英雄伝説 橙の軌跡   作:綱久

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橙の炎闘(フレイムランブル)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 綱吉から繰り出されるのは剛拳。

 拳を相手に向け殴るという単純な動作だが、常人が視認できない程の速度に加え、受ければ武器は勿論人体ですら容易く破壊する一撃。

 しかしローブの女性は手首で軽く動かした六尺棒でその一撃を防ぎ、一瞬の間拳と棒が鍔迫り合う。

 そして鍔迫り合ってた拳を上へと弾き、手首で六尺棒を刹那に操り綱吉の無防備の胴体に鋭い突きが放たれる。攻撃を弾かれた直後体勢を整える時間すら与えない―――普通ならまず反応すら不可能な一撃を、綱吉はその一撃が迫るのが分かっていた(・・・・・・)かのように足を横へ数歩動かしただけで躱し、疾風と思わせるほどのの速度で彼女の背後へ回り、首を切り落とすんじゃないかと思わせる程の速度と威力のある手刀を振り下ろす。

 しかし彼女もまた、この光景が事前に分かっていた(・・・・・・)かのように突き出していたはずの六尺棒を巧みに操り、背後を振り返ることもなく棒を盾にすることで手刀を防ぎきる。

 またしても(・・・・・)仕留めきれなかったことに綱吉は、無理に迎撃を行うことはなく素早く後方へと下がっていき、女性もまた追撃することなくその場を動かず警戒を怠らない。

 

 

 さて――――もしこの場所が闘技場であり、周りに大勢の観客がいた場合、先ほどから続く二人の戦闘について感想を聞けば誰もが口を揃えて言うだろう―――――"なにも視えなかった"と。 

 

 戦いと縁がない一般人や"上級"の戦士は勿論、"準達人級"の戦士ですら視認が難しい―――――超高速の戦闘。

 更に得物を振るうたびに大気が震え、大地は割れ、土煙と風が舞い、森林が吹き飛んでいく。速さだけでなく力も技も桁が違いすぎるのだ。

 常人が唯一理解できるのは、戦っている二人の実力が互角であることぐらいだ。 

 

 だがそれは当然とも言える。

 互いに臨界点を超え人を辞めてるのではないかと評してしまう"達人級"の実力を持ち、互いに人の上に立つ王の素質の証明ともいえる"大空"の属性を持ち、そして互いに異常ともいえる修練を積み数多の修羅場をくぐり抜けた―――共通点は他にも存在する(・・・・・・・・・・・)が、綱吉もローブの女性も誰もが認めざるをえない真の強者なのだから。

 

 しかし人間の身で起こすのが不可能だと言える、そんな人災を繰り広げているにも関わらず―――彼らにとってこの程度様子見にすぎない。

 今だ二人は勝負の左右を分けるとも言える戦技(クラフト)を一つも使用しておらず、身体能力と武器強化には使っているが"死ぬ気の炎"の力を十全に発揮していない。

 確かに二人は今本気で戦っているが、まだ全力と言える実力を見せていないのだ。

 ――――むしろ、本番はこれからだ。  

 

 

 

(分かってはいたが、彼女は強い。まだ様子見とはいえ――――今だ一撃も通せないとはな)

 

 すでにこの攻防は5分は続いているが、綱吉もローブの女性も決定打は勿論、生身に攻撃を通しきれていない。

 綱吉の基本戦法は拳と脚を利用した格闘術、ローブの女性の基本戦法は手首を軸として操る棒術。

 綱吉の拳術は、彼女が巧みに操る常人離れした棒術によってほぼ力を流され防がれてしまい、仮に棒術をかいくぐったとしても自分に匹敵する彼女自身の異常な俊敏力によって躱されてしまう。

 逆にローブの女性の棒術は、綱吉の常識外の速度によってほぼ躱され、躱す隙も与えなかった超高速の殴打も突きも鋼鉄のグローブによる拳術によって防がれてしまっている。

 綱吉は主に"速さ"、ローブの女性は主に"巧さ"によって、現状互いに攻めきれていない。

 

