英雄伝説 橙の軌跡   作:綱久

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 お久しぶりです! 長らくお待たせして申し訳ありませんでした!

 この一か月仕事がマジで忙しかった……会社の先輩が辞めるということでの引継ぎ作業や病気で休んだ人達の分の仕事とか後輩の仕事ミスのカバーとか――――本当に疲れました、はい。

 さて、今回の話は多分皆様が予想されていたであろう、あの面倒くさがりでありながら実力が次元違いの彼の登場です!

 では、どうぞ!!


焔を司りし人外

 

 

 

 

 

 

 

 

 10代目《シモンファミリー》のボス、古里炎真。

  

 綱吉の家庭教師にして、元"晴"の《アルコバレーノ》リボーン。

 

 

 方や"大空"の7属性と対をなす、"大地"の7属性の"大地"の炎を有し、戦闘技術はともかく炎の炎圧だけを見ればこの世界で最上位の力を秘めた、14歳にしてマフィア《シモンファミリー》のボスの座につく戦士。

 方や地球上で最強と言われた《選ばれし7人(イ・プレシェル・ティ・セッテ)》の一人にして、《最強の殺し屋》の異名で畏怖されるほどの最高位の殺しの腕をもち、(トゥリニセッテ)の一角である《アルコバレーノのおしゃぶり》をその命尽きるまで守り続けなければならなかった元《呪われた赤ん坊(アルコバレーノ)》の一人。       

 見た目は喧嘩を一度もしたことがないように見える気弱な少年で、二頭身程度の身長しかなく顔も酷く幼く見える赤ん坊だが、彼らの容姿だけで判断し侮れば色々な意味で必ず後悔する。

 彼らを知る者、または力の詳細を認知していれば、1vs1(サシ)は勿論、2人まとめて喧嘩を売るような真似は自殺行為に等しいと誰もが口にするだろう。

 

 

 しかし、現在そんな二人の前に一人の男が立ち塞がっている。

 

 ただの有象無象な格下が相手なら労することなく撃破し、謎の炎を感じた綱吉がいるであろう並盛山へ向かっていただろう。だが、その男はそれに分類されない、いや―――― 

 ―――炎真は勿論、《最強の殺し屋》や《アルコバレーノ》として数多の人種を目にし推し量ってきたリボーンの眼をもってしても――――この男の底が見えないのだ。

 

 

 

「―――つくづく俺はツイてやがる。この世界(・・・・)に来たこともそうだが、いきなり当たりと遭遇するとはな」

 

 燃え上がる炎の様な色の真紅のコートを羽織った、毛先だけが赤色に染まった特徴的な浅葱色の髪の男。ハーフフレームの眼鏡から覗く瞳はどこか愉しげで、その瞳はこの場にいるリボーンと古里炎真をしっかり見据えている。

 

「赤髪の小僧―――お前強いな。内に秘める力もとんでもねぇが、まだ完成形じゃないってのがよりそそられる。そして―――」

 

 炎真への値踏みを終え、視線をリボーンへと移し替える。

 そして男は、普通なら絶対に知りようがない事柄を躊躇いもなく口にした。

 

「―――《アルコバレーノ》……だったか? なんかの呪いのせいで、大人から赤ん坊に若返ったってカンパネルラから聞いてはいたが、お前さんを見る限りどうやらマジらしいな」 

 

「っ!?」

 

「弱体化してるとはいえ、お前さんも強いな。本音を言えば呪いにかかる前のお前さんとも戦ってみたかったが……赤髪の小僧もいることだし、今回はそれで腹を満たすとするか」

 

「……てめぇ、一体何者だ?」

 

 瞬間、浅葱色の髪の男へ向けリボーンから人を射殺すかのような高密度の殺気が襲う。

 戦いと縁がない一般人なら問答無用で命を奪い、凡庸な才レベルの"上級"の武人なら意識を刈り取り、"準達人級"の武人ですら恐怖心を埋め込み動きを停止させる。

 幼児化したことにより戦闘力が弱体化しても、《アルコバレーノ》―――特に《世界最強の殺し屋》の異名を持つリボーンの強さは尋常ではないのだ。

 

