GOD・A・LIVE 〜雷神と宇宙の欠片達〜   作:青空と自然

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第2話 精霊との遭遇

 人通りの多い街の通りを歩く。太陽が頂上には届かないくらいだから、まだ昼前なのだろう。

 

 ソーとステラはこの街の情報を得るため、2人であちこちを見回っていた。

 

「そう簡単には見つからないか……」

 

 街を歩きながらこの世界にいるという残りのインフィニティ・ストーン達を探しているが、それらしき姿は見られない。

 

「まあ、そんなに急いでも仕方がないよ。ここはゆっくりと時間をかけて探そう♪」

 

 隣を歩く青い髪の少女がのんきそうに言う。

 

「お前は早く戻る方法を探せ。そこは最優先だ」

「うぐっ、……分かってるって」

 

 明らかに目を逸らしたステラをソーは軽く睨みつける。

 

「まあ、ここでお前を責めてもどうにもならん。今はこの世界で過ごす方法を考えるぞ」

 

 元の世界に戻る方法が分からない以上、当分ここで過ごすことになる。どれくらいの期間になるか分からないため、衣食住を確保することを考えなければならないのだ。

 

「期間が分からないとなると、どこかに泊めてくださいと言うわけにもいかないんだよね……」

 

 この先の未来に不安しかなく、肩を落とすステラ。

 ふと道路を挟んだ反対側を見ると、もう学校が終わったのであろう生徒達がワイワイとファミリーレストランに入って行くところだった。

 

「いいなー、ああいうの。ねぇねぇ、ソーはさ、ああいうことしたことあるの?」

 

 ステラは生徒達を羨望の眼差しで見つめながら聞く。

 

「ファミレスというやつか? 何度か立ち寄ったことがある。自分1人で行ったことは無いがな」

 

 ソーは地球での思い出を振り返りながら答える。

 

「いいなー。私はそういう所、1回も行った事がないからさ、入ってみたいんだよね」

 

 ステラはどこか寂しそうに呟く。

 

「だが今はお金が無い。ここで生活する段取りが出来れば、あそこにも入れるだろう」

「本当⁉︎」

 

 その言葉を聞いた途端、彼女は顔を輝かせてソーの腕を取った。

 

「あー、多分な。確証は無いぞ」

「絶対に連れて行ってもらうからね」

「おい待て、いつから俺が連れて行くことになった?」

 

 ソーはステラに声を掛けるが、テンションMAXでスキップをして行ったステラには聞こえていなかった。

 

 それからもしばらく街を歩いていたのだが、ふと、前をスキップしていたステラが足を止めた。

 

「……何か来る」

「おい、どうした?」

 

 ステラに追いついたソーが彼女の横に並ぶ。

 

「何かが来るんだ……私、分かる」

 

 何かが来ると言っているステラ。しかし何も感じないソーには何が来ているのか分からない。

 

 だがその時。

 

 ウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──

 

 体の奥底にまで響くような大きなサイレンが街中に鳴り響いた。

 続いて、市民達に避難を呼び掛けるアナウンスが流れる。

 

「おいおい、これはどうなってるんだ?」

 

 サイレンが鳴ってから一斉に動き出した人達を見て、2人は一時呆然とする。

 そのうち視界に入る人の数も少なくなり、あれだけ沢山人がいた路上は先ほどまでの光景が嘘であるかのように静まり返っていた。

 

「ねえ、みんなどこに行ったの?」

「分からん。が、取り残されたのは俺達だけのようだな……」

 

 誰もいなくなった街を歩いている2人はそんな会話を交わす。街が静かすぎるせいか、2人の声がやけに大きく感じる。

 

 そうして街から人の気配がなくなって、しばらく経った頃だった。

 

 ズドォォォォォォォン──ー‼︎

 

 背後から何かが爆発したような轟音が響き渡った。

 2人は咄嗟に音がした方向を振り向くが、次の瞬間爆風が2人を襲う。

 

「キャッ‼︎」

「ぐおっ‼︎……掴まれ‼︎」

 

 ソーは爆風で飛ばされそうになったステラを掴み、建物の影に入る。

 しばらくすると爆風は収まり、街には一時の静寂が訪れる。

 

