英雄伝説 橙の軌跡   作:綱久

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 みなさん、お久しぶりであると同時にここまで遅れてしまい、本当に申し訳ありませんでした!!
 どうしてここまで遅れてしまったかは後書きで話しますので、まずは本編をどうぞ!!です。


第1章~トールズ士官学院~
入学


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三月三十一日。別れもあれば、始まりでもある春の季節。

 

 

 

 エレボニア帝国、帝都ヘイムダル近郊都市小都市トリスタ。

 

 未だ冷たさもあれど暖かさも感じる風が吹き、新入生を迎えるかのように街中に咲き誇るライノの花と香りが舞い、学院の制服を纏う生徒達は思わずその光景に見惚れてしまう。

 

 

 トールズ士官学院。

 

 七耀歴950年、エレボニア帝国史上最大の内戦とされた《獅子戦役》にて勝利を掴み取った大帝・ドライケルス・ライゼ・アルノールが設立した歴史ある士官学院。かつては軍事を専門とした学院ではあったが、現在は士官学院という体裁を保ちながらも、芸術や音楽といった様々な分野科目を取り入れているのだ。

 帝国の貴族の嫡子だけでなく平民出身の生徒も在籍し、卒業後の生徒たちは学んだ知識と技量を生かし軍属だけでなくあらゆる職業に就き活躍しており、帝国で名を轟かせる有名人の多くはトールズ出身とも聞く。

 ゆえに、トールズ士官学院は貴族の跡取りや平民出身の秀才が集う名門校と位置付けられている。

 

 そんなトールズ士官学院は本日、第215回を迎える入学式が行われる。

 ある者はトリスタ駅に停まる列車から、ある者は送り迎えの導力車から、緑と白―――そして極少数の赤色の制服を身に纏った新入生達が、希望と不安といった様々な想いを胸に、トールズ士官学院へと足を運んでいく。

 

 

 

 

「ライノの花か……綺麗だな」

 

 トリスタ駅の駅舎から歩み出た途端に、満開のライノの花による一面の景色に思わず呟いてしまった―――得物を包んでいる刀袋を背負い赤い制服を身にまとった黒髪の少年、リィン・シュバルツァーもその一人だ。

 

 ライノの花に見惚れながらもリィンは颯爽とした様子で校舎への道を歩んでいく。その道すがらトリスタの住人達からの祝福の言葉をかけられ、感謝の意をこめた挨拶を返すことも忘れない。

 故郷を早めの時間帯から出発したおかげか、入学式まで時間の余裕がある。ならば折角なのでこれから2年間お世話になるトリスタの町を遅刻しない程度で軽く散歩するのはどうだろうか。

 

 そう思いリィンは歩みだそうと――――

 

 

 

 

 

 

 

「―――いてぇーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

 不意をつかれたのような大きな悲鳴にリィンはギョっ!!としてしまい、悲鳴の聞こえた方向へと思わず視線を動かす。

 そこに目を向ければ、ふわふわとはねた茶色の髪型の少年が頭を抱えながら仰向けに倒れていた。察するに転んで倒れてしまったのだと想像に難しくなかった。

 

「き、君! 大丈夫か!?」

 

 周りに生徒がいなかったか―――いや、それとは関係なくリィン・シュバルツァーは周りが呆れてしまう程の無自覚なお人好しだ。ゆえに、見知らぬ少年であろうとリィンはこの光景を見過ごす選択肢は存在しなかった。

 

「あ、ありがとうございます……いやー、景色につい見惚れてしまい足を滑らせて頭を強く打ってしまうなんて、いつものことながら俺のこのダメっぷりどうにかならないかな……」

 

「いつも!? ま、まあ実際俺もライノの花に見惚れて周りを少しばかり疎かにしてしまったから人の事は言えないけど……と、それよりほら、立てるか」

 

「うぅ……助かります」

 

