僕のヒーローアカデミア:BEAST ON!   作:u160.k@カプ厨

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`19,6,12:脱字の修正を行いました。7w76kxZ/Nc様ありがとうございます!


修行其の十:ヒヤヒヤ!ゲート前の戦い!

 出久達が水難ゾーンのヴィランを一掃する少し前、USJ内各所に飛ばされた生徒たちは、そこに待ち構えるヴィランと戦闘状態になっていた。

 

 火災ゾーンでは尾白が自慢の尾と拳法を駆使したヒット&アウェイ戦法で、倒壊ゾーンでは爆豪と切島が、土砂災害ゾーンでは轟が凍結で、そして山岳ゾーンでは上鳴が耳郎と八百万のフォローを受けつつ自慢の電撃でヴィランを撃破していた。

 

 一方、ゲート付近では、バエとミストヴィランこと黒霧が接戦を繰り広げていた。

 

「このっ!……ちょこまかと鬱陶しい蝿ですね!!」

「お褒めに預り光栄ですが、悪人に褒められても嬉しくありません、よ!」

「褒めてなんかいません!」

 

 黒霧によってUSJ内の至る所に飛ばされた生徒達。だが、全員がヴィラン達が待ち構える何処かへ送られたワケではなく、数名の生徒はどうにか飛ばされずにその場に留まることが出来ていた。

 その生徒達を守るべく、勇猛果敢に黒霧に挑んだ13号ではあったが、己の個性である『ブラックホール』による吸引攻撃を敵に利用され、満身創痍状態にされてしまっていた。

 

 次の獲物を、と生徒達に向き直った黒霧の前に立ちはだかったのがバエであった。

 バエはその体躯の小ささと飛行能力を持って撹乱しつつ、獣拳で黒霧に挑んでいた。一方で黒霧はその戦術によって苦戦を強いられていた。

 

 黒霧の一撃を回避したバエはその隙を逃すまい、と渾身の激技を放つ!

 

「隙ありです!激技!声声砲(セイセイホウ)!!」

 

 激気で増幅し、指向性の砲弾と化したバエの大音声。その破壊力はヴィラン側の策略によって閉ざされた鉄製の門を粉砕していた。

 

「やったぜ!霧野郎を倒した!」

「スゲーぞ、バエさん!」

「……そうなら良いんですけどねぇ……」

 

 歓声を上げる砂藤や瀬呂、安堵の表情を浮かべた他の生徒達と異なり、バエは未だに険しい雰囲気のまま、構えを解こうとしない。それが正解であるかのように黒い気体が再度人の形を取る。

 

「やれやれ、危ない所でした」

「マジかよ……」

「クソ!」

 

 キズ一つ負っていない黒霧の姿に瀬呂が慄き、砂藤は思わず悪態をつく。

 

「直前に己の個性を使い、転移によって回避に成功していた。と言った所ですか」

「ご明察。物理攻撃が効かない私を『声』で攻撃するとは……ですが残念でしたね」

「いえいえ、残念どころか狙い通りです」

「何ですと?」

 

 勝ち誇るような態度だった黒霧。だが、バエの言葉にその余裕が霧散する。

 

「皆さん!今です!」

「っ!?」

 

 その時、黒霧になにかが覆い被さり、その横を銀色の閃光が走り抜けた。

 

 ----------。

 

 バエと黒霧が戦っている間、飛ばされずにゲート前に残った生徒である麗日、芦戸、瀬呂、砂藤、障子、そして飯田はただ傍観していた訳ではない。

 どうにか脱出し、現状を校舎まで知らせ、救援を呼ぶ策を考えていた。そんな中、満身創痍の13号がある指示を出していた。

 

「飯田君……個性を使用し学校まで走って、襲撃にあったことを伝えてください……!」

「そんな……皆を置いて一人で行くなんて、委員長として風上にも置けません!」

 

 ゲート前に残ったの生徒の中で、適役は『エンジン』の個性を持つ飯田於いて他にいない。しかし真面目故に、そしてヒーロー一家の一員であるが故に、仲間を見捨てて一人脱出しようとすることなど飯田にはできなかった。

 

「みんなを、仲間を救う為に個性を使ってください!」

「! ……わかりました!」

 

 しかし、それを言っていられる程の余裕はない事も飯田は理解していた。故に13号の説得に同意し、自分が誰よりも誇れる個性(チカラ)を全力を掛けることを決意。

 

「隙ありです!激技!声声砲!!」

 

 バエが放った技が硬く閉ざされていた扉を破壊する。

 

「飯田、俺達がヤツを全力で止めてやる!」

「その隙に全力で走れ!」

 

 砂藤、瀬呂の目が「飯田(オマエ)の道は俺達が作ってやる」と語っている。

 

「……分かった!」

「頼むぞ、委員長!」

 

 背中を押してくれる障子に「任せろ」と言う返答の代わりに飯田は個性(エンジン)を発動。力強く地を蹴り、銀色の閃光となって駆け出した。

 

 ----------。

 

「……いい加減に離しなさい!」

「ぬおっ!?」

「ぐぬっ!?」

「くっ!」

 

 黒霧は己を捕えていた砂藤、瀬呂、障子を振り払う。が、すでに飯田の姿はなく、脱出に成功させてしまっていた。

 

「最初から(アレ)が狙いだったのかよ!」

「えぇ、いつバレるかとヒヤヒヤモノでしたけどね」

 

 作戦成功にやや興奮気味の瀬呂。対して作戦を立てていた自分たちから少し離れた所で戦っていたハズのバエがなぜ飯田の脱出に協力するような行動が取れたのか、それが障子には疑問だった。

 