 自分に向けられていないにも関わらず、炎真は恐怖心から冷や汗が流れてしまう。

 だが、男はリボーンの殺気を真正面から浴びているにも関わらず、恐怖心は全く感じることはなく、反対に分かりやすい程の歓喜の感情を顕わしている。

 そして、男は自身の正体を隠すこともなく告げる。

 

 

 

「――――俺はマクバーン。結社《身喰らう蛇》の《執行者》の一人―――《劫炎》とも呼ばれている」

 

「そんな組織、表は勿論――裏世界でも聞いたことがないよ。リボーン……」

 

「あぁ、俺も聞いたことがねぇ、だが奴の様子をみる限り噓を言ってるようにも見えない。どうなってやがる……」

 

「そんなに難しく悩んでも無駄だぜ。お前さんらの世界の知識と常識じゃ、俺らの存在を認知することは出来ねぇ………まあ、それも時間の問題かと思うがな」

 

 

 

 

 

「さて………お喋りはここまででいいよなぁ…?」

 

 刹那、マクバーンから凄まじい殺気――――そして熱気が炎真とリボーンを包み込む。

 常人ならその殺気に意識を保てず、熱気によって呼吸困難にもなる程の凄まじい気当たりだが、二人が憶する程度の密度ではない。

 そして、マクバーンから常人でも視認できるほどの、得体の知れない赤黒いなにかが(・・・)漏れ出していく。その正体を真っ先に感づいたこともあり、炎真もリボーンも度合いは違えど目を疑った。

 

「し、死ぬ気の炎……――――じゃない!?」

 

「あぁ。生体エネルギーから変換させる炎ではなく、あらゆる物を焼き尽くす紛れもない本物の炎だ。しかも見る限り、下手すりゃ"死ぬ気の炎"よりもタチが悪いかもな。マクバーンとか言ったか? てめぇ、"異能"の能力者か?」

 

 異能――――どれだけの血の滲むような修練を重ねようと、武人として天賦の才があろうと決して習得することが叶わず、過程やプロセスを必要としない現象を容易く引き起こす――――個人個人がこの世に生まれながら、ごく稀に持ち合わせる能力のことを意味する。

 

 裏世界では少なからずその"異能"の能力者が存在しており、リボーン自身それらと幾度も出会い相対しており、マクバーンを名乗るこの男が異能者であることに驚きはそこまでない。

 しかし、目の前の男の"異能"の力はあまりにも強大で得たいが知れず、自分が今まで遭遇してきた異能者とは一線を画す存在であることが否が応にも理解させられてしまう。

 

「ククク、一目見ただけでそこまで見抜くか。確かにお前さんの言う通り、俺の焔は駆動も詠唱も必要とせず、古代遺物(アーティファクト)にも聖痕(スティグマ)にも分類されない、ただ念じるだけで焔を生み出せる。――――"異能"というのは間違いじゃねぇ。ま、内容は異なっちまうが――――なあ、もう話は止めていい加減戦り合おうぜ? さっき心地良い殺気を浴びてから体の疼きが治まらないんだよ」

 

 聞きたいことは山ほどあるが、言葉通りマクバーンは最早聞く耳を持たないだろう。

 そして並盛山から謎の炎の気配を察知し、並盛山にいる綱吉の元に向かおうとした矢先に邪魔するかのように立ちふさがったタイミングといい、この男の目的が自分達の足止めであるのは明白。

 ならば――――

 

「……貴方が一体何者なのか、一体なんの目的を抱えているかは分からない。だけど、僕たちの行く手を阻むと言うなら―――――ここで倒させてもらう!!」

 

 炎真の雰囲気が変わる。

 額より角のような朱色の炎が灯り、両腕には鋼鉄の籠手が具現する。そして刹那、炎真を中心に周囲を圧倒するほどの炎圧と覇気が奔り、余波によって大気を震わす。

 古里炎真―――今だ未熟な面はあれど、その強さは裏世界でも一目置かれており、綱吉や白蘭を始めとした圧倒的強者達に匹敵するほどの実力者。友のもとへ一刻も早く向かうため、炎真は己の力を振るうことに躊躇いはしない。