 手を貸して無事立ち上がれた少年にどうやらそこまで外傷があるわけじゃないかと一安心するリィン。そして改めて助け起こした少年の容姿を失礼のない程度に観察する。

 自分や他の新入生よりも幼く見えてしまう童顔、身長も見る限り150リジュ辺りで、肉体も服に覆われて正確な判断はつかないが恐らく普通だろう。失礼だが、とても軍事学校に入学するとは思えない見た目だ。

 しかしこの少年は貴族生徒が纏う白でも、平民生徒が纏う緑でもないが、自分と同様()()()のトールズの制服を身に纏っている。つまりこの少年もトールズの新入生だということだ。

 だからリィンは、思わず少年に対して抱いてしまった疑問を口に出してしまう。

 

「失礼だと思うけど……その――」

 

「――あぁ……やっぱり自分って皆さんと比べると場違いですかね。まぁまだ俺14歳だから、ここにいる誰よりも歳は低いと思いますし」

 

「14!?」

 

 これは素直に驚きを隠せなかった。

 『トールズ士官学院』は帝都ヘイムダルに存在する『聖アストライア女学院』に並ぶエレボニアにが誇る名門校だ。 

 当然入学を希望する生徒の倍率は高く、それに加え名門というだけあって入学試験もそれ相応に難易度が高い。ゆえにトールズに受かるのは自分のようにな17歳前後の者達が普通だ。それよりも若くして入学できないこともないが、それでも極まれだ。つまりこの少年は――

 

「14歳で名門のトールズに入学なんて、君って凄いんだ――」

 

「――そんなことありませんよ全然!! 出会ってすぐに拳銃を発砲したり修行(地獄)へ蹴り飛ばしたりダイナマイトをばら撒いたり極限!!極限!!と吠えたり群れてるという理由で嚙み殺したりしない―――俺はそんなどこにでもいる"普通"な人間です!! 」

 

「そ、そうなんだ……(や、やけに"普通"を強調しているのは気のせいかな……それに普通の比較の例えが少し具体的で物騒すぎるのも……)」

 

 あまりにも必死すぎる少年の物言いに、流石のリィンも苦笑いを浮かべた。自分だけでなく他の生徒もこの少年を普通以外に視ないんじゃないかなと口に出そうとしたが、その話題に触れると何故か危険という直感が鳴り響いたため寸前で口を閉ざす。

 

 

「取り敢えずなんともなさそうで良かったよ。それにしても………君の制服も"赤"なんだな」

 

「……そうですね、見渡す限り赤の制服を着ている学生さんは極僅かみたいですし……もしかしたら同じクラスになるかもですね」

 

「そうだと良いな。こうして会えたのも何かと縁を感じるし、これから仲良くしてくれると俺は嬉しいよ」

 

 これは噓偽りのないリィンの本心だ。

 確かにこの少年の存在には驚きはしたが、ただそれだけだ。これから2年間共に過ごすであろう同級生、それも同じクラスになるのであれば仲を深めていきたいと当然思っている。

 

 それに何故だかまだ分からないが、この少年を放っておけないと感じてしまうのだ。

 先ほどのダメっぷりや言動を目の前にしたこと、年上として年下を守り導く責務も理由に含まれるかもしれないが、武人の末席としての経験からか自身の直感からなのか……ともかく、リィンは―――現在進行形で目頭を押さえながら"うわぁ……ゼムリアって本当にいい人ばっかり……もう泣きそう…"……と、天を仰ぎながら小声で呟いている少年を気にかけてしまう。

 

「入学式までまだ時間もあるし、俺はもう少しこの辺りを散歩しようと思うけど、君はこれからどうするんだ?」

 

「俺はもう校舎の方に向かいます。万が一これで遅刻してしまったら色々な意味で立ち直れなくなるので……」

 

「あ、あはは。そっか、じゃあ次に会うのは入学式になりそうだな。――っとそうだ。大事なことを忘れていた」

 

