「貴方達リュウさんの知り合いだったんですね!」
「…ええ…まぁ、知り合いの知り合いといか…」
「あっ!申し遅れました私の名前はウィズ、このアクセルの街で魔法道具店をやらせて頂いているものです」
「ちょっと、こいつリッチーじゃない!」
いつもだったらそう言った後、浄化魔法を放つこの駄女神も流石におとなしくしている。
それもそのはずだ、何故かというとこのウィズという女性の後ろで2m30はあるであろう巨体がこちらを睨みつけているのだから。
そしてこのデカイ人はアッシュさんと同じ異世界からきた神様らしく向こうでは"無名の王"と呼ばれていたらしい。
「なぁ、めぐみんリッチーって何なんだ?」
「リッチーというのは別名"ノーライフキング"とも呼ばれている凄まじい魔力を持ったアンデットのことです」
それ間違いなく初心者が相手したら駄目なやつだろ。
「えっ!何でバレて……えーと、あの!…私この街の人達に危害を加えようとか、そういうのは無いんです…ですから、見逃してく貰えないかな…と。」
「もう既にあんたみたいなアンデットがこの街にいるのよ!これ以上増えたら私の沽券に関わるわ!」
「おいアクア、お前あの人の後ろにいるデカイのが見えてねーのかよ、お前のあるかないかもわかんねぇ沽券の為に俺達を巻き込むな!」
「はぁー?!貴方この街がアンデットだらけになってもいいっていうの!」
「別に、襲いかかって来るわけでもないならそれでもいいぞ。」
正直な話、目の前にいるウィズさん含めこの世界に来てから出会ったことのあるアンデットは全員アクアよりよっぽど話が通じるし、全員常識人だしむしろ何故アンデットは駄目なのだろうか?
「貴方それでも私のチームメンバーなの!!」
「うっせーー!!こーいうときばっかりやる気出しやがってこの駄女神が!いーか?この際はっきり言ってやる。アンデットなんかよりお前の方がよっぽど人に迷惑かけてるわ!!」
「……うっ…ヒっグ…ゔぇーーーーーん!!!…がズマのバガーーー!!」
「あ…あの…、流石にそれは言い過ぎではないでしょうか?」オロオロ
さっきまで消そうとしていたリッチーに守られる女神か、……あんなのが俺の転生特典か…やばい、無性に泣きたい。
「えっ?あっ…はい、えっと…リュウさんが話したいことがあるそうです。」
そう言った後、今までウィズの後ろにいたリュウ(?)さんが前に出てくる。
そして腰に差してあった長さが50センチ程ある黒板の様なものに文字を書いていく。
『名前リュウよろしく。』
下手くそな字でそのように書かれていた黒板を俺たちに見せてくる。
「…えーと、俺たちに何のようでしょうか?」
『お前一緒にいた男場所教えろ。』
「こっちよ!」
いつの間に復活していたアクアが嬉々としてアッシュさんの場所を教えようとしている。
「ちょっと待て!お前アッシュさんのこと売る気か?」
「人聞きが悪いわねカズマさん?私はただ道案内するだけよ」
「待って下さい、一時的とはいえ仲間だった人を裏切るのは紅魔族的にもアウトです!」
「ああ、私も騎士として見逃すことはできない!」
「そう、じゃあ後ろの人の説得はお願いね。」
「「「………」」」
「……」ジー
「どうぞこちらです!」
すまないアッシュさん、自分の命には変えられないんだ。それにあの人死んだと思ってもいつの間にか戻ってるし今回も大丈夫だろ。
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「この中に貴方の探している人がいるはずです」
俺達は今アッシュさんの家の前に来ている。
「あの…すいません、カズマさんと言いましたっけ?…その貴方の知り合いの方とリュウさんの関係って何なんですか?」
「……俺もあまり詳しくは知らないんですけど、そのアッシュっていうんですが、その…リュウさんの父親と弟と姉を殺したそうで」
「ということは、リュウさん復讐の為にここに来たんですか!」
「………おそらく」
「何で止めなかったんですか!?」
「いや、だって怖いし」
あんな強そうな人にわざわざ喧嘩をふっかけるような真似はしたくないし。
「止めて下さいリュウさん、復讐は何も産みません!もしかしたら相手にも何か理由があるかもしれないし、一度話し合うべきです!」
ウィズが止めようとするのを無視してリュウさんが扉に手をかける。
「……………ああ、早かった……ってはぁぁーー!!??何でここに無目の王が!?」
「ププー!マジでウケるんですけど、あんなに偉そうにしてた癖にあんなに慌てるなんてマジで滑稽なんですけどー!!」
「アクア、まさかお前の差し金か!?」
「はっ、今更気づいたの?でももう遅いわ、やっちゃえバー●ーカー!!」
やめろよマジで!いや、確かにそう見えないこともないけど!!