 

 対照的にリボーンからは覇気も殺気も奔らせることもなく動きを見せないが、その瞳はマクバーンを離さず捉えており、何をしでかすか全く読むことが叶わない、悪魔の石像を思わせる得体の知れなさが嫌にも感じ取ってしまう。

 

 そんな二人に姿にマクバーンは気圧されることも気味悪さを表すこともなく、愉快そうに笑みを深める。

 

 

 

「――――そんじゃ始めるか。精々俺をアツくさせてくれよ!」

 

 開戦の合図を鳴らすかのようにマクバーンは、右手から生み出された焔を炎真とリボーンに向け容赦なく投擲する。

 本人にとって加減して力は抑えているようだが、その一撃だけで容易く人を死に至らしめる威力がある恐ろしい焔だ。

 速さもそれなりにあるが、動きは一直線。そんな単純な攻撃に二人は、それぞれ左右横に走ることで焔を難なく躱す。

 そして炎真は走行の最中で、新たに動きだそうとしていたマクバーンよりも早く――――

 

 

「―――大地の重力(グラヴィタ・デッラ・テラ)!!」

 

「―――うおっ!?」

 

 突如自分の体重が何十倍にもなったように引き寄せられ、状況が把握しきれずマクバーンは地面に押し潰れてしまう。

 

 

 "大地"の属性――――その力は森羅万象に等しく襲う《重力》を支配し行使すること。

 炎真が行ったのはマクバーンを中心に大地の炎で重力を重くさせ、地面に無理やり這いつくばらせたのだ。 

 地球上に存在する限り、生物や物質は重力には逆らうことができない。

 ゆえに敵は一歩も動けず炎真に触れることなく、常人であればこの時点で敗北するのは必然。

 

 しかし、このマクバーンを名乗る男が常人とかけ離れているのは先ほどの気当たりと"異能"の焔でもはや明白。

 だからこそ炎真は一切の加減をしていない。現にマクバーンが倒れ伏している地表は、あまりの重力の重さに陥没しており、"準達人級"以下の戦士ならば体中の骨が粉々に砕かれていても可笑しくない。だが―――――

 

 

「―――へぇ、重力を操ってるのか。その能力といい炎圧といい、中々レアな小僧だ」

 

「っ!」

 

 地面に倒れ伏していたマクバーンは重力の檻に閉じ込められているにも関わらず、その影響など関係ないかのように立ち上がった。

 一瞬目を見張った炎真だったが、自身が生み出す重力よりも上回る力で押し返していけば立ち上がることは不可能ではない。実際《ボンゴレ》と《シモン》の抗争戦では綱吉に、虹の代理戦争では《復讐者》に押し返されてしまっている。

 しかし、炎真の"死ぬ気の炎"の炎圧の高さはこの世界の戦士達の中でも最上位に入る。

 炎真の重力空間に抗えるのは綱吉や雲雀のような自身と同格以上か、リボーンを始めとした"武闘派"の元《アルコバレーノ》や《復讐者》のような格上の存在でなければ不可能だ。つまりこの男は―――――

 

 

「動くことは出来るが、この場から移動は出来そうもねぇ……凄まじい力だ。―――だが、正直ちとウザいことは否定しねぇ。だから―――燃えろ!」

 

 焔を纏った腕で一閃。

 たったそれだけの動作で、マクバーンは炎真が作り上げた重力空間を容易く消滅させた。

 

「大地の炎をかき消し――――いや、燃やした!?」

 

 炎を焔で燃やすという現象に一瞬目を開いたが、瞬時に頭を切り替える。

 遠距離から攻撃しようにも、あの焔の前では全てが燃やしつくされマクバーンに攻撃が届くことはないだろう。とすれば――――

 

 瞬間、炎真がマクバーンの視界から一瞬消えた。

 綱吉と同じ手腕の炎の噴射による推進力を利用した高速移動。戦い慣れした戦士ですら目で追うことが困難ともいえる程の速さだが、マクバーンの動体視力は高速で自身に迫る炎真をしっかり捉えていた。