 右手を差し出すリィンに頭を傾げた少年だったが、すぐに意図を気づいたのか嬉しそうに右手で握り返し互いに"よろしく"という意味を込めた握手を交わす―――

 

 

 

「―――俺はリィン・シュバルツァー。同じクラスになるかはまだ分からないけど、これから2年間よろしく頼むよ」

 

「―――ツナヨシ・サワダです。俺のことは気軽にツナって呼んでください。こちらこそよろしくです、リィンさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、ツナヨシは転んだ自分を助けてくれた同級生――リィンと別れ真っ直ぐ校舎に向かった。

 道中トラブルもなく無事校舎に到着したことにある種の感動を味わっていたところ、校門の近くで佇んでいた栗色の髪をした小動物の様な女性とツナギを着用した少し小太りな男性の先輩に出会った。事前に告知されていた荷物を預け、二人から入外のお祝いの言葉をいただき、嬉しさと遅刻をしなかった安堵感を胸に入学式が行われる講堂へと向かった。

 ……まあ、最期に気が緩んでしまったのか講堂の入り口で自身のダメっぷりがこのタイミングで再び発揮されてしまい、人数がそれなりに揃った新入生達の前で見事にズッコケてしまい注目を集めてしまったのだが……

 

 

 

 

「最後に君たちに、一つの言葉を贈らせてもらおう」 

 

 現在、トールズ士官学院学院長による新入生に向けての挨拶が行われている。

 もしこれが()()()()()()()()であれば、流石に居眠りをすることはないが、ある程度にしか話を聞かず別のことに思考を働かせていたかもしれない。 

 

 だが、今壇上に立って新入生一同に向けて話しているこの学院長に対して、ツナヨシはそんな態度は取ったりしない。

 

 

 トールズ士官学院学院長、ヴァンダイク。

 

 こうして目にするのは初めてだが、事前に調査していたからこそツナヨシは彼を知っている。

 学院長でありながら、エレボニア帝国正規軍名誉元帥という華々しい肩書も持っているエレボニア帝国が誇る最高戦力の一人だ。現在では退役し戦場に出ることは殆どないだろうが、長年修羅場を歩んできた名将から溢れ出る覇気は、入学式でなければツナヨシが思わず警戒してしまい、もし《守護者》であるあの戦闘狂がいれば喜々として戦いを仕掛けるほどに強い。

 

 

(確かこの学院長に勝るとも劣らない強者が何人もこの国にいるんだよね。いくら軍事国家とはいえエレボニア怖っ!!)

 

 『お 前 が 言 う な!!』という、ツナヨシの内情を知る者が聞けば真っ先にツッコんでしまう内容をつい思考してしまうツナヨシ。しかしそれをすぐに頭の隅に追いやり、学院長の言葉に耳を傾ける。

 

「『若者よ―――世の礎たれ』――― “世”という言葉をどう捉えるのか。何をもって“礎”たる資格を持つのか。これからの二年間で自分なりに考え、切磋琢磨する手掛かりにして欲しい……。ワシの方からは以上である」

 

 この言葉を最後に学院長の挨拶が終わり、入学式は終了となった。

 教頭の指示の元、緑色の制服を着用した平民出身であるⅢ~Ⅴ組と白色の制服を着用した貴族出身であるⅠ~Ⅱ組の新入生達はそれぞれの教室へ移動していくが、赤色の制服を着用した10名の生徒に対してなんの指示もなく残されてしまう。 

 戸惑う生徒達をよそに、ツナヨシはヴァンダイク学院長が口にした"ある人物"について考えていた。

 

(ドライケルス大帝―――この学院の創立者であり、『獅子戦役』を平定した英雄……。そして何より、()()()()()()()()()()()()()()()……) 

 

 帝国史上最大の内戦といわれた『獅子戦役』を平定し、衰退したエレボニアを復興させた帝国中興の祖にして、250年前のエレボニア帝国の皇帝、《獅子心皇帝》ドライケルス・ライゼ・アルノール。

