珈琲   作:おたふみ

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大学編・その11

ゴールデンウィーク初日の夜

雪乃の部屋

 

「なぁ、これ着なきゃダメか?」

「貴方の為に買ったのだから」

「どう考えても俺じゃなくて、雪ノ下の為だよな、このパンさんなりきりパジャマは」

「そ、そんなことないわ。パンさんを着た比企谷君が見たいだとか…」

「欲望だだ漏れだぞ」

「…だって」

「わかったよ、着るよ。その代わりイチャイチャは無しだな」

「ど、どうして…。やっぱり胸が…」

「胸は関係ないからね。むしろスレンダーで好きだぞ」

「なら、どうして…」

「このパジャマ、ツナギタイプだから、脱いだり着たりが大変だろ?」

「それは考えてなかったわ」

「おい!」

「どうしましょう…。お揃いのパンさんパジャマは着たいけど、イチャイチャ出来ないのは…」

「あ、自分の分もあるのね」

「究極の選択ね…」

「そんなに悩ましいのか?」

「ええ、当然よ」

「こうしよう。パンさんは部屋着にして、寝る時はいつものスエットで」

「比企谷君…」

「なんだよ」

「貴方、天才なの?」

「雪ノ下が冷静になれてないだけだ」

「これで、問題は解決できたわ」

「とりあえず、着てみるか…」

「着替え終わったら言って。見ないようにするから」

「おう」

 

「雪ノ下、いいぞ」

「…」

「雪ノ下?」

「パンさ~ん!!!」

「うぐっ!」

「パンさんパンさんパンさん」

「まさか、雪ノ下からスピアを受ける日が来るとは…がふっ」

「…比企谷君?」

「…」

「比企谷君、どうしたの?」

「…」

「寝てしまったのね。仕方のないひと」

 

「…ん。俺はどうしたんだ?雪ノ下にタックルされて…。おい、雪ノ下。起きろ」

「どうしたの?比企谷パンさん八幡…」

「間にパンさんを挟むな。こんなとこで寝てないで、ベッド行こうぜ」

「先に寝たのは貴方なのに」

「雪ノ下のタックルで気絶してたんだよ」

「返事がないから、屍かと思ったわよ」

「勝手に殺すな」

「私を残して死んだらダメよ」

「簡単に死なないよ。それに、俺はゾンビなんだろ?」

「そんなことないわ。貴方は大事な彼氏よ」

「くすぐったいこと言うなよ。ほら、ベッド行くぞ」

「…こ」

「ん?」

「ダッコして…」

「ダッコって、お前…」

「お姫様抱っこして」

「わかったよ、雪乃姫」

「お願いね、八幡王子」

 

 

「比企谷君、起きて。朝よ」

「おはよう、雪ノ下。あんだけしたのに、よく早起き出来るな」

「本当にしたのかしら?」

「しただろうが」

「改行だけですまされてるから、よくわからないわ」

「メタ発言はやめなさい」

「そんなことり、今日もバイトでしょ?」

「よし、起きるか」

 

コーヒーショップ

「うっす」

「今日も頼むぞ」

 

 


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