  

「―――――焼き尽くせ!!」

 

 『ヘルハウンド』―――振りかぶった腕から放たれた3つの焔は獣へと形成され、高速飛行する炎真を噛み砕かんと駆け迫る。

 しかし炎真はそれに構わず方向を変えることなく進む。

 確かに焔の威力は初撃の焔よりも数段上で、触れれば人体であろうと問答無用で燃やし尽くし命を刈り取らせる程の焔だ……しかし、その程度(・・・・)の攻撃などこの世界ではすでに見飽きており、炎真が脅威を抱く程ではない。

 瞬時に右の鋼鉄の籠手にマクバーンの焔に劣らない程の密度の"大地"の炎を纏う。

 そして重力空間を破ったマクバーンを真似るかのように、強化した籠手で一閃薙ぎ払うことで炎獣達をかき消したのだ。

  

 流石のマクバーンもこの光景には驚愕したが、刹那彼の表情は歓喜に染まった。

 そして高速移動の最中に拳を振るおうとする炎真に合わせるかのように、マクバーンは掌を握り締め全力で振りかぶる。

 

 瞬間互いの拳が激突し、力と炎による余波が二人以外の全ての障害物をいとも容易く吹き飛ばした。二人の力の激突は、別の場所で現在進行形で争闘している了平とアイネスにも全く引けを取らないほどに。

 しかし、炎真とマクバーンと彼らとの力同士の衝突との相違点を上げるとすれば――――互いに力が互角ではないことだ。

 

 最初の数秒は拮抗していたが、次第に押されしまっているのだ―――――――炎真が。

 

(そんな…! 炎の推進力による高速の速さを加え、大地の炎を高密度で纏った僕の本気の一撃でも押せない!? しかも逆に押され返されるなんて!!)

 

「くっはははははははは!! まさかこの状態(・・・・)とはいえ俺の焔を防ぎきるなんてな! そして初見でこうも容易く接近を許しちまうとは、期待以上だぞ小僧!! だが―――――俺に力で挑むのはちと愚策だぜ」

 

 自分が押されていることは勿論、あることに炎真は驚きを隠せないでいる。

 

 それはマクバーンから――――死ぬ気の炎や氣といった生体エネルギーで(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)身体能力を(・・・・・)底上げ(・・・)している(・・・・)気配が全く感じられない(・・・・・・・・・・・)のだ。

 つまりこの男は強化もなにもしていない膂力だけで、"死ぬ気の炎"で強化した―――地形を破壊してしまう程の膂力で拳を振るった炎真を押し返しているのだ。

 

 有り得ない、という思いが炎真の頭の中を支配する。

 どれだけ修練を積もうが生まれつきの恵まれた体であろうが、生体エネルギーで強化しない限り、人間の素の身体能力でこの状況を作り出すことなど決してできはしない。 

 だからこそ炎真は思わずにいられない――――――本当にこの男は人間なのか?と。

 

「――――飛びな!」

 

 そして遂に力負けしてしまい、炎真は空中へ殴り飛ばされてしまった。人間とは思えないマクバーンの力に数十m以上上空へ飛ばされてしまったが、炎真とてただではやられはしない。

 

「まだだ!!」

 

 飛ばされながらも炎真は視線だけ(・・・・)で大地の炎の《重力》を発動。

 突如二人の衝突の余波で散らばった地盤の大小様々な瓦礫、木々といったあらゆる物質が"大地"の炎の影響を受け多数浮かび、まるで磁石に引き寄せられるかのようにマクバーンに向け高速に襲い掛かる。

 

 虹の代理戦争の最中までは腕を使わなければ《重力》を上手くコントロール出来なかったが、リボーンと綱吉との修行の成果もあって、今では視線と気配だけで大地の重力を操れる―――視界に映るもの全てを己の武器へと変えてしまう域に至れたのだ。

 

 

「―――甘ぇんだよ!!」

 

