雪ノ下の意識が戻り、コーヒーを飲みながら談笑中。
「ヒッキーってさ、いろはちゃんに甘いよね」
「そうね。もっと突き放してもいいと思うわ。…わ、私の…なのだから」
「最後、聞き取れなかったんだが、何?」
「な、なんでもないわ」
「まぁ、俺が生徒会長にしちまったからな。仕方ない」
「いらっしゃい」
「彼は来てるかい?」
「こんにちは」
「あ、いたいた。今度、娘と嫁さんと三人でクッキーを作ることになったよ」
「頑張ってくださいね」
「ありがとう…。ん?」
「よっ!由比ヶ浜!」
「なんだ、雪ノ下もいたのか」
「え?お知り合いなんですか?え?由比ヶ浜?」
「パパ!」
「結衣!」
「え?パパ?」
「ヒッキー、ウチのパパだよ」
「えっと、結衣さんのクラスメイトで部活仲間の比企谷八幡です」
「比企谷君でヒッキーだったんだな。結衣はヒッキーとしか言わないから。いつぞやは、すまなかったな。ありがとう、ウチの大事な家族を助けてくれて」
「いえいえ、お気になさらず…。それと、雪ノ下さんとはお知り合いなんですか?」
「高校時代からの悪友だよ。な?」
「ま、その表現が妥当だな。同級生だよ」
「そうか、そうか。君がヒッキーだったのか…」
「な、なにか?」
「結衣から色々聞いているんだが、君のような聡明なコが結衣と結婚してくれれば…」
「なっ!」
「えっ!」
「パ、パパ、何言ってるの!」
「結衣がいつも…」
「わー!わー!なんでもない!なんでもないよ、ヒッキー!」
「お、おう…」
「おい、由比ヶ浜。彼に先に目をつけたのはウチだそ。比企谷君は雪乃に…」
「お、お父さん!」
「なんだ、嫌なのか?なら陽乃の…」
「勘弁してください」
「なんだ、陽乃も知っているのか」
「ええ、まぁ」
「それなら話は早い。どちらでもいいぞ!」
「いや、ウチの結衣を…」
「バカなこと言ってないで、座ってコーヒーを飲め!」
「はい」
「はい」
「まったく、このバカ親父どもは」
「ふぅ。なんか疲れたなぁ…」
「…比企谷君は私の…姉さんには…」
「ヒッキーが私の…えへへ」
二人の意識が戻るまで小説を読むことにした。
「はっ!はちま…。比企谷君…」
「お帰り、雪ノ下。由比ヶ浜を連れ戻してくれ」
「由比ヶ浜さん、由比ヶ浜さん」
「はっ!ゆきのん!ヒッキーは私の…」
「俺がどうかしたか、由比ヶ浜」
「え!なに!なんでもないよ!ヒッキー何言ってるの!キモイ!マジキモイ!」
「はいはい。で、コーヒーのおかわり頼むか?」
「えぇ、お願い」
「うん」
「コーヒーおかわり3つ」
「はいよ」
意識が戻った二人とコーヒーを待つ…。