合格発表の日
コーヒーショップ
「雪ノ下、話があるんだが…」
「なにかしら?」
「大学、合格したよ」
「そう。おめで…」
「国立○○大に」
「え?」
「雪ノ下、お前と同じ大学だ」
「嘘…」
「嘘じゃねぇよ。ただ理系は無理だったから、文系だかな」
「本当なのね…」
「あぁ、本当だ」
「そう…なのね…」
「雪ノ下雪乃さん…」
「…はい」
「好きです。俺と…俺と…、付き合ってください!」
「比企谷君…。私で、…私でいいの?」
「雪ノ下がいい。雪ノ下じゃなきゃダメだ」
「そう…。私も比企谷君に話したいことがあるわ」
「なんだ?」
「比企谷八幡君。私は貴方が好きです。私と恋人になってください」
「…断る理由がねぇよ」
「私もよ」
「くくくっ」
「ふふふっ」
「これからも、よろしくな」
「これからも、存分に調教してあげるわ」
「物騒だな」
「ねぇ、比企谷君」
「ん?」
「由比ヶ浜さん達には、なんて言えばいいのかしら…」
「一色と由比ヶ浜には、話をしてきた」
「え…」
「それぞれと出かけてな…」
「浮気?」
「違ぇよ」
「そう…。ちゃんと向き合ったのね…」
「まあな」
「私も…向き合わないといけないわね」
「それは…」
「由比ヶ浜さんと一色さんと話すわ」
「無理…するなよ…」
「電話してみるわ…」
「お、おう」
「その前に…。お願いがあるの…」
「なんだ?」
「私に勇気をちょうだい…」
「…!」
「…」
「お、おま、な、なにを!」
「何ってキスよ」
「な、なんなの!」
「日本語で言うと接吻よ」
「そんなこと知ってる!」
「…」
「恥ずかしいなら、するなよ」
「ちょっとだけ…、勇気が欲しかったの…。それと…」
「それと?」
「…理由が欲しかったの」
「なんのだよ」
「…キス…するのに…」
「理由なんて、いらねぇだろ。俺と雪ノ下は…、ほら…、その…、恋人同士な訳だし…」
「そ、そうね。では、もう一度…。貴方からして…」
「お、おう…」
「…」
「…」
「よ、よし!由比ヶ浜さんに電話してみるわ」
「お、おう」
prrrrr
「もしもし。由比ヶ浜さん?」
『ゆきのん、やっはろー!そろそろ電話が来ると思ってたんだ』
「それは…」
『ヒッキーに告白されたんでしょ?』
「え、えぇ…」
『で、返事は?』
「私も比企谷君のことが好きだから、お付き合いすることになったわ」
『そっか…。おめでとう、ゆきのん』
「由比ヶ浜さん…その…」
『それ以上は言わないで』
「由比ヶ浜さん…」
『私もヒッキーのこと好きだったけど、ゆきのんのことも好き。だから、だから…おめでとう』
「由比ヶ浜さん…ありがとう…」
『ゆきのん…泣いてるの?』
「ごめんなさい」
『大丈夫だよ。ヒッキーに抱き締めてもらって。私はいろはちゃんと残念会するよ』
「一色さんのこと、お願いね」
『うん。それと、ヒッキーも居るんでしょ?』
「ええ、今はカウンターでコーヒーを煎れてるわ」
『コーヒー屋さんに居るんだ。じゃあ、後で行くね。二人に根掘り葉掘り聞いちゃうからね』
「ええ、待ってるわ」
『じゃあ、また後でね』
「はい…」
p
「由比ヶ浜、なんだって?」
「貴方に抱き締めてもらえって」
「ハードル高ぇよ」
「後で事情聴取に来るそうよ」
「帰っていい?」
「ダメよ。ちゃんと向き合わないと」
「そうだな」
「ねぇ、比企谷君…」
「なんだ?」
「由比ヶ浜さん達が来る前に…その…」
「どうした?歯切れが悪いな」
「も、もう一度、その…、キスを…」
「お、おう…」