 360°から襲い掛かるあらゆる物質が自身に向け高速で襲い掛かかっているにも関わらず、マクバーンは危惧することなく愉しそうに己の周囲へ迫ってきた多数の全ての物質へと炎を薙ぎ払う。

 そして数秒も満たないうちに、瓦礫や木々といった全ての物質は常識的な法則など関係なく、跡形もなく燃やしつくされた。

 そして攻撃の手を休ませず、空中にいる炎真に向け焔を――――

 

 

 

「――――甘いのはてめぇだ」

 

 

 その声が耳に届いた刹那、マクバーンは抵抗する間もなく殴り飛ばされていた。

 

「―――がぁっ!?」

 

 自身が殴り飛ばされたことを認識したマクバーンは、飛ばされながらも視線を動かす。そして視た先には拳を振りかぶったリボーンの姿が。

 察するに自分はリボーンに殴られたのか………防御の備えをしていないとはいえ、自身を容易く殴り飛ばすとは……赤ん坊とは思えない身体能力に舌を巻きながらも、身を翻し体勢を整える。

 元より二人をまとめて相手するつもりだったため、リボーンの不意打ちに文句は全くない。

 しかし、ある疑念が頭に浮かぶ。

 

(気配が感じ取れなかった、だと……)

 

 炎真と激闘を繰り広げているのなかでも、マクバーンは常にリボーンをしっかり警戒していた。

 彼自身、並外れた気配察知能力を有しており、リボーンの気配は見逃すことなく感知していたし、アツくなっていても警戒を怠っているつもりはなかった。

 しかし、気が付けばリボーンの気配は消えており、察知することもできず無防備に殴られた。 

 

 今の状態(・・・・)の自分の気配察知能力から逃れる真似ができる者がいるとすれば――――現在《結社》を抜け新たな道を歩む《漆黒の牙》、《執行者》の権限を利用して《結社》から一時離れている《告死線域》という、隠形に特に長けた暗殺術を極めた暗殺者(アサシン)ぐらいだ。

 つまりこの赤ん坊は、彼らに勝るとも劣らない隠形術の持ち主だということか。

 だが、それについて思考に割く時間はなかった……

 

 何故なら、感じたのだ――――

 

 

 久しく感じなかった―――"死"に対する悪寒が。

 

 

CHAOS(チャオス)―――」

 

 身を翻し地に着地した瞬間、タイミングを計ったかのようにマクバーンの左右のそれぞれ足元の地表がえぐれ―――

 

 

「―――SHOTO(ショット)!!」

 

 ―――二つの弾丸という名の死神の鎌が地の底から襲ってきたのだ。それも、マクバーンの頸動脈を寸分狂わず正確に。

 

 

 CHAOS SHOTO(カオス ショット)―――《最強の殺し屋》のリボーンが持つ、暗殺戦技の一つ。

 予め地面に向け銃で弾丸を撃ち込み、リボーンのタイミング一つで地面下より現れ、敵対者の命を容赦なく刈り取る。

 弾丸にはリボーンが灯す高密度の炎が纏われており、鋼の強度だろうと簡単に貫通でき、速度は音速以上に加え、敵対者側から見ればいつ下から襲ってくるのか判断ができず敵の意表を容易く突けるため、"達人級"以上の強さを有していなければ"死"は免れない。

 

 本来この技は、虹の呪いがかかる前の大人の状態でなければ行使することが出来なかった。

 しかし、虹の代理戦争で『赤ん坊の状態から体が成長しない呪い』は解け、少しずつだがリボーンの肉体は成長してきている。

 その結果、現在では成長しない赤ん坊の肉体では行使出来なかった技が徐々に使えるようになってきた。といっても、大人状態での技の完成度と比べればまだまだだが。

 

 

「――――ちぃっ!!」

 

 先ほど感じ取った悪寒、そして永年生き続け修羅場を歩いてきた直感から、マクバーンは紙一重で死神の鎌を躱しきった。

 焔の壁で防御する暇もなかった――いや、あの弾丸には自分が思わず警戒してしまう程の高密度の炎を感じ取れた。仮に間に合ったとしても、今の状態の炎圧の焔であの弾丸防ぎきれる自信は珍しく湧かなかった。

 もし回避の選択を取らず、防御の選択を選んでしまった場合―――――死ぬことはない(・・・・・・・)だろうが、重傷を負っていたのは間違いないだろう。

 

 その事実を認知した途端、マクバーンからある感情があらわになる。

 

 恐怖? 否! 彼から零れるのは―――――――狂喜! 