 そして自分もそうだが、彼女もまだ全力を出しておらず手の内を全く明かしていない。彼女の実力は得物を交あわせる限り、自身と同等以上なのは明白。

 だが負けるつもりは全くない。

 友や仲間とまたいつもの日常を過ごすため、そして自身に向けられる彼女の悪意と敵意の真意を問いただすためにも、この勝負は負けられない。

 

 

 

(想像以上にやるわね。やっぱり今のままじゃ向こうが少し有利か……)

 

 技術や速さにそれぞれ少しばかりの差はあれど、総合の戦闘力は互角であることは純然たる事実であることは認めざるをえない。

 しかし彼との現時点の差を挙げるとするならば、それは今自分が使用している得物である六尺棒だ。

 一応これは向こう側の世界でも上位に入る一級品ともいえる武器ではあるが、綱吉の得物である鋼鉄のグローブ―――XグローブVer.Xと比較するとどうしても見劣りしてしまう。

 別に武器の性能の差を負けた時の言い訳にするつもりは一切ない―――というか負ける気は更々ない。そもそも一流の武器の調達もまた戦士の力でもあり、それを言い訳にするなど戦士として三流以下だ。

 

 だが、別に用意していないわけではない。

 ローブの女性には、綱吉のXグローブに勝るとも劣らない超一級――――いや、そんな言葉では形容し難い異質な武器を所持しているが、今は具現させる(・・・・・・・)ことはできない。

 

 なにせそれを出してしまえば力の加減は難しく―――――下手をすれば綱吉を殺しかねない。

 

 本心は(・・・)ともかく、沢田綱吉を生かさなければならず、それだけ絶対には避けなければならない。だからこそ、殺傷能力がまだマシな六尺棒を得物として戦闘を行っているのだ。

 

 

(さて、そろそろ全力でやらないとね。沢田綱吉君―――私が最初から全力で殺ろしにかかっても、恐らく五分五分。分かってはいたけど忌々しいわね……。まあ今回は彼を殺すのが目的じゃない、あの人(・・・)がくるまでに綱吉君をある程度消耗させればそれでいい……。まあ、少しばかり卑怯かもしれないけど――――この世界に存在しない力を遠慮なく使わせてもらうわ!)  

 

 意を決したローブの女性は、有言実行と言わんばかりに即座に動いた。

 

 

「―――アーツ駆動」

 

「っ!」

 

 瞬間、彼女の足元から―――青白く光る、オカルト関係の事件で何度か目にしたものと同種と思われる魔法陣が現れる。

 綱吉にとっては初めて目にする全く未知の力。しかし初見ながら、あれに対して時間を与えるのは危険だと即座に判断した綱吉は脚力(・・)による超高速で彼女に迫り、その得体の知れない未知の力の発動を阻止せんと―――この戦闘で初めて見せる全力に近い最大威力の拳による一撃を振るった。 

 しかしローブの女性は意に介することなく、詠唱中に関わらず(・・・・・・・)綱吉の拳を六尺棒による全力に近しい豪打によって迎え撃ったのだ。

 互いにこの戦闘で見せる最大の一撃同士の激突で起こった余波は、先ほどの様子見の戦闘とは比較にならない。だがそんな対戦者以外の全てを吹き飛ばす奔流ですら、彼女の足元の魔法陣は消えていなかった。

 

「判断は悪くないわ。《魔法(アーツ)》の駆動には術者の強い集中力と詠唱が必要。特に上位魔法となればそれ相応の集中力が必要となるから、《魔法(アーツ)》を駆動する際はその場から動かないのが基本。まあある程度修練を積めば詠唱中でも動くことも可能で、敵の妨害に対応しながら《魔法(アーツ)》を発動することはできる。けど君のような"達人級"の規格外の攻撃じゃ高い集中力を保つことも詠唱することも叶わず、駆動は強制的に解除させられてしまうわね」

 

 

 

「でもそれは――――――並の戦士の話。私はそれに分類されないわ」

 

 彼女の足元から魔法陣が消える。

 しかしそれは発動を無効にしたからではなく―――未知の力が解き放たれる前兆。

 

「―――『ハイドロカノン』!」

 

