僕のヒーローアカデミア:BEAST ON!   作:u160.k@カプ厨

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`19.6.12:『バエの獣拳アカデミー』に間違って以前と同じネタを掲載してしまっておりました。同日、修正いたしました。読者の皆様に深くお詫び申し上げます。

`19.6.12:脱字の修正を行いました。ダストロ様、ありがとうございました。


修行其の十一:ガリガリ ゲームオーバー!

 水難ゾーンを突破し、中央広場に辿り着いた僕たちが目にした光景。

 

 それはハンドヴィランの個性によって肘を破壊されてしまい、脳ミソを剥き出しにした黒い巨体のヴィランに組み伏せられた相澤先生の姿だった。

 

「相澤先生が……!」

「ウソだろ!?」

「ケロォ……」

 

 捻り上げられた右腕は歪に変形し、手首から先は力なく垂れ下がっている。

 

「……()れ、脳無」

 

 脳無と呼ばれた脳ミソヴィランはもう片方の手で相澤先生の髪を掴み、頭を無理矢理持ち上げている。そこからどうなるか、想像がついた時、

 

「やめろぉーーーっ!!!」

 

 僕は無意識の内に飛び出していた。

 

 叩き着けられようとしていた相澤先生と地面の間に滑り込んで先生の頭を腹で受け止めつつ、無防備な脳無の顔面に《穿穿弾》を至近距離で放つ。

 不意の一撃を食らった脳無はあえなく吹き飛び、先生の拘束が解かれた。

 

「先生!相澤先生!大丈夫ですか!?」

「緑谷、か……馬鹿野郎、何で来た……」

 

 即座に体勢を整え、脳無の反撃やハンドヴィランを警戒する。先生に安否を確認すると、返って来たのはお叱りの言葉。どうやら命に別状はなさそうだ。

 

「ヒーロー、目指してますから……!」

 

 緊張感で引き攣りまくっているであろう笑顔を浮かべながらそう答えると、先生は小さく笑った。

 

「すみません、死柄木弔。少々鬱陶しい蝿が邪魔に入りまして、散らし損ねた生徒の一人に逃げられました」

 

 僕を観察するように眺めていたハンドヴィランの横に突如僕たちUSJ内各所に飛ばしたミストヴィランが出現。その報せは敵にとっては凶報、僕たちにとっては吉報だった。

 

「おや、その鬱陶しいハエって言うのは私のことですかね?」

「貴様、なぜここに!?」

「バエさん! って、そのキズは……」

「あぁ、これですか。あそこの霧男さんのお相手をさせて頂いただけですよ」

 

 全身キズだらけながらも飄々と応えるバエさんをミストヴィランが忌々し気に睨み付ける。

 

「は? 蝿ってアレか? あんなのにやられたの? ……はぁ、オマエがゲート役じゃなかったら粉々にしてたよ……」

 

 ハンドヴィラン・死柄木弔は、ミストヴィラン・黒霧の報告に一気にやる気が削がれたらしい。

 

「あーあ……流石に数十人以上のプロ相手じゃ分が悪い……ゲームオーバーか、仕方ない……帰るか……」

 

 死柄木弔は首筋をガリガリと引っ掻く。その様子は思い通りに物事が進まなくなった子供のようで、成人しているであろう見た目にはそぐわない。

 

「な、なぁ……アイツ……今、帰るって言ったか!?」

「確かにそう聞こえたわね」

 

 蛙吹さんと峰田君の元に辿り着いた僕は、警戒を緩めぬまま二人に先生を託す。

 一方、死柄木の撤退発言に喜んだ峰田君。それに託つけて蛙s、っ雨ちゃんの胸を触って沈められていた。

 

 しかし、死柄木の殺気は収まる様子は感じられない。むしろ強まっているようにすら感じる。

 

「気をつけて下さい、出久さん……あの霧男はその個性で間合いも無視しますし、こちらの攻撃も死角からワープさせて返して来ます。……13号さんもそれで倒されました」

「!」

 

 小声で警告してくれるバエさんに頷くことで応える。13号先生は命は無事なようで、今はゲート近くにいる麗日さんや芦戸さん達がみていてくれているらしい。

 

「……帰る前にガキを一匹殺そう……平和の象徴の矜持をへし折ってやる」

 

 言うや黒霧の個性でワープした死柄木は僕やバエさんではなく、蛙吹さんを狙ってその凶手を伸ばす。

 方や蛙吹さんは、片手で先生を支え、片手では峰田君を折檻中。防御