「すいませんリュウさん!でも、貴方に人を殺して欲しくないんです!『カースドクリスタル…』」
ウィズがリュウを止めるため魔法を唱え始める
てかもうこれどっちが女神かわかんねぇな
「カズマ!凄い魔力があのリッチーに集まっていきますよ!私も対抗するために爆裂魔法を用意しておいた方がいいですよね!」
「いいか、もし今爆裂魔法を撃ってみろ?そしたら俺は容赦なく、動けないお前をカエルの巣に叩き込んでやるからな」
「ふふふ、流石のカズマでもそんなことは…………しませんよね?」
めぐみんが言葉を言い終わるのと同時になんとリュウさんが腰を曲げ、アッシュさんに対して頭を下げた
「…プリズン』「「「えっ?」」」」
最後に気が抜けたからだろうかウィズが放った魔法がリュウさんに当たらず、そして何故かアッシュさんの方に向かっていく。
「ぐわぁァァァァーー」
何度目かわからない、アッシュさんの断末魔が響き渡った
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「あの…リュウさんは貴方に初めてあったとき攻撃したことを誤りたかったそうです」
「そうか、許してやるから今すぐ周りの氷をどうにかしてくれないか?もう体の感覚が全くないんだが」
「何でリュウさんは出会ったばかりのアッシュさんを攻撃したんですか?」
「おい、そこの爆裂娘。話を逸らすな早く私を助けろ」
「…………」
「…はい、えーとそこのアッシュさんの匂いがリュウさんの父親にそっくりでつい間違えてしまったそうです」
「ウィズだったか?…その、何であんたは無名の王が喋ってないのに会話が通じてんだ?……………待て今なんて言った?」
「はい?」
「今なんて言ったと言ったんだ!」
「えっと、貴方を匂いで間違えてしまったと。」
「誰と?」
「リュウさんの父親とです。」
「ふむ、…………………って、はァァァァァーーー!!??」
「ちょっといきなり大きな声出さないでよ!」
「クソが!おい、今すぐ氷を剥がせ!ちょっと風呂入りに行ってくる!」
こんなに取り乱したアッシュを今まで見たことがない。あまりの変わりようにみんなちょっと引いている。
「かぼたん聞いてもいいか?」
「はい、何でしょう?」
「リュウさんの父親とアッシュさんの関係って………」
「知りません。」
即答かよ
「ですがアッシュ様からは『この世で最も恨んでる敵』と聞いたことがあります。」
改めてアッシュの方を見る。
そこには狂ったように叫ぶ、絵に書いたようなアンデットがそこにはいた。
「出せぇぇぇーー!!体を洗わせろぉぉぉーー!!!」
マジで何があったんだよ
「わかりました、私が貴方を助けて上げましょう!『我が禁じられた力を今解き放つ……「何やってんだこのバカが!」』イタっ!」
「次やったら殴るどころじゃすまないからな!」
「私に死ねと言うんですか!!」
「なんでそうなるんだよ!」
頭が痛くなってきた
「待ってみんな、落ち着きましょう。」
アクアがここにいる全員の視線を集める
「私が思うに、とりあえずこのアンデットのことは置いといて帰るべきだと思うの。」
その言葉にアッシュがギョッとした表情を浮かべる
「おいマジで言ってるのか?」
「よく考えてみんな、ここにいる私達は大小はあっても今回の件で全員アッシュに恨まれてるわよね」
確かにそうだ、ウィズは今回の氷、俺達は三百万エリスの借金で恨みを買っている
「今助けたら許してやるから…おい、聞いてるか?」
「それに今のこいつは冷静じゃないし、助け出した瞬間襲いかかって来るに違いないわ!だから暫くこの氷の中で頭を冷やしてもらおうってわけよ!」
「…見た感じ冷静なような……「よし帰るか!」…え!?」
「待てカズマ!ちょっ、おい!」
「じゃあウィズ、また今度な」
「えっ?…あ…はい…本当にいいんですか?」
「あんた…もし、こいつを助けたりなんかしてみなさいよ浄化しちゃうからね!」
「ヒィッ…あ、あのもしよかったら今度店に来てくださいね…じゃあ、…さ…さようなら」
ウィズはそう言って小走りでこの場から離れていった
「待ってくれぇぇぇぇぇぇ!っ、あっ!そうだったおい、かぼたん今すぐ……「私は暫く灰の方とは距離を取ろうと思います」…はい?」
「えっ?おいどういうことだ、かぼたん!」
「この前私が死んだとき、灰の方はすぐに気づいてくれなかったそうですね。」
「あっ…」
「それに今回だって最初に助けを求めたのは私ではなくあのウィズとか言う人に助けを求めてたじゃないですか?」
「…いや、それは忘れてたというか…。」
「そのことを言ってるんです。」
「あっ…はい。」
「確かに私は貴方にお仕えすることができて嬉しく思っています。ですが、最近あまりにも私のことをないがしろに考えてませんか?」
「すまなかった。」
「謝罪をしていただきたいわけではないです、ただ私のことを考えて欲しいので距離を置かせていただきます」
「わかった…」
俺達は何を見せられてるのだろうか?
夫婦喧嘩とか元の世界で散々見せられたので正直勘弁してほしい
「それでは少しの間ですが灰の方さようなら。」
「ああ」
そう言うとかぼたんは俺達の方を向き
「というわけであなた方の家に暫く泊めて貰ってもよろしいでしょうか?」
「「「「「はっ?」」」」」
疲れた