 彼の英雄章は所々にしか目を通していない。しかし彼の歩んだ軌跡は、歴史や伝説に興味をあまり持たないツナヨシですら憧憬の念を抱いてしまうほど。

 

 もっとも、ツナヨシがドライケルス大帝を()()()している理由は別なのだが―――

 

 

 

「――はいはーい! ”赤い制服”を着てる子たちは注目~!」

 

 静寂とした講堂に響き渡る()()()()のある明るい声に、思考の海に沈みかけたツナヨシの意識が戻る。 

 

 声のした方向へ目を向けると、赤紫色(ワインレッド)の髪を後ろで纏め上げた素人目から見ても充分美人といっても過言ではない女性が立っていた。 

 ツナヨシ、そして赤い制服の生徒の一人である銀髪の少女はこの展開が予想通りだったからなのか微動だにしなかったが、他の生徒たち今だ状況が飲み込めていない。

 

 そんな彼らに構うことなく、赤紫色(ワインレッド)の女性は明るく告げる。

 

 

 

 

「―――君たちにはこれから、”特別オリエンテーリング”に参加してもらいます♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――サラ・バレスタイン。今日から君達《Ⅶ組》の担当教官を務めさせてもらうわ。よろしくお願いね♡」

 

 赤紫色(ワインレッド)の女性―――サラによって集められた旧校舎。

 とある二人以外の生徒達はサラの言葉に戸惑いを見せる。なにせトールズ士官学院のクラスは平民出身であるⅢ~Ⅴ組と貴族出身であるⅠ~Ⅱ組Ⅶ組と全部でⅠ~Ⅴ組の5クラスあり、Ⅶ組というクラスなど入学案内書には書かれてなどいなかった。

 この場の全員を代表するかのように眼鏡をかけた少女―――エマ・エマ・ミルスティンはその疑問を口にして尋ねる。それに対してサラは、またもや予想だにしなかった言葉を発する。

 

 

「今年から新しいクラスができたのよ。()()()()()()()選ばれた君たち”特科クラス《Ⅶ組》が」

 

 元よりこのクラスの編成理由を知るツナヨシと銀髪の少女、そして()()()()()()帝国外からトールズ士官学院に入学した褐色の少年を除いた生徒達の表情は差異はあれ、戸惑いから驚きに変わる。

 

 

 エレボニア帝国は他国と違い創立から現在に至るまで"貴族制度"が存在しており、平民出身と貴族出身での身分の差は隔絶し、現在でも貴族達の大きな権力はだ健在だ。全員が全員というわけではないが、昔から大小な違いはあれ少なからず貴族と平民との溝がある。 

 

 ゆえにトールズでもクラス分けの際は貴族と平民の身分によってクラス分けがされている。だがサラの言葉に偽りがないのなら、この《Ⅶ組》は貴族出身と平民出身の生徒達が一堂会されたクラスであること。

 だから当然、それに納得しない者が現れるのは必然。

 

「―――冗談じゃない!! まさか貴族風情と一緒のクラスでやっていけと言うんですか!!」

 

 大声を張り上げたのは緑髪の眼鏡をかけた男子生徒―――マキアス・レーグニッツ。最初は下々の者を見下す貴族出身者かと思ったが、彼の纏う雰囲気、そして続けて発せられた貴族全員を敵にまわしかねない罵言に、彼が平民出身者であると同時になんと恐れ知らずな……と少々引いた表情をしてしまうツナヨシ。

 

(……あれ? "レーグニッツ"ってどこかで聞いたような―――)

 

「―――ふん。平民風情が、騒がしいな」

 

 そんなマキアスの発言を鼻で笑い、まるでお返しと言わんばかりに"平民風情"と口にした、見るからに育ちよさを感じさせる金髪の男子生徒。その男子の態度に当然反応するマキアスに対し、金髪の男子は堂々と己の名を告げる。

 

「―――ユーシス・アルバレア。貴族如きの名前など、覚えて貰わずとも構わんがな」

 

