「アイスグランド?」
「はい。僕が生み出した必殺技です。さっきの紗夜さんのあの気迫とオーラを感じて…もしかしたらアイスグランドが出来るのではないかと。」
「それは…ディフェンス技なんですよね? 士郎さんは…ディフェンスも出来るのですか?」
「そーだぜ! 兄貴はFWもやるがDFも出来るんだ!! 攻めも守りも出来るリベロなんだぜ! すげーだろ!! 」
「そうですか…。だから…士郎さんは日本代表に選ばれたのですね。アツヤさんはDFはやらないのですか? 」
「オレはFW一筋だ!! DFなんて…オレの性格上ありえないぜ!」
「そうですか…。」
「話を戻しますが…僕達をRoseliaのライブに招待したお礼として紗夜さんにアイスグランドを伝授したいです。やってみませんか?」
「サッカーの面白さや楽しさを教えてもらったので…是非やりたいです! 」
「そーこないとな!! 」
練習後に紗夜と士郎とアツヤの3人でアイスグランドの特訓を始める。連れてこられた場所が体育館の隣にあったスケート場であった。
「スケートですか? 」
「アイスグランドを習得するにはまずスケートを上手く滑ることです。慣れてきたら…スピンをかけてジャンプする。まず…これが出来ないと技が完成しないので…。」
「わかりました。まずは…スケートに慣れるところですね!」
紗夜はスケートシューズに履き替えて氷の上を滑る。 しかし、スケートに慣れていない紗夜は転んでばかりいた。
「大丈夫ですか?」
「ええ…。スケートは何十年かぶりにやるのでなかなか上手く滑れないですね…。」
「やっていくうちにだんだん慣れて来ると思います。あと…楽しくやったほうが早く上達しますよ。」
「わかりました…。楽しく滑ることを意識します! 」
紗夜は昔に日菜と近所の公園で遊んでいた時の記憶を思い出してた。
「おねーちゃん! 砂遊びしようよ!」
「うん! あそぼー。」
2人で夜遅くまで砂の城を作って…お母さんに怒られてましたね…。
あれから私達は成長して…日菜と距離が遠くなり…終いには日菜のことがコンプレックスになってしまった…。私は本当は…日菜と…。
また紗夜は転んでしまう。
「おいおい!! 大丈夫かよ! 」
「すみません…。少し考え事をしてたので…。」
「次は気をつけろよー! 」
1時間滑っていると紗夜はスムーズに滑れるようになった。それに気づいた士郎は紗夜に次のステップとして、スピンやジャンプを教える。
「スピンは力まないで全身の力を抜いて…背筋をまっすぐ伸ばしたほうが良いですよ。回転中、なるべくフラフラしないように足に力を入れ踏ん張るように頑張ってください。」
「わかりました!! 」
最初は慣れないのか回るたびにフラフラになる。しかし…紗夜は真剣に士郎に言われたことを意識して何回も練習する。すると…だいぶ様になってきた。 飲み込みが早い紗夜に対して士郎は驚いていた。
「凄いですね!! こんな短期間でスピンを習得するなんて…。紗夜さんは運動神経が抜群なんですね! 」
「ありがとうございます。」
「では…次はジャンプですね。コツとしては…垂直跳びをするような感覚、頭のてっぺんからまっすぐで、飛び跳ねる時に頭のてっぺんを引っ張られる感じであれば、まっすぐ飛び跳ねていることになると思います。スピンが出来ればジャンプもすぐ出来ると思います!」
「はい!!」
しばらくやってると半回転から1回転半出来るようになる。士郎は紗夜のモチベーションとポテンシャルに高く評価した。サッカーもスケートも短期間でこなす紗夜に弟のアツヤも驚いた。
「兄貴も気づいてるよな? 」
「ああ。やっぱり紗夜さんにアイスグランドを伝授することは正解みたいだね。きっと…彼女があそこまで出来る原動力は妹の日菜に負けたくないという気持ちでしょう。紗夜さんは今まで努力しギターを上達した。常に妹の日菜にこれだけは勝りたいという想い。 天才肌の妹と…努力の天才の紗夜さん。僕達と違うね。アツヤ。」
「ああ。兄貴とオレは2人で1つみたいなもんだからな…。なんか…紗夜を見てるとオレの心が少し痛むんだよな…。」
「アツヤ…。でも…僕は別な風に捉えられるな。紗夜さんが本当に望んでいるのは…僕達のように2人で1つになることじゃないかなと。」
「?」
「いつの間に出来てしまった亀裂を修復したいとね。だから…僕は紗夜さんと日菜さんが仲良くなれる時が来ると思う。」
「ああ…。そうだな。」
2人が話していると…。
「士郎さん! アツヤさん! ジャンプを習得しました! 」
「できましたか! なら披露してもらって良いですか?」
「はい! これが私の特訓の成果です!! 」
紗夜はスムーズに氷上を滑り華麗なスピンと一回転半ジャンプをする。 滑り終えた紗夜に士郎は拍手する。
「出来ましたね! 短期間でスピンとジャンプを習得してしまうとは思ってもいませんでした! これで技の8割ぐらいは完成したようなものです! あとはボールに触って実践するだけです! 」
「はい!やりました! 達成感があって良い気持ちです…。」
紗夜は疲労が溜まっていたのかその場で倒れてしまう。
「おい!! 大丈夫か!! 」
「良く頑張りました。紗夜さん。今日はここまでにしましょう。彼女を泊めてあげましょう。 姫に頼んでくる。」
「ああ。」
士郎とアツヤは紗夜の肩を抱えてスケート場を後にした。
次回話に続く…。