参考資料:ちょっとずつ訴えかけるネコ
「ここに、一丁のアサルトライフルがあるわ!」
だん! とデータルームの扉を押し開け、開口一番。
「そう。私たちがHK416と呼ぶ代物ね」
いきなり何を言い出すというのだろうか、この戦術人形は。
指揮官は混乱した。今はただただ大量に押し寄せる戦闘記録をひたすらまとめ報告書へとしたためている真っ最中なのだ!
「けれど、今この状態のHK416は不完全よ」
「現状、このアサルトライフルのレゾンデートルは満たされておらず」
「ただの鉄とプラスチックの構成物でしかない」
つかつかと詰め寄る戦術人形――416――を前に指揮官は制止を試みる。
「ちょっと待て416? 見た通り今詰めてるから」
DAAAM!!!! ハードディスク陳列台が揺れる!
「わかるわよね?」
「アッ、ハイ」
一蹴!
「……ふー」
「もう少し……、説明が必要かしら?」
本当に何を言い出しているのだろうか、この元祖爆撃魔は。
しかし、あまりこの部屋で暴れてもらっては困る。大事なデータがここには詰まっているのだ。
怪訝な顔で指揮官は先を促した。
「つまり、銃弾の装填されていないライフルなんて意味がなくて」
「手入れのされていない銃は、中空に作られただけの棒きれよ」
「ちょっと何言ってるかわからない。まず何の話を」
DAAAM!!!! ハードディスク陳列台が揺れる!
「わかる、わよね?」
「アッ、ハイ」
この指揮官、弱い!
「では、このHK416が何故 不完全なのか」
「見ての通り、この銃に為されるべきことが何も為されてはいない」
そうしてこれみよがしに掲げられるHK416(実銃)。
最早掲げたそれを指揮官に押し付けるようにグイグイとHK416(人形)は続ける。
DAAAM!!!!! ハードディスク陳列台が揺れる!今なんで叩いた!
「……そうよね?」
「アッ、ハイ」
陳列台にここまでされる謂れはない!一体ハードディスクが何をしたっていうんだ!
司令部創設以来、ひいこら言いながら作戦報告書をまとめて幾星霜。
一生懸命時間と予算とバッテリーを工面して立派な設備を整えたというに今だ終わらぬ書類地獄。
煮立った頭とやたらとテンションテン↑上げな416の剣幕に最早指揮官の頭の頭痛の痛みが危険。
「そう、じゃあ何が足りないのか……」
だというのにこの416、まだ机を叩こうというのだ! 真っ赤な顔で! 真っ赤な顔で!
「わかるでしょう!?」
DAAAM!!!DAAAM!!!!DAAAM!!!!!
ブチッ
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
机の脇から絶望的な悲鳴が上がった! 誰だ! 後方幕寮のカリーナだ!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
一体どうした! トんだ! 何が? ハードディスクだ!
度重なる416の暴虐に大量のハードディスクが耐えられず、一斉にストライキを起こしたのだ!
「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」」
これには指揮官も大絶叫! バッテリーに換算して240ものトータル経験値がすべてパァだ!
「ちょっと、ちょっと! 叫んでないで聞きなさいよ!」
ちょっとやめないか! 今いろんな意味でそれどころじゃないのだ!
「……ねー、9。 今ものすごい変な416が通って行ったんだけど」
「さっきM16からお酒奪ってぐいっていっちゃったからね。どうする、45姉?」
「そっとしておきましょう。完璧なんだから後始末は自分でするでしょ」