「俺たちの行動に気付いていたのか?」

「ええ、この身体は意外と優秀でしてね。視野も広いですし、聴力も中々のモノなんですよ」

 

 現在のバエの姿はかつて、不完全ながらも使用した禁断の激技(ワザ)による呪いのような副作用によるモノだ。しかし、今回は逆にそれが功を奏した結果に繋がった。

 

「な、なぁ、アイツ……なんかヤバくねぇか?」

「えぇ、それはそうでしょう。私たちに完全にしてやられた訳ですからね……皆さん、気をつけてください。あの手の性格(タイプ)は……」

 

 砂藤が指摘する通り、黒霧は黙したままではあるが、その身体はブルブルと小刻みに震えている。

 

「キレるとヤバいです」

「この……虫けら共がァ!」

「くうっ!?」

 

 失態を犯し、その一因となったバエ達に対する怒りが頂点に達した黒霧はそれまでの余裕を失し、個性の霧で瀬呂たちを吹き飛ばすと、バエを捕縛。鬱憤や怒りを吐き出すかのように殴りつけた。

 

「調子に!」

 

 それだけに飽き足らず、地面に容赦なく叩き付け、

 

「乗るなぁ!!」

 

 一切の加減なく、蹴り飛ばした。

 

「バエさん!」

「麗日!ダメ!」

「でも!」

 

 平均的な体躯の黒霧の攻撃でさえ、20センチ程の身体のバエにとっては巨人のそれと同等。容赦ない猛攻に倒れるバエに駆け寄ろうとする麗日を芦戸が止める。

 

「……大丈夫ですよ、麗日さん。……この程度で倒れるほどヤワな鍛え方してませんよ」

 

 むせながらも、バエは判りづらい表情の代わりにおどけたような声音で話す。

 

「フーッ……わかりませんね。貴様はヒーローでもなければ、ここの職員でもない。そんな貴様が態々殺されるために動くとは」

 

 荒くなった呼吸を整えながら、黒霧は冷静さを取り戻す。そして、一撃一撃が致命傷に至るそれを受けてなお起き上がるバエが理解できず、疑問が口をついて出てしまっていた。

 

「やはり……ヒーローの巣窟に攻め込むだけあって……随分おバカさんですねぇ」

「何?」

「その質問、『昼間はなぜ明るいのか』と同じレベルですよ?」

 

 そしてバエの脳裏に浮かぶのは敵対しながらも何だかんだで行動を共にすることが多く、悪の拳を持ちながらも正々堂々と戦うことを良しとして、最後には愛する者の為に散っていった憎たらしい小娘。

 

 こんな所で、子供に害を成そうとする誇りなき『悪』に屈することなど、彼女は勿論。バエ自身が許せることではない。

 

「そもそも私は正義を掲げる拳法使いの端くれです……悪意を持つ者から人々を守ることこそ道理です」

 

 故にバエは屈しない。

 

「それに、こう見えて結構長生きしてるいいトシした大人ですし、貴方のように悪戯に力を使うしかない未熟者を指導してあげることも使命ってヤツなんです」

 

 起き上がりながら、()()で眼鏡のブリッジを押し上げて位置を直す。

 

「ついでに言えば一度死んで生き返ってる身。子供と言う未来の宝を守るためなら……もう一度土に返ることくらいワケないんですよ」

 

 立ち上がるその姿にその場の誰もが、精悍な顔立ちをした拳法着姿の青年を幻視した。

 

「冥土への置き土産に激獣声蝿(フライ)拳の真髄、とくとご覧に入れましょう!」

 

 そして再度()()するバエの姿は普段の20センチ程の蝿人間に戻っていた。

 

「チッ!自殺志願者の相手はしていられません!」

 

 黒霧はそう吐き捨てると己の個性でもってどこかへと転移した。

 

「ふへぇ……」

 

 気の抜けた声を出すバエ。

 

「バエさん!大丈夫!?」

「私は大丈夫です、それより瀬呂さんたちを……」

「俺たちもそんななまっちょろい鍛え方してねーっすよ!」

 

 駆け寄ろうとした麗日を制し、黒霧に吹き飛ばされた面々の安否を考える。しかし、砂藤、障子、瀬呂は多少の傷はあるものの、五体満足でいた。

 

「それは失礼しました。では皆さんはここで飯田さんの帰還を待っててください」

「アンタはどうすんだ?」

「霧男はおそらくリーダー格のあの手男のところに戻るはずです。そこにいるだれかと戦うことになれば13号先生の二の舞です。……なので私があの霧男を追います」

 

 砂藤にそう告げるとバエは飛翔し、黒霧の気配と手男こと死柄木弔を探す。

 

「おや、ラッキーですね。すぐ近くに2人が揃って……って、出久さん!?」

 

 目的の2人を中央広場で発見したバエではあるが、さらにそこには脳ミソ剥き出しの黒い巨体のヴィラン。そして、右腕が歪に曲がってしまった相澤を抱える出久の姿があった。

 

 

 

 




~バエの獣拳アカデミー~

バエ「激獣声蝿(フライ)拳!激気による言霊で相手を操り、言葉を力に変える。蝿を手本とする(虫だけど)獣拳です!」
出久「ゲキレンジャー本編では先達の一人を禁断の激技の呪縛から解放するために奮戦されてましたね!」
バエ「激気を言葉に込めて相手に力を送ったり、攻撃している私ですが、今回のように戦えない訳ではないんですよ」

バエ「さて次回!とうとう出久さんと敵のリーダーと接触!どんな戦いが繰り広げられるのでしょうか!? そして巨大戦はあるのでしょうか!?」
出久「巨大戦はないと思いますけど、全力でぶつかっていきます!」
バエ「さらに向こうへ!」
バエ&出久「「Puls Ultra!!」」


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