垓斗と士道は瓦礫の上に立つ少女に近づいて行った。見たところ自分たちと同年代に見える。服装も見慣れない不思議なドレスの様なものを身に纏っていた。その服装のせいか、何処か近寄りがたいところがあった。
「よぉ、プリンセス。また会ったな」
「なんだ垓斗の知り合い…「伏せろ!」
突然垓斗に頭を押されしゃがみ込む。
ズドォォォォォォォォンーーー
突然の爆音。立ち上がり振り返ると、建物や標識が同じ高さで綺麗に切りそろえられていた。
「…え?」
何が起きたのかわからない。文字通り建物が消えた。振り返り少女を見る。その右手には背丈と同じくらいある剣の様なものを持っていた。
「ふぅ…危ない危ない。挨拶しただけじゃないかプリンセス。いきなり斬りつけるのはどうかと思うぞ?」
「あの子が…やったのか?」
驚きを隠せない士道は垓斗に確認した。
「あぁ。危うく死ぬところだったな」
ははは、と笑い答える垓斗。
「笑い事じゃねぇよ!どうなってるんだよ!!」
「後で説明する。今は彼女だ」
士道の問いかけには答えず、少女に向き直る。
「なぁプリンセス、少し話をしないか?」
「話?そんなもの無用だ」
少女は刃先を垓斗に向ける。その表情は何処か悲しげに見えた。
「ちょっ…待ってくれ!」
士道の突然の声に垓斗だけでなく、少女も目を向けてくる。
「……なんだ?」
「な、何しようとしてるんだよ!!」
「何?早めに殺しておこうと」
「………ッ!?」
さも当然のごとく言った少女の発言に言葉が詰まる。が、なんとか話を続ける。
「な、なんでだよ!」
「なんで?…だってお前たちも私を殺しに来たんだろう?」
「……は?」
予想外の答えに士道は口をポカンと開けた。
「そ、そんなわ「そんなわけねぇって言ってるだろ」……え?」
士道の言葉を垓斗が遮る。先程から剣を向けられているというのに、動揺するどころか普段と変わらず、いや普段以上に落ち着いている。
「俺たちは君と話をしに来たんだ」
「……またそれか」
少女は困惑した様子で垓斗をみつめる。が、すぐにその視線を上空へと移した。
士道もつられるようや目を上に向ける。
「はぁ!?」
士道達の目線の先には、奇妙な格好をした人間が数名飛んでいた。その手には武器のようなものを持っており、こちらへ向けてミサイルらしきものを発射してきた。
「う、うわぁぁぁぁ!!」
士道は思わず叫び声を上げる。
*
「俺たちは君と話をしに来たんだ」
士道のおかげで会話をする機会が持てた。貴重な時間を無駄にするわけにはいかない。早くしないとーー
上空に人の気配を感じ、舌打ちする。
「ASTか…!」
ASTはすぐにこちらに向けてミサイルを発射した。
「う、うわぁぁぁぁ!!」
「くそっ!こっちには一般人がいるんだぞ…!」
右手の袖をまくり、腕を出す。
「あのぐらいなら大丈夫だよな…?」
集中力を高め、着弾に備えるーーーが、その手前でミサイルは停止していた。
「……こんなものは無駄と、何故学習しない」
少女が剣を握っていない手を上にやり、グッと握るとミサイルが圧縮されるようにへしゃげ、爆発した。どうやら俺が出るまでもないみたいだ。
ASTも一瞬狼狽したようだったが、すぐに攻撃を再開する。夥しい数のミサイルや銃弾が襲いかかる。
「ふん」
少女は剣を一振りし、それらを全て弾き落とす。
ASTもこれ以上の砲撃は無駄と判断したのか、武器を切り替え、ビーム状の刃を持ち、こちらへ突進してくる。
一人のAST隊員と少女の剣が交わる。
瞬間、凄まじい衝撃波が発せられた。思わず顔を腕で覆う。
「えっ!?うわぁぁぁぁ!!」
衝撃と風圧に士道は転がされ、塀にぶつかる。
「し、士道!!」
呼びかけるが返事がない。気絶してしまったようだ。
「くっ…!」
鍔迫り合いをする少女達に目を向ける。
(ASTも来ちまったし話をする余裕もなさそうだ。肝心の士道もあれじゃ引くしかないか…)
ダンッと地面を蹴り、士道のもとへと駆け寄る。
すぐに士道を背中に担ぐと、右耳に手を当てる。
「一旦引く!回収頼む!」
『了解した』
俺は急いで戦場を離れた。
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