 彼女の前方から、"死ぬ気の炎"、"氣"、"闘気"とはまた違う生体エネルギーから生成される、高密度の魔力によって生成された水による圧縮砲が放たれる。

 しかもこの魔法(アーツ)向こう側の世界(・・・・・・・)では上位にはいる高位魔法(アーツ)。元々の威力が高いのは勿論、術者であるローブの女性の魔力の質の高さもあいまって、まともに受ければ綱吉ですら致命傷は避けられないだろう………しかも得物同士の鍔迫り合いの最中でほぼゼロ距離から放たれたのだ。この状況では、例え達人級でも躱す(・・)ことは困難に近いだろう。

 

 しかし、綱吉は『ハイドロカノン』が放たれたすぐ直後、自身の得物である片手のXグローブVer.Xから高出力の《死ぬ気の炎》を下に向けて放出することで、その推進力を利用し空へ飛び上がることで六尺棒との鍔迫り合いを無理やり脱し、圧縮砲を間一髪で躱しきったのだ。対象者を失った圧縮砲は、地を削りながら一直線で綱吉がいた地点の後ろの木々を数本巻き込み粉砕する。

 

 普通なら躱すことはおろか反応することすら至難といえる。だが、綱吉にはそれを可能とする力を宿している。

 

 

 "見透かす力"、『超直感』―――――ボンゴレの血、『ブラットオブボンゴレ』を継ぐ者だけがもつ、常人の域を遥かに超えた直感力。人の感情を感じ取ることは勿論、相手の些細な筋肉の動きや癖、思考を視ることで相手の次の行動を読み取るなど、予知に近い直感を感じ取ることができる―――いくら観察眼を鍛えても決して辿り着くことはない、ある意味"異能"に匹敵する直感力。 

 

 綱吉は超直感でいち早く魔法(アーツ)の発動のタイミングを察知したからこそ、あの状況ですら対応することができたのだ。 

 だが、そんな綱吉の常人なら目を疑う臨機応変さですら、ローブの女性にとって想定の範囲内。 

 

「よく躱せたわね。でも、次はどうかしら」

 

 指をパチンと鳴らす。

 瞬間、着地を狙ったかのように綱吉の足元が歪み、言葉では説明しようがない"時"の鎖が彼の足を捕らえ自由を奪う。

 

「くっ!」 

 

 『カラミティクロウ』―――相手の行動を阻害し、妨害する魔法(アーツ)。先ほどの『ハイドロカノン』に勝るとも劣らない上位魔法(アーツ)

 

 しかし、本来綱吉のような"大空"の属性を有する者に、毒などといった身体に影響を及ばす害物は通用しない。

 何故なら"大空"の《死ぬ気の炎》の特徴は『調和』。全体の均衡を保ち、矛盾や綻びのない状態にする――――つまり人体ならばその均衡を崩す体外より侵入する害物を消滅させる。

 常に"大空"の属性が体内を巡り状況によって『調和』の炎の調整が可能な"大空"の炎の保持者には、例え未知の力(アーツ)であろうと本来なら影響を及ばすはずがない。 

 

 では何故、通用しないはずの害物によって、綱吉は動きを妨害されて動くごとができないのか? 

 

 その原因は至極単純―――――綱吉の"大空"の炎ですら易々と『調和』させないほどの、術者の高い魔力量による魔法(アーツ)だからだ。常人の魔法(アーツ)なら意に介することもないが、ローブの女性のこの魔法(アーツ)は弱体耐性に強い綱吉ですら破るのに数秒は有してしまう。

 

 だが、"達人級"同士の戦闘での数秒は―――――大きな隙となる。

 

 

「全てを呑み込め――――大海の逆鱗(コーレラ・ディ・マーレ)!!」

 

 先ほどの『ハイドロカノン』が可愛く思えてしまう、六尺棒の数多の回転の遠心力によって威力が増大した黒い《死ぬ気の炎》により生み出された――――人間が恐れを抱く災害の大津波の戦技(クラフト)が襲う。

 

 まるで並盛山が海に囲まれた無人島だと錯覚してしまうほどの水りょ――――海水を思わせるほどの炎による大津波。呑み込まれてしまった者のほとんどの末路は―――――死。

 "達人級"でもまともに受ければ重軽傷は免れないほどの圧倒的エネルギーの波。 

 

