珈琲   作:おたふみ

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大学編・その12

ゴールデンウィーク2日目

コーヒーショップ

昼前

 

「こんにちは」

「やっはろー」

「雪ノ下、由比ヶ浜、いらっしゃい…。適当に座っててくれ…」

「…満席ね」

「そうだね」

「悪い、呼ばれてる。はい、只今伺います!」

「お嬢ちゃん方、悪いな。急に客が増えてな」

「しかも、女の子ばっかり…」

「ゆきのん、これってヒッキーが…」

「恐らくは…」

「ゆきのん、手伝おうよ」

「え、ええ、そうね。マスター、手伝います」

「すまない、助かる。奥にウエイトレスの制服が何着かあったはずだから、適当に着てくれ!」

「わかりました!」

 

数分後

 

「おい、雪ノ下も由比ヶ浜も…」

「比企谷君、手伝うわ」

「ヒッキー!私も!」

「いや、しかし…」

「いい加減、貴方も人を頼りなさい」

「そうだよ!」

「…そうだな。すまんが、頼む」

 

「せんぱ~い。可愛い後輩が…、て、なんですか、満席じゃないですか!」

「悪い、一色。お前にかまってる暇はない」

「一色さん、ちゃんと順番待ちをしてくれるかしら」

「いろはちゃん、やっはろー」

「坊主!コーヒー出してくれ」

「はい!」

「テーブル片付きました」

「次にお待ちの方、どうぞ」

「わ、わ、わ、どうして…」

「あぁ、面倒くせぇな。一色!立ってるなら、手伝え!」

「で、でも…」

「ショートの嬢ちゃん、暇なら手伝ってくれ」

「わ、わかりました!」

 

夕方

「坊主、closedにしてくれ」

「了解です」

「ありがとな、嬢ちゃん達」

「い、いえ…」

「お客さん、すごかったね」

「先輩、ヒドイです」

「悪かったよ」

「じゃあ、お詫びにデートしてください」

「あ、バカ…」

「一色さん…。何を言ってるのかしら?」

「じょ、冗談ですよ…、ははは」

「いろはちゃん相手でも、容赦ないね、ゆきのん…」

「マスター、厨房お借りします」

「お、おう、かまわないが?」

「一色さんも、手伝ってもらえるかしら」

「雪ノ下先輩、何をするんですか?」

「本当は、お昼にしようかと思っていたんだけど、パンケーキを焼こうと思うの」

「いいですね、手伝います」

「雪ノ下、何か手伝うことはあるか?」

「そうね…。コーヒーを煎れてもらえるかしら」

「任せろ」

 

「パンケーキ旨いな。さすが、雪ノ下」

「そ、そうかしら」

「先輩、私も作りましたよ~」

「はい、あざといあざとい」

「も~!あざとくないです!」

「ゆきのん、私にも出来るかな?」

「今度、一緒に作りましょう」

「わ~い」

「嬢ちゃん達、ありがとな。今日のバイト代だ」

「そ、そんな…」

「いいんだ、俺の気持ちだ」

「ありがとうございます」

「あ、あのマスター…」

「どうした?」

「明日もお手伝いしても…」

「俺はありがたいが…」

「雪ノ下、いいのか?」

「ええ」

「それなら、頼む」

「はい、よろしくお願いします」

「私もやりたいけど、明日は優美子達と出かけるからな…。私も明後日とかいいですか?」

「勿論だ」

「やった~!ゆきのんとヒッキーとバイトだ」

「私は、家族旅行なんです…」

「ショートの嬢ちゃんもありがとな。気持ちだけで充分だ」

「雪ノ下、明日からも頼むな」

「任せて。貴方に悪い虫がつかないようにするわ」

「?」

「やっぱり、ヒッキーは鈍感系だね」

「ですね」


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