「大丈夫か?」

 

 ソーは爆風が収まったことを確認すると、呼吸を整えながらステラの様子を見る。

 

「なんとかね」

 

 ステラも飛ばされかけたものの、どうやら無事だったようだ。

 

「一体何だったんだ? どうする、見に行くか?」

「何が起こったのか興味もあるしね。見に行こう!」

 

 ステラはかなり冒険気分なのか、好奇心が抑えきれていない。

 2人は建物の影からそろりと外に出ると、再び誰もいなくなった道路を音がした方へと進む。

 そして、2つ目の交差点を曲がった時、その光景が目に入って来た。

 

「これは……」

「何があったんだ?」

 

 目に入って来たのは巨大な窪地。おそらく先程まで街だった所が何かによってごっそりと無くなっている。

 

 そして何よりソーの目に付いたのは、クレーターよりもその手前にいる2人の男女だった。

 見た所1人は普通の少年。先程ファミレスの前で見た人達と同じ服装をしていることから、彼も生徒なのだと考えられる。

 そして問題なのはもう1人。膝まであるだろう長い黒髪の少女なのだが、明らかに異様だ。

 

 まず、その格好。よく分からないドレスのようなものを纏っているが、そのドレスが不思議な光を放っている。

 そして手に持っている大剣。その大きさからして相当な重さであろうそれを、軽々と持ち上げているのだ。その切っ先は少年の方を向いている。

 

「ソー、あの人達は?」

 

 少年と少女の姿に気づいたステラがソーに尋ね、彼が答えようとした時だった。

 夜色の双眸がこちらを捉えた。

 

「……まずい、伏せろ‼︎」

「えっ? キャッ⁉︎」

 

 大剣を持った少女がそれを横薙ぎに一閃。

 ソーはステラの頭を掴み、無理矢理下に下げる。

 

 直後、その上を巨大な斬撃が通り過ぎ、建ち並ぶビルを真っ二つにしていった。

 

「くそっ、いきなり何しやがる!」

 

 ソーが悪態をつき、前を向いた瞬間、先程まで離れていたはずの少女の姿が目の前にあった。

 いつの間にか接近していた少女はさらに2人に向かって大剣を叩きつける。

 

「ぐっ……」

「えっ? ちょっと⁈イヤー⁈」

 

 ソーは再びステラを掴むと横に放り投げ、自分も大剣を躱す。が、次に放たれた少女の蹴りを腹にくらい、建物を貫通して飛んでいく。

 

「ソー‼︎くっ、そこの君、行くよ‼︎」

「えっ? ちょっと⁈」

 

 その間に少女から距離を取ったステラはワームホールを作り、その場にいた少年を穴に押し込むと自分もそこに入る。

 出口はソーが飛ばされた方向。

 

 彼は隣の通りに転がっていた。

 ステラはそれを発見すると彼の元へと駆け寄る。

 

「大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。だが、まだ来るぞ」

 

 ソーは立ち上がり、自分が通って来た建物の穴を見る。

 

「ま、待ってくれ、何が起こってるんだ?」

「さあな、俺も分からん」

 

 先程大剣の少女といた少年が慌てているが、ソーはそちらには目もくれず、じっと穴の方向を見つめるばかりだ。

 

「……他にもいるな」

 

 ソーは大剣の少女とは別にまだ気配があることを確認する。

 その証拠に、建物の向こう側では何かがぶつかり合う音や、爆発音が聞こえる。

 

「やられっぱなしというのは気が収まらん。きっちり仕返ししてやる」

 

 ソーは爆発音が近づいてくるのを聞くと腕を構え、武器を呼び寄せる。

 

 戦いの音は徐々に近づき、遂に隣の建物を突き破って何かが現れた。

 

 それは少女だった。しかし、よく分からない巨大な機械をいくつも身につけている。

 短い銀髪の彼女もまた、あの大剣の少女にやられたのだろう。自分が飛んで来た穴の方を睨みつけている。

 