 並盛山そのものを呑み込むほどの攻撃範囲と高さ。

 更に津波の速度も、『カラミティクロウ』によって数秒足を止めれていた今の綱吉では躱しきることはほぼ不可能ともいえるほどに速い。防御のため体内を《死ぬ気の炎》で強化しても流石の綱吉でも危険と肌で感じさせるほどの威力。

 あぁ……確かに躱すことも防御にまわることも悪手だ。先ほどのローブの女性が見せた二つの未知の力も、この戦技(クラフト)で確実に決着をつけるための布石だったのであろう。

 

 だが、この程度(・・・・)の状況で自身の行動を制限し勝利するつもりでいるというのなら―――甘く見るなよ!  躱すことも防御も意味をなさないのなら―――この戦技(クラフト)を無力化してしまえばいいだけのこと!

 

 

「――――いくぞ」

 

 綱吉は迫りくる大津波に目を向けることなく、自身の鋼鉄のXグローブを地面に添える。

 そしてXグローブから炎による熱気がではなく、全てを凍てつかせる冷気(・・・・・・・・・・・)があふれでる。超圧縮エネルギーを炎ではなく冷気へと瞬時に変換―――――

 

 

「――――死ぬ気の零地点突破、初代(ファースト)エディション」

 

 瞬間、綱吉へと目と鼻の先にまで迫った大津波の時間が停止した。

 綱吉の圧倒的な冷気によって、ローブの女性が起こした災害の大津波は―――動きだすことは一切叶わない氷像と化してしまったのだ。

 

 これこそは―――初代《ボンゴレファミリー》のボス、ボンゴレⅠ世(プリーモ)が創りだした伝説の奥義。

 《死ぬ気の炎》を冷気へと変換し、対象物を瞬時に凍らせる、『死ぬ気の零地点突破・初代(ファースト)エディション』。

 ボンゴレの血を引き継ぎ、血の滲むような地獄の修練を乗り越えた者だけが習得できる、まさに選ばれし者が使用できる伝説の奥義。

 しかもこの冷気は《死ぬ気の炎》と同じで超圧縮エネルギーのため、例え3000度の超高温の炎ですら溶かすかとは不可能。《死ぬ気の炎》、そしてこの世の(ことわり)を超えた力以外で破る術はない。

 

 

「《死ぬ気の炎》を、凍らせた!?」

 

 目の前の信じがたい光景に、この戦いで初めて表情が驚愕へと変わるローブの女性。

 確かにあの《道化師》からは沢田綱吉の大まかな情報しか与えられておらず、彼が情報以上の実力を秘めているのは勿論、向こう側の世界の常識から外れた技術や力が存在している可能性を考慮していた。

 だが、長年自身の力として利用してきた《死ぬ気の炎》に、このような力が秘めていたなど想像できるはずがなかった。

  

「―――どこを見ている?」 

 

「―――ちぃっ!」 

 

 確かにこの光景に驚きを隠せなかった……しかし、どんな状況下であろうとローブの女性は常に神経を尖らせ最警戒していた。

 ゆえに、自身の背後へと超高速で容易くまわった綱吉の殴打にも、振り向きざまの六尽棒による薙ぎ払いで撃ち合う形で防ぎきる。威力は先ほどの戦闘とは比較にならないほどの重さで手が一瞬痺れたが、吹き飛ぶことなく彼女はその場に踏みとどまる。

 

「その程度の奇襲が成功するとで――――っ!!」

 

 ゾクっ!!と寒気が奔った。

 何故あのまま凍結力を利用して攻めてこなかった? 何故この局面で最初の繰り返しとなる戦術で向かってきた? 何故――――といういくつもの疑問が頭に浮かぶよりも早く、彼女自身に宿る常人の域を超えている直感(・・・・・・・・・・・・)が、危険信号を鳴らした。

 

(ヤバ――――っ!)

