旅のとき、そこでしか食べれないものが食べたくなって   作:鳥頭堂正太郎

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新宿は懐かしき青春の思い出の街です


懐かしき街、新宿

二年ほど東京の日野の豊田という駅の辺りのアパートで暮らした事がある。

と言っても、アパートには、ほとんど寝りに帰るようなもので、行動の中心となっていた街は新宿だった。

当時、私は新宿三丁目の駅の近くにあるBYGSビルの地下にあった居酒屋でバイトしていて、比較的小さな店舗であった為か、働いていた人の数も店長も含めて若く、6人くらいの少人数でありながら、女の子が半分をしめるほどで、みんな、仲が良くて、和気あいあいとしていた。

そういえばある時、こんなことがあった。

仕事が終わって、いつものように皆が帰ろうと駅へ向かっていた時だ。

駅へ向かう途中の交差点で信号待ちをしているらしい若いカップルを見かけた。

だが、なにやらおかしい。

そう思ってそしらぬふりをしながら、よくよく見てみると、一人は気の強そうな感じの男というより年若い若者で、もう一人はなよっとしておとなしげな、だが、こちらもまた同じ年の頃と思われる若者であった。

なんと、どちらも男のカップルだったのである。

おもえば、この辺りはゲイの街である新宿二丁目に近いのだから、ゲイのカップルがいたとしても不思議はなかったのだ。

だが、彼らの次の行動を見て、私はとても衝撃を受けてしまった。

彼らはその場でもキスを始めたのだ。

交差点を渡り終えて、しばらく歩き、ようやくに彼らに声が聞こえなくなったであろう頃、一緒に帰っていた、女の子が興奮した声で、今の男同士だったよねぇ!

その言葉に別の女の子が、

キスしてたよね、ビックリした。

と言って返した。

数えきれないくらいここを通ってるけど、初めて見た!

と、二人はどこか嬉しそうに騒ぎはじめた。

彼らが腹が出て、禿げあがった中年のおっさん同士であったならばともかく、まだ年の若い見栄えのいい若者であったから、不快感を感じにくかったのかもしれない。

実際、私も驚きこそすれ、不快感は感じなかったのだから。

だが、こんな事はその時が最初で最後であった。

だが、店はしばらくして閉店してしまい、皆、散り散りバラバラになってしまい、それ以降の行方を私は誰一人として知らず、店の跡地も自転車屋になっていた。

跡を偲ばせたのは、店用の出入り口のガラス戸と、そのすぐとなりにある厨房へのドアだけであった。

皆、元気に暮らしていてくれればよいと思うが、今となっては、どこかですれ違っても、お互いに気がつきもしまい。

居酒屋でバイトしていたから、賄いで晩飯を食わせてもらっていたから、あまり食べあるいたりはしていなかったけれども、花園万頭、カレーのモンスナック、タカノフルーツパーラーに行っている。

だが、私が新宿というと思い出すのが、ラーメンの博多天神である。

黄色い看板で奥に細長い店で、入り口などへビニールシートがかけられただけの吹きさらしの店内で、一杯500円で替え玉が1回無料というラーメン屋で、なんと、新宿には、西口店、東口店、東口駅前店、一番街通り店と四店もあるのだ。

私の覚えでは、かつてはもっと店舗があったはずなのだが、閉店してしまった)

乳白色の豚骨スープとストレートの細麺に、具はネギとキクラゲ、海苔、チャーシューというもの。

 

食べてみると、すばらしくうまい!という訳ではない。

というのも、カウンター上には無料のトッピングとして白胡麻、紅生姜、高菜、おろしニンニク、スープのタレが置かれている。

これらトッピングを各自の好みで添加して、自分好みのラーメンを作って欲しいとの事で。

わざと味を薄めに作ってあるのだという。

だから、私はトッピングをふんだんに入れ込み、紅生姜の色が溶けて、スープの色が薄紅色になったようなのを、まずは、具もトッピングも食べず、スープも飲まずに、麺だけをすすり食べてしまう。

それから、注文した替え玉の麺を丼のスープの中へ放り込み、今度は麺と一緒に具なども食べ、スープまで飲み干してしまう。

 

私が通っていた頃の博多天神は替え玉の無料サービス券があって、これを精算時に渡すと替え玉が一杯無料になった。

が、精算が終わる時に、サービス券をまたくれるから、結局、替え玉は無料だったが、今はサービス券無しでも替え玉一杯は無料であるらしい。

そのような次第だから、ここのラーメンうまいんだよ!と、薦められるラーメンではないが、新宿の街中でありながら、五百円で食べれて、替え玉までつくラーメンとしては充分であったと思う。

 

そういえば、思い返してみると、初めて博多天神でラーメンを食べたのは、先のバイト仲間や店長たちと忘年会だかで、しこたま飲んで、べろんべろんに酔っぱらった状態で、誰かがラーメン食べよー!と言い出した時だった

そのべろんべろんに酔っぱらって食べた博多天神のラーメンが不思議とすばらしくうまかった。

そんな訳だから、私は新宿に来ると懐かしくなって、博多天神のラーメンを食べるのかもしれない。

だが、そのべろんべろんに酔っぱらった日の翌朝。

アパートで目覚めて、うんっと伸びをした拍子に、腰でビシッと音がして、そのまま動けなくなった。

なんとか、近くの整体へ行って、治療してもらい、しばらく通って、バイトにも行けるようになったが、整体の先生が言うには、飲んだ後にはなりやすくなる事もある。との事で。

それ以降恐ろしくなってしまって、ほとんど酒を飲まなくなってしまった。

だから、それからずっと私は、べろんべろんに飲んでから食べる博多天神のラーメンのうまさを体験していない。

だが、もしかしたら、また、新宿をほっつき歩いたり、飲んだりするようになるかもしれない。

というのも、知人の美人コスプレイヤーのGさんが歌舞伎町(の外れの方)にカフェ&バーをはじめたからだ。

通いつめるのは無理としても、たまに顔を出す事は出来ようから。




次は京都にしようかと思いましたが、横須賀にするかもしれません。
夏コミの原稿用に。
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