 

「クハハハハハハハハハハハハハハハ!! 赤髪の小僧もアツくしてくれているが、お前も素晴らしいなアルコバレーノ!! 《漆黒》の小僧に《死線》の小娘にも劣らない隠形術には加え、この俺に思わず"死"を感じさせるほどの殺意と技!! しかもそれ程の強さに関わらず弱体化してるだと? クハハハハハハハハ!! 大人のお前はどれほどの規格外だ!!? 大人のお前と戦えないのがマジで悔やまれるぜ!!」

 

「……ベラベラとよく喋る奴だ。アルコバレーノの秘密を知ってるといい、詳細が全くみえねぇ《結社》といい、そのあまりにも異質の"異能"といい――――本来なら生け捕りにしてネッチョリと吐かせたいところだが………今だ本気を見せない(・・・・・・・)てめぇ相手にそんな悠長なことは言ってられねぇ、だからこそ始めから(たま)を取りにいってるからな」

 

「はっ!! それすらも見抜いていたか!! いいねぇ、それでこそアツくなれるってモンだぜ!! さあ、俺ととことん踊り狂うとしようぜアルコバレーノ!!」

 

「生憎てめぇのような戦闘狂にかまうつもりはねぇ。それよりも頭上を注意をした方がいいぞ。今日は隕石が降ってくる(・・・・・・・・)かもしれねーからな」

 

「あん?………――――っ!!」

 

 突如、上空からこの戦闘で初めて感じる巨大な炎圧を感じ取る――――それも、マクバーンが一瞬とはいえ気圧されてしまう程膨大な。

 

 

 その巨大な炎圧を目で追うとそこには―――――ただ上空にいるだけで雲と大気が割れ、誰もが思わず見上げ畏怖してしまうほどの存在感を示す、膨大な大地の炎を全身に纏わせる炎真の姿が。

 

 

「―――俺にここまでさせたんだ、とっととやっちまえ炎真」

 

 今炎真が放とうとしている大技は、綱吉の大技の一つである『X(イクス) BURNER(バーナー)』と同等以上の技を作り上げるぞ!というリボーンの指導と炎真の閃きと修練によってつい最近完成した技である。

 

 体内をを"大地"の炎による重力コーティングによって常人を遥かに上回る骨格と身体能力を形成し、体全体を最大炎圧の"大地"の炎で纏い破壊力を倍増させる。

 そのあまりにも規格外に強化された肉体を、籠手の炎の噴射による推進力と自身に"大地"の重力を付加させた超高速で敵に目掛けて一直線に衝突させる――――一見単純にそうに聞こえるが、速さも常人では見切れることは叶わず、破壊力は下手をすれば――――綱吉のX(イクス) BURNER(バーナー)を超えているかもしれないのだ。

 

 一度、人一人誰もいない廃墟地で技の試し打ちをした結果――――廃墟の建物は全て跡形もなく吹き飛び粉々となり、地面はまるで隕石に衝突したかのような(・・・・・・・・・・・)巨大クレーターが出来上がってしまったのだ……。

 その後、一部とはいえ並盛の地を破壊したことで並盛の町を愛する雲雀恭弥の逆鱗にふれ、炎真と修行に付き合った綱吉はしばらく雲雀との死と隣り合わせの恐怖の鬼ごっこを繰り広げていたのは余談だ。

 

 ただし、『X(イクス) BURNER(バーナー)』を習得し行使し始めてきた綱吉同様、最大炎圧(・・・・)での技を放出に十数秒ばかりの時間が必要だ。勿論デメリットがあるだけに威力は絶大だが、自身と実力が同等以上の相手に対してどうしても隙を生んでしまう。技を放つまでの時間の短縮は、それこそ更なる修練と戦闘、技を行使する慣れが必要だ。