 

 その直感はまさに的中した。

 六尽棒と鍔迫り合っていた握り拳は掌を自身に見せるかのように開かれ、そして―――――――

 

 

「――――X(イクス) BURNER(バーナー)!!」 

 

 ゼロ距離から放たれた、全てを飲み込み破壊しつくすエネルギー砲が――――ローブの女性をいとも容易く呑み込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人の女性騎士がいる。

 全身を混じりけがない銀色の甲冑で包み、その顔を同じく銀色の兜ですっぽりと覆っており、その兜の隙間から目を奪われてしまうほどの麗しい白金色の長髪が風でなびく。

 

 その騎士は人目のつきにくいとある高層ビルの屋上から、並盛の各地で起こる炎と闘気が充満する戦場を見渡していた。 

 もしそんな女性騎士の姿を運よく目にできた者がいたとしても、彼女へ進んで謁見する者は両手で数える程度しか存在しない。

 騎士から溢れ奔るその闘気と覇気は、現在各地で激闘を行っている戦士達のような派手さはなく静かであるがあまりにも強大で、力なき者を容易く意識を奪い地に伏せさせ、例え意識を失わずにいたとしても正気を保つことはかなわず、恐怖心から思わず自ら意識を断つかその場から逃走させ、野生の勘をもち危機察知に敏感な動物達は決して騎士へ近づこうとしない程に圧倒的だ。

 

 ただそれは序の序の口もいいところ。なにせ今溢れる闘気は彼女が意識して出しているのではなく、ただその場に立っているだけ(・・・・・・・・・・・)

 この程度で無様をさらすようでは、彼女に挑むことはおろか彼女へお目に掛かる資格すらない。

 

 なにせ彼女は『至高』の存在。

 全ての武の頂に座し、人の域から外れ神域へと至った、言葉通り絶対的な最強の戦士。

 状況が状況でない限り、"達人級"の戦士ですら自ら進んで相対しようとは思わない圧倒的な存在。 

 

  

 しかしそんな――――誰も彼もが近づくことすら叶わぬ騎士の領域に、一人の男が歩み寄る。

 

 

 

 

 

「―――お久しぶりですね、チェッカーフェイス」 

 

「―――久しぶりだねリア―――いや、今は"アリアンロード"だったか」

 

 動作一つだけで"美しい"と思わず口にしてしまうほど優雅に、来訪者たる男へ振りかえ顔を向ける。

 

 見た目だけを言えば、男は平凡と言わざるをえないだろう。

 灰色に近いボサボサとした白髪に小さな丸眼鏡をかけ、年期が入った抹茶色の和服を身に着けた、どこにでもいそうな一般人。

 しかも"アリアンロード"と呼んだ騎士と違い、この男から他者を圧倒するオーラどころか、気配を全く感じない(・・・・・・・・・)ほどに存在感がない。 

 身だしなみは勿論、力を全く感じないほどの平凡さ……どうやら互いに知り合いのようだが、とても女性騎士―――アリアンロードに謁見する資格があるとは思えない男だ。

  

「…相変わらずそんな兜を被っているのかい? いくら今が冬とはいえ暑苦しそうにしか見えないのだが」

 

「であればこの兜を剝ぎ取ってみますか? 貴方ならばそれぐらい容易いでしょう」

 

「《聖女》の異名に恥じない神秘を感じるさせる君の貌を拝観させてもらえるのならそれも一興だが、生憎私は無意味な戦いはしない主義だ」

 

 "戦闘は専門外だからね"と、手に持った器のラーメンをズルズルと啜る。

 この場に彼女の部隊である《鉄機隊》隊士、それも筆頭隊士である《神速》のデュバリィがいれば『偉大なるマスターの御前で食事をとりながら話すなど不敬にもほどがありますわよ!!』と怒鳴り散らしていただろう。 

 

 だが、この光景はあまりにも異常とも言えるだろう。

 アリアンロードの圧倒的な闘気をまえにしても、今だ力を感じさせない平凡な男は意識を失うどころか臆することもなく、平然と食事をしながら会話をしている。

 

 ゆえに当然、この男もただの人間ではない。いや、人間ではあるが根本的に規格が違うのだ。

 

 

 7つの《ボンゴレリング》、7つの《マーレリング》、7つの《アルコバレーノのおしゃぶり》。

 通常の指輪(リング)と比較にならない最高精製度Aを超える――――世界を創造した礎の原石から創られた(トゥリニセッテ)。そしてこの地球という星の秩序を守り、地球に生きる生命体の進化を育む、この地球上で無くてはならない至宝である。