 『アルバレア』―――あまりにものビッグネームに、緑髪の男子は勿論多くの生徒達が驚愕する。

 貴族の中でも特に大きな権力を有する『四大名門』の一角――それも貴族の中でも最上位の公爵家の爵位を掲げる大貴族の中の大貴族だ。

 流石のマキアスも一瞬怯みはしたが、すぐに調子を取り戻し――

 

「だ、だからどうした!! 例え『四大名門』であろうと、僕は―――」

 

「―――はいはいそこまで。互いに言いたいこともあるだろうけど、とりあえず一旦そこまで。そろそろ”特別オリエンテーリング”を始めるわよー」

 

 マキアスの言葉を遮るようにサラの声が響き渡る。仮にも教官である彼女の一言で、不満そうに歯を食い縛りながらもマキアスは彼女の言う通りに踏み留まる。

 全員の視線が自分に集まったことを確認したサラは、ニコニコと笑いながら静かに後ろへと後退していく。

 

(あれ、なんか少し嫌な予感がするんですけど……)

 

 腹黒の家庭教師のああいう種の笑顔を何度も見てきたからなのか、()()()()に頼らずとも警戒心を強める。

 

 それは、決して間違いではなかった。

 

「それじゃ、行ってらっしゃい♪」

 

 校舎の壁に設置されていたスイッチを、何の躊躇いもなく押した。

 直後、生徒10人の足元で地響きが起こり、次の瞬間には床が一気に大きく傾いた。

 

「なぁっ!?」

 

「うわぁっ!!」 

 

 突然の事態に対処どころか状況判断もできなかったメンバーのほとんどは、なすすべなく階下へと落下していく。

 

「やっ―――」

 

 そんな中、銀髪の少女は慌てることなく右腕に仕込んでいたワイヤーを天井に括り付ける事でぶら下がり、難を逃れることができた。

  

「こらフィー、サボってないでアンタも付き合いなさい。オリエンテーリングにならないでしょうが」

 

 銀髪の少女―――フィーの経歴を知っているがため、彼女がこの程度で落ちないことは分かっていた。が、彼女も《Ⅶ組》の新入生である以上、他の生徒達と共にオリエンテーリングを受けてもらわないければならない。それが例え彼女にとって退屈な難易度であってもだ。

 

 フィー自身、面倒という気持ちはあるがサラに逆らえば更に面倒ごとが起きるのは目に見えているので、落下していった8()()に続こうと思っていたが、どうしてもサラに聞きたいことがあった。

 

「……というかサラ。()()()()()()()()()()()()()()()()と思うんだけど――」

 

「――ほいっと」

 

「あっ」

 

 フィーと呼ばれる少女の問いに答えることはなく、サラが投擲用のナイフを一振り投げることでワイヤーを断ち切ったことで、フィーは抵抗する暇もなく穴の中へ落下していく。

 

 

 

 

「――あのー、あの子落ちていったんですけど大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫よ。あの子は経歴が経歴だから、この程度はお茶の子さいさいよ。というか君も君よね。床が割れる直前で私がいる壇上まで飛躍するなんて、よくあの床が割れるってわかったわね」

 

「えーと……―――――勘、ですかね」

 

「それだけで『あぁそうなのねアハハハ!』と答えると思ってるの?」

  

 "ですよねー"と苦笑いを浮かべながら答える―――いつの間にか自分の隣に立っている少年をジト目で睨むも、彼の実力をそれなりに理解しているサラは瞬時に切り替え、改めてツナヨシに向き直る。

 

 

「――二週間ぶりねツナヨシ・サワダ君。改めまして入学おめでとう」

 

「――あ、ありがとうございます。今日からよろしくお願いします、サラさん」

 

 笑顔で祝いの言葉を贈るサラに、年相応に顔を赤くするツナヨシ。未だ女性に対して……それも見た目に関しては充分尊敬できる美人な年上のお姉さんに分類するサラに、耐性が今だないツナヨシが赤面してしまうのはある意味当然。

