八幡の部屋
「あの…、なんで正座させられているんでしょうか?」
「貴方、昨日は戸塚君と遊ぶと言っていたわよね?」
「はい」
「では、何故同じ講義の娘に『彼氏が可愛い女の子と歩いてたのを見た』って言われるのかしら?」
「それはですね…」
「しかも、別の娘は『手を繋いで楽しそうだった』と言ってたわよ」
「あう…」
「どういうことかしら?」
「…小町と出かけてました」
「何故、小町さんと出かけるのにウソをつくのかしら…」
「それはですね…」
「まずは、本当に小町さんと出かけたか真偽を確かめます」
prrrrr
「小町さん?雪ノ下です」
『雪乃さん、こんにちは。どうしましたか?ウチの愚兄が何かしましたか?』
「比企谷君が私に嘘をついているんだけど、ご存知かしら?」
『あちゃ~、バレちゃったんですね』
「では、小町さんと出かけていたのは間違いないのね」
『それはもちろん』
「では、その理由を教えていただけないかしら」
『それは小町の口からは言えません。そこのゴミぃちゃんに聞いてください』
「わかったわ」
『それでは、雪乃お義姉ちゃん』
「ええ、では…。えっ!お、おね、お義姉ちゃん!」
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「こほん。比企谷君」
「はい」
「小町さんと出かけていたのはわかりました」
「はい」
「では、その理由を聞かせてもらえるかしら」
「えっとですね…。雪ノ下と俺は付き合ってるじゃないですか」
「そうね」
「クリスマスや誕生日にプレゼントはしたけど、付き合い始めてからプレゼントってないじゃないですか」
「…そうね、ないわね」
「アクセサリーを買いたかったけど、そういう店に入るのは一人では気後れしてしまうので、小町に一緒に行ってもらいました」
「手を繋いでいたのは?」
「プレゼントを買うのを付き合わせたので、お礼にケーキを一緒に食べにいきました。そしたら、ご機嫌で『繋ぐこの手がシンフォギアだ!』と言って…。久しぶりの兄妹の外出だったので、はしゃいでいました。はい」
「そ、そう…」
「サプライズにしたかったので、嘘つきました。すいませんでした!」
「ひ、比企谷君、頭を上げてちょうだい…。私こそ、ごめんなさい」
「いや、大丈夫だ。それでだな、これを…、受け取ってくれないか?」
「あ、開けてもいいかしら」
「どうぞ」
「…ネックレス」
「雪ノ下って、あんまりアクセサリーしないだろ?だから…」
「嬉しい…」
「ごめんな、誤解を招くようなことをして」
「私こそ、ごめんなさい。疑ったりして」
「いや、仕方ないよ」
「ねぇ、比企谷君」
「ん?」
「これ、つけてくれないかしら」
「お、おう」
「うなじ…、綺麗だな」
「バカ…。早くつけなさい」
「はい」
「どう…かしら…」
「うん、似合ってる」
「ありがとう、比企谷君。ごめんなさい、返せるモノが…」
「いいんだ。俺が雪ノ下にプレゼントしたかったんだから」
「比企谷君…」
「なんだ?」
「大好き…」
「俺もだ、雪ノ下」
翌日 大学
「雪ノ下、彼氏の浮気はどうだったの?」
「大丈夫よ、妹さんだったのよ」
「え?でも、手を繋いでいたよ」
「ちょっと、シスコン・ブラコン気味だから」
「…そうなんだ」
「それでね、彼がアクセサリーショップに一人で入るのは気後れするから、妹さんに付き合ってもらったらしいのよ」
「それで、プレゼントしてもらったのが、そのネックレスなんだ」
「えぇ。どうかしら?」
「とってもいいよ。良かったね」
「ええ」
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八雪のノロケばっかりだ…