卒業式の少し前
駅前
「ヒッキー!」
「お、来た来た」
「やっはろー!」
「おう。じゃあ、行くか」
「もうハニトー行くの?」
「いや、ゲーセンでも行こうかと思ってた」
「行こう!行こう!」
ゲームセンター
「ヒッキー!あの太鼓やろうよ!」
「おお、いいぞ」
「ヒッキー!エアホッケーやろうよ!」
「お前、スカート気をつけろよ」
「エッチ…」
「うぐっ…」
「ヒッキー!あのヌイグルミ取って!」
「無理だろ、あれ」
「えぇ~」
「仕方ないな…」
「ヒッキー!プリクラ撮ろう!」
「魂とられるから…」
「そんなことあるわけないじゃん!早く!」
「へいへい」
「由比ヶ浜、くっつき過ぎだ(近い!柔らかい!いい匂い!)」
「いいじゃん!」
「ゆ、由比ヶ浜…、その…当たってる…」
「う~んと、当ててるのよ…」
「どこで覚えた…」
「姫菜に聞いた」
(海老名さん、グッジョブ!)
「ヒッキー、ちゃんと貼ってよね」
「戸塚と撮ったプリクラの横でいいか?」
「うん、いいよ。ヒッキーって、女の子とプリクラ撮ったこたないの?」
「由比ヶ浜が初めてかな」
「私が初めて…。えへへ」
「そろそろパセラ行くか」
「やったー!ハニトー!」
「カラオケも歌うだろ?」
「歌うよ!ヒッキーも歌ってね」
「…善処します」
「それ、やらない感じだし!」
帰り道
「ハニトー美味しかった♪」
「それは良かった」
「歌もいっぱい歌ったし」
「そうだな」
「…」
「なぁ、由比ヶ浜。話が…」
「待って…」
「え?」
「私から言わせてくれないかな…」
「お、おう」
「ヒッキー…。ううん、比企谷八幡君。私は貴方が好きです」
「ありがとう、由比ヶ浜。でも、すまない。俺には好きな人が居るんだ」
「ゆきのん…だよね」
「あぁ」
「やっぱり、ゆきのんには勝てなかったか…」
「…すまん」
「謝らないで…」
「おう」
「告白はしたの?」
「いや、今からだ」
「そっかぁ。絶対に上手くいくよ」
「そう…かな…」
「そうだよ。だって、ゆきのんはヒッキーのこと大好きだもん」
「そっか…」
「だから、自信持って」
「ありかとな、由比ヶ浜」
「ゆきのんに負けたなら本望だよ」
「よし!」
「うん。応援してる」
「やっぱり、由比ヶ浜は優しいな」
「そんなこと…ないよ…」
「由比ヶ浜…」
「じゃあ、帰るね」
「でも…」
「行って、ヒッキー…。優しくされたら、諦められなくなっちゃうから…」
「…わかった」
「ゆきのんのこと、お願いね」
「わかった。じゃあまたな」
「うん、またね」
「バイバイ、ヒッキー…、大好き…だよ……」