奉仕部
「もうすぐクリスマスだねぇ。パーティーしたないなぁ」
「なぁ、雪ノ下」
「なにかしら?」
「由比ヶ浜は現実に戻した方が良くないか?」
「あら、奇遇ね。私もそう思っていたわ」
「なぁ、由比ヶ浜」
「聞きたくない…」
「由比ヶ浜さん」
「聞きたくない…」
「クリスマスの前に期末試験」
「いやぁぁぁぁ」
「はぁ、雪ノ下。由比ヶ浜の勉強見てやれよ」
コンコンコン
「どうぞ」
「比企谷居る?」
「おう、あ、え~と…」
「もう、そのネタいらないから」
「んだよ、川崎」
「今日、予備校だよね?」
「ああ、そうだが」
「そのあと、話あるから顔かしな」
「お、お金なら、ないでふ…」
「カツアゲじゃないから。じゃあ、頼むね」
「あいよ」
「なんだろうね?」
「また家のことかもな」
「それならいいんだけど…」
「ゆきのん?」
「いえ、なんでもないわ」
コーヒーショップ
「悪いね」
「いや、大丈夫だ。で、どうした?」
「あ、あのさ…。期末試験まであと少しだよね」
「ああ、そうだな」
「それでさ、私の気持ちの問題というか…」
「どうした?歯切れが悪いが…」
「その…、比企谷は、さ…。好きな人とかって居るの?」
「どうしたんだ?藪からスティックに?」
「茶化さないで!」
「お、おう。悪い…」
「で、どうなの?」
「い、居る」
「そう…、なんだ…」
「その人ってさ…」
「すまん、それ以上は言えない…」
「こっちこそ、ごめん…」
「川崎…、お前…、泣いてるのか…」
「ごめん、泣く…つもりはなかったんだけど、比企谷の顔を見て…、好きな人が…私じゃないとでもな、わかったら…」
「すまん…」
「謝らないで…。泣いたら、比企谷は優しいから…。人の痛みがわかっちゃうから…、泣きたくなかったんだけど…」
「…す、」
「謝らないで。お願い…、そんな、辛そうな顔しないで…」
「だが…」
「私は…、大丈夫…だから…」
「川崎…」
「私は…、そんな、優しい…比企谷のこと…、大好きだから…」
「ありがとな」
「うん…。私こそ…、ありがとう…」
「ひゃっはろー…。て、あれ…」
「雪ノ下さん…」
「比企谷君」
「…はい」
「君はもう帰りなさい」
「で、でも…」
「沙希ちゃんのことは、私にまかせて」
「…」
「私じゃ頼りない?」
「いえ、そんなことは…」
「じゃあ、任せなさい」
「わかりました…」
「じゃあ、帰った帰った」
「川崎…」
「なに?」
「ありかとな、俺のこと…好きになってくれて」
「バカ!私も…ありがとう…」
とある公園
(なんとく、もしかしたらと思っていたら、川崎もだったか…)
「あれ?ヒッキー?」
ワンワン
「由比ヶ浜…」
「サブレ、大人しくして。ごめんね、サブレもヒッキー大好きだから」
『優しい比企谷のこと大好きだから』
「っ!」
「ヒッキー、どうしたの?」
「だいじょ…」
「大丈夫じゃないよね?」
「…」
「えっと…、『沈黙は肯定』だよ」
「どこで覚えたんだよ…」
「ヒッキー、凄い辛そう…。サキサキとなにかあったの?」
「…川崎に告白された…」
「…そっか」
「そう…だ」
「えいっ!」
「ゆ、由比ヶ浜!な、なにを!」
「え?抱き締めてるんだよ」
「それはわかる!わかるが、何故だ!」
「落ち込んだりしてると、ママがしてくれるんだ」
「だ、だからって…」
「ヒッキーは、他人の痛みがわかっちゃうから、辛いよね。だから、傷つけたくなかったから…。ヒッキーは優しいよね。だから、皆好きなるんだよ、さわさわも姫菜もかおりんも…」
「知ってたのか?」
「うん、三人に聞いた」
「そうか…」
「三人とも後悔してないよ。もちろんサキサキも」
「そう…なのか…」
「そうだよ。だから、ヒッキーも、ね?」
「あ、ああ…」
「えっと…。『大丈夫?おっぱい揉む?』」
「誰に聞いた?」
「姫菜」
「揉みません」
「…ヒッキーだったら、私は…」
「いやいやいや。結構です。大丈夫です!」
「そう?」
「ああ。ありかとな、由比ヶ浜。サブレもありがとよ」
ワンワン
「じゃあ、帰るな」
「私も散歩の続きに行くね」
「またな」
「またね」