 もし(トゥリニセッテ)の一角―――それも半分以上消失などすれば、時空間が徐々に歪み崩れていき、最悪の場合この地球が滅亡の道を辿っていく恐れがあるのだ。

 

 現在、用途が異なる《アルコバレーノのおしゃぶり》を除いた(トゥリニセッテ)指輪(リング)にはそれぞれ保持者(ホルダー)はいるが、遥か(いにしえ)より今なお影からも(トゥリニセッテ)を管理、監視している者が存在する。

 

 

 それこそが―――『チェッカーフェイス』と名乗る、数万年前から地球という星に生きる全ての生命体を現在まで見守ってきた、地球に最初に誕生した最古代の人類。

 実力は言うに及ばす最強。この世界の歴戦の猛者達の中で最も強い1人である綱吉ですら勝負にならない、隔絶した力の差がある程に。

 

 

「確か君と最後に会ったのは20年前――――君が《盟主(グランドマスター)》と呼ばれる彼女(・・)に《結社》とやらに勧誘を受けた後だったか。まさか君が絶対の忠誠を誓う程の存在がこの世にいるとは………ま、彼女(・・)なら是非もないか」

 

「……そうですね。リアンヌを知る者からすれば思いも寄らぬ行いでしょう。それにしても……やはり《盟主(グランドマスター)》をご存知でしたか。そして―――《結社》のことも」

 

「まあね。沢田綱吉君、リボーン君と古里炎真君と10代目《シモンファミリー》が今相手にしているのは確か《執行者》……だったかい? ボンゴレの《守護者》を足止めをしていたのは君の麾下である"戦乙女"達。更にこの並盛の地を誰にも感知されることなく(・・・・・・・・・・・・)転々と動いているの君と同じ《蛇の使徒》と呼ばれる最高幹部。―――そして私の調べた限り、それ以外にもとんでもない規格外の数多の猛者達が集っているはず……《結社》とやらは相当な戦力をお持ちのようだ」

 

「ふふ。ゼムリア大陸の各諜報機関の総力をもってしても今だ謎に包まれている《結社》も、貴方の手にかかれば丸裸ですか」

 

「時間だけは無駄にあるからね。さて、このまま君と昔話としゃれこむのも悪くないが、そろそろ本題に入るとしよう」

 

 残っていたラーメンの麺を全て啜り、チェッカーフェイスはアリアンロードへと向き直り―――

 

 

「―――10代目《ボンゴレファミリー》のボスにして、(トゥリニセッテ)の"大空"の一角を担う沢田綱吉君。一体《結社》は―――君は彼をどうするつもりなんだい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 水着サーヴァント、水着獅子王以外をお迎えでき、マーリン召喚に秘儀(課金)を使い無事お迎えすることができました綱久です。水着サーヴァントのマスターに対する態度にずっとニヤニヤしっぱなしでした(笑)。 

 はいそんな事は置いといて―――お待たせして本当に申し訳ございませんでした。
 しかも前話の後書きで物語が動きだすとか言いながら、そこまで動かなかったという……予想以上の長文になってしまうので、半分に分ける結果となっちゃいました(悲)

 この小説を読んでいただきき、感想まで送っていただく読者の皆様―――こんな自分ですがこれからもよろしくお願いします!! 取り敢えず一か月一回投稿を途切らせないようにしなければ! 


 今回は綱吉とオリキャラの激闘。話でもうお分かりと思いますがこのローブの女性は超強い―――というかぶっちゃけこの小説の重要キャラクター。彼女の正体は追々分かっていくのでお楽しみに!!です。

 そしてそんな激闘の裏で会うチェッカーフェイス―――そして私綱久が軌跡シリーズで好きなキャラ第二位のアリアンロード様!! そして自分が確信する軌跡シリーズ最強のキャラクター!! なのでちゃんとアリアンロード様の描写が上手く書けたのかが、今回の超不安点……。いかがでしたか?(恐)


 次回こそ、物語が動きます!! どうかお楽しみに!!です。それではまた次回でお会いしましょう。

現状この小説の1話の文字数は8000~17000文字ありまして、更新速度を速めるため文字数を5000~6000に減らして話数を増やすのか、現状維持のままでいいのか――ご協力をお願いします。

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