紗夜は初めて日菜に頼んだ。
今までの自分だったらこんな言葉は出なかったと思う。
「日菜。私も参加していいかしら?」
何故なら…日菜をコンプレックスでありプライベートもあまり関わらかった。家に帰ればギターの練習をし、友希那からRoseliaにスカウトされRoseliaのギタリストとして活動を始める。そして、パスパレのライブも観に行きたくなかった。自分より上手い演奏に楽しそうにギターを弾いてる姿を見てると嫉妬心が生まれるからである。そんな自分が…初めて日菜と一緒にライブをやりたいと口にしたからだ。
今までの自分にとってありえないこと。
しかし…あの駅で士郎に最後に言われた「姉妹の絆」というワードが心を動かした。 七夕祭りの短冊にも「日菜とまっすぐ話せますように」と書けるようになれた。心の奥底に眠る妹への想い。
大事な事に気付かされた士郎には恩返しをしたかった。
それに…士郎と約束した。
「必ず日菜と仲良くなるように頑張る」と。
だから…その約束を守るために妹と合同ライブをする。
紗夜が変わる時が今だと…。
それから、日菜は事務所の人にダメ元に頼んだ。最初は…断れたが…日菜が必死に説得をした結果…。日菜の姉である紗夜を特別ゲスト枠として許可を得る。それを聞いた紗夜は猛練習をする。
パスパレのデビュー曲である「しゅわりん☆どりーみん」のコードをマスターし…日菜とセッションした。
「おねーちゃん!! 完璧だよ!」
「こんな感じで良いかしら?」
「ばっちりだよ!! おねーちゃん!!」
「なら良かったわ。」
「私ね。おねーちゃんと一緒にライブに出るのが…夢でさ。嬉しいんだ!! 短冊の願い事がまた叶っちゃった♪ こうして…おねーちゃんとセッション出来るだけでルンっとくるんだ! 」
「そう…それは良かったわ。本番は明日だからもう1回練習しましょう!! 日菜! 」
「うん!! 」
紗夜と日菜は夜遅くまでセッションする。
その頃。士郎はアツヤと電話をしてた。
「明日は…中国代表と試合なんだ…。決勝戦だから…頑張ってくるよ。」
「兄貴…。この間のサウジアラビア戦で怪我をしてるよな…。」
「!!?」
「オレはわかってるぜ…。兄貴のあの痛そうな表情を見てたら…ガチで怪我してるってよ…。」
「アツヤもわかってるのか…。紗夜さんもアツヤもすぐ気づかれちゃうのか…。僕の演技力が下手くそなのかな…。ハハハ…。」
「兄貴!! 笑ってる場合じゃねーよ!! このまま…豪炎寺さんみたいに怪我で離脱することになったら…オレが許さねーぞ!」
「アツヤ…。そうだよね…。約束したもんね。2人で世界の舞台で戦うと。だから…それまでは怪我をしてようが倒れないさ! 明日の試合も出場することになってる。だから…明日の試合は必ず勝つ。アツヤも応援してくれ!! 」
「あったりめーよ!! 」
士郎は電話を切って窓から見える夜景を見ながら黄昏てた。
僕もアツヤも凄く悩んでいる。アツヤは日本代表のメンバーに選ばれるように必死に努力をしてる。僕は…この足の痛みと闘い…アツヤが来るまで待つんだ。それまでは…日本代表として…白恋のメンバーとして…世界と戦う。そして…身近に応援してくれる紗夜さんと交わした約束を守るために!!
「アツヤさんと交わした約束を守ってください! 」
一度砕かれた気持ちが…あの紗夜さんの一言で僕はまだ世界で戦いたいと思えた。アツヤが来るまで倒れないと誓った。その時まで…僕は倒れないよ!
士郎は明日の試合に向けて気持ちを切り替えた。
次回話に続く…。
あと2話で完結します。
読んでくれてありがとうございます!!