ちゃん、雪乃さん…あ」
「あ」
「あ」