 ソーは飛んで来た機械の少女を横目に、穴の空いた建物を通って最初にいた通りへと出る。

 そこにはやはり、先程の大剣の少女がいた。

 少女はソーの姿を見つけるや否や襲いかかってくる。

 

 そして少女が大剣を大きく振りかざすと同時に、ソーの手にストームブレイカーが収まった。

 

 激突──。

 

 大剣の生み出す鋭い一撃と、青白い閃光を纏ったストームブレイカーが衝突した。

 

 周囲の建物にヒビが入り、脆くなっていた建物は崩れ落ちていく。

 

「貴様……」

 

 大剣の少女がソーを睨みつける。

 

「貴様もそうやって、私を殺しに来るのか?」

「何を言っている。先に殺しに来たのはお前だろう……ぬぅあっ‼︎」

 

 ソーは交差していた剣を無理矢理押し返し、ストームブレイカーを少女に叩きつける。

 

 少女は大剣でそれを受け止めるが勢いを殺しきれず、そのまま反対側の建物へと突っ込んでいった。

 ソーは追撃を仕掛けようとするが。

 

「……おっと、何やら大勢いるな」

 

 こちらに向かって来る集団が目に入った。

 いつもなら集団だろうと1人で蹴散らそうとする彼だが、今は後ろに置いてきた2人がいる。

 ソーはそこから離れるように空へと飛び立った。

 

 

 

 

 

「五河、士道?」

「鳶一折紙……なんでこんな所に、……なんだその格好」

 

 ソーと大剣の少女が激闘を繰り広げる中、機械を纏った少女と制服姿の少年が出会っていた。

 

「あなたがなぜここにい『折紙! 一度集合するわよ!』 ……了解」

 

 機械を纏った少女、鳶一折紙は五河士道がなぜここにいるのかを知りたそうにしていたが、何か指令があったのだろう。晴れない表情をしたまま素早くこの場を離れて行った。

 

「鳶一はなんでここに……それにあの子は一体……」

 

 士道が呆然としていると、上空からソーが舞い降りる。

 

「おい、無事だったか?」

「あ、戻って来たんだ。あの怖い子は?」

「一撃ぶちかましてきた。今はよく分からん部隊と戦っている」

 

 戻って来たソーにステラが駆け寄り、現状の確認をする。

 

「あの少年は?」

 

 ソーが士道の方を指差して問う。

 

「よく分からない。でも、さっきの機械だらけの子と知り合いだったみたいだし。なんでここにいたのかな……」

 

 士道がなぜあんな所にいたのかなど、この2人は知る由もない。本当は妹が避難せずに外にいると思ったため、探しに来ただけなのだが。

 

「おいお前」

「えっ? 俺のことか?」

 

 ソーは初めに大剣の少女と共にいた士道に声を掛ける。

 

「他に誰がいる。お前はあの大剣の女の関係者か?」

「大剣の女? ……ああ、あの子のことか。悪いが、俺は何も知らない」

「そうか……」

「なあ、あんた達は一体何なんだ? さっき見た感じ、すごく強そうだったけど」

 

 今度は士道がソーに問いかける。

 

「俺はただの旅人だ。探し物をしている」

「そ、そうか。なあ、一体何が起こって……」

 

 士道がソーにそう問い掛けようとした時だった。

 3人の立っていた付近の建物が爆発した。

 

「ぐわっ‼︎」

「うっ……」

「うわぁぁ──‼︎」

 

 3人纏めて吹き飛ばされる。

 恐らくはさっきの機械の部隊の攻撃だろう。どうやら建物の反対側に大剣の少女がいるようだ。

 

 ソーは体勢を立て直すと、周囲の状況を確認。

 ステラは地面に這いつくばっており、士道は転がってのびている。

 

「ちっ、ステラ! 一旦離れるぞ!」

「分かった!」

 

 ソーは士道を回収、小脇に抱えて走り出した。その後ろをステラが付いて来る。このまま遠くへと離れようと考えたのだ。

 

 だがその時、体が不思議な浮遊感に包まれた。

 

「なっ! 何だこれは⁉︎」

「これはっ、……空間転移⁉︎」

 

 士道を抱えたソーとステラの3人は、気持ちの悪い浮遊感と共に地上から姿を消した。

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