 二週間前に初めて会った時から変わらないツナヨシの姿に対し、"あら可愛い♡"と余裕な表情で返すサラである。

 

「それにしても、相変わらず君は普段と戦闘時のギャップが激しいわね。入学式前に派手に転んでいたし」

 

「げっ! 見てたんですか!? あぁ……できるだけこの学院では目立ちたくなかったのに……」

 

「いや、この《Ⅶ組》に入る以上嫌でも目立つことになるわよ。君の意思とは関係なく、色々の意味で」

 

「あぁーーー!! そうでしたぁーーー!!」 

 

 頭を抱えて悩むツナヨシに、"ホント抜けてるわねぇ君は…"と、ツナヨシの入学事情を知るサラは思わず呆れてしまう。

 傍から見れば、見た目のこともあって軍事学校に入学する気概がある者にはとても見えないだろう。しかしサラ自身も人のことは言えないが、この少年を見た目と表面上で判断し侮れば必ず後悔するだろう。

 とある事情でツナヨシと一戦手合わせし、ツナヨシと心情を話し合ったサラだからこそ分かる。彼は――

 

 

「――さて、君とは改めて色々と話しをしたいところけど、まずはオリエンテーリングよ。()()()()()()()()()()()()()()でもⅦ組の一員となる以上受けてもらうわわ」

 

「はぁ……了解しました」

 

「そんな見るからに"私戦いたくありません"みたいな表情しないでとっと行く! あ、なんだったらお姉さんが直接落としてあげてもいいわよ♡」

 

「いや結構です!! 穴に落ちるぐらい自分でできますから!!」

 

「ぶぅ…、つまんないわね。ま、君のことだから心配は全くないけど……彼らのこと、よろしくお願いね♪」

 

「うぅ……何とか頑張りまぁす」

 

 この言葉を最後に、ツナヨシは割れた床の穴へと落ちていく。まあ、訓練を受けていない新入生に配慮していたためか深さもそこまでなかったため、ツナヨシでも難なく地下へと無事着地した。が―――

 

 

―――パァン!!と直後に乾いた音が周囲に響き渡る。

 

 

 音が響いた先には、赤くなった頬を抑える黒髪の少年―――リィンと、向かい合いに右手を振りかぶった金髪の女子生徒。そしてその光景に目を白黒させる他の生徒達の姿が。

 

 

「なにこの状況ーーーーーーーー!!?」

 

 全く状況が呑み込めないこの光景に、ツッコミ気質が今だ抜けないツナヨシが叫んでしまうのは至極当然のことであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 改めてまして、ここまで本当に申し訳ありませんでした!!

 まあ理由は二つありまして、まずリアルで仕事で忙しかったことです。仕事が忙しいのは当然なんですけど、私が勤める会社は年末と3月末までの仕事の忙しさが半端ないので…(疲)

 二つ目は私、三月末をもって今勤めている関西の会社から九州の会社へと転職することになりました!! それで仕事の普段業務に加え引継ぎ作業や引っ越しの準備やらしないといけないのでマジでしんどいです……はい。

 以上の理由があって……そして空いた時間があったらゲームなどしてしまってここまで遅れました本当に申し訳ありません!! 


 さて、無事入学した綱吉であった―――え? 話が飛びすぎ? どうして綱吉がトールズに? というかこの日まで綱吉はどう過ごしたの!? と疑問をお持ちの方がいらっしゃると思いますが、それは追々明らかになっていきます。そして綱吉がゼムリアに迷い込んだ直後の話もやりますのでお楽しみに!!です。


 次回はオリエンテーリング編、楽しみに待っていて下さい!!

現状この小説の1話の文字数は8000~17000文字ありまして、更新速度を速めるため文字数を5000~6000に減らして話数を増やすのか、現状維持のままでいいのか――ご協力をお願いします。

  • 文字数5000~6000字で更新速度UP
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