 ゆえに、マクバーンをこの場で仕留めるため、リボーンは今回だけ炎真の大技を放出する時間を稼いだのだ。もっともリボーンの時間稼ぎは、常人であればそれだけで勝敗が決してしまうのだが………

 

 

 

 そんな異常な光景に、マクバーンは喜びを隠そうとしない。

 リボーンの言葉通り膨大な炎を纏う炎真の姿は、まさに人間が恐れる自然災害である隕石に匹敵しかねないほど。

 炎真の目は敵対者であるマクバーンをしっかり捉えている。―――人の身で受けてたつには無謀すぎるといえる、巨大なエネルギー体を己一人に衝突させんがために……

 

 瞬間、炎真の大技に対抗するかのようにマクバーンが纏う焔の炎圧が段違いに上昇。

 そして右の掌からこの戦いで見せる最大高温の火球が生成され、やがて人を容易く飲み込むほどの大きさへと膨れ上がる。

 

 あぁ……どこまで自分をアツくさせてくれるつもりだこの連中は。ゼムリアと同じで、ここも途轍もなく愉しい世界だ。

 ならばこれが最後の試しだ(・・・・・)

 本来なら試しなど必要なく、この二人の強さを考えれば最初から"本気"を出したかったが、一応自分の上司の立場にある《鋼》と《深淵》から可能な限り"本気"を出すな!と口煩く言われていたこともあり、何とかここまで自制した。

 

 だが、もう我慢の限界が近い。

 これほどの強者達との激闘に人の身(・・・)で戦り合うのはあまりにも役不足だ。"本気"の状態となり、より混沌とした修羅場で彼らと戦い、更なる高揚感を満たしたい! 

 この試しを打ち破ってくれれば、流石にあの二人も文句は言えないだろう。

 だからこの程度の試し、容易く打ち破れよ赤髪の小僧――――いや、古里炎真!

 

 

 

 互いの視線の交差したその刹那―――それを合図にしたかのように二人は共に動き出す。

 今の状態で繰り出せる最大戦技を、敵対者の男に振るわんがために!!

 

 

「―――『大地の彗星(コメッタ・ディ・デッラ・テラ)』!!」

 

「―――『ジリオンハザード』!!」

 

 

 あらゆる生物や物質など関係なく全てを破壊せんとする隕石が、生きとし生ける者全てを骨も残さず焼き尽くす灼熱を上回る劫炎が――――――激突する!!

 

 

 

 

 

 




 信じられます? これほどの激闘を繰り広げていながら、3人はまだ全力じゃねーってことを……。
 マクバーンは変身していないし、炎真は重力による並盛の被害を最小限に抑えようとして力を存分に発揮していないし、リボーンは大人状態ないし………―――まあ全力でやっちゃえば並盛が焼け野原になることが確実ですけど……
 
 レーヴェ、アリアンロード様に続いて自分が軌跡シリーズで好きなキャラクターであるマクバーン。出せて超嬉しいです!!
 
 お気づきの方もいらっしゃると思いますが、この作品のマクバーンの通常状態は原作よりも強めです。原作通りの実力のリィン達が閃Ⅱの煌魔城でマクバーンに勝負を挑んでも――――魔人状態になることも片膝をつかせることもなく敗北してまう程の強さにしてしまってます(汗)。
 だからマジで頑張って下さいⅦ組!
 
 次回はいよいよ綱吉との戦闘――――物語が動き出す話でやがります!! 
 本当は雲雀vs4人目の鉄機隊隊士、《シモンファミリー》の守護者+α vs ??????も書きたかったですけど、いい加減物語が進まないのでカットしすることにしました……(泣)
 次回もお楽しみに!!です。 

現状この小説の1話の文字数は8000~17000文字ありまして、更新速度を速めるため文字数を5000~6000に減らして話数を増やすのか、現状維持のままでいいのか――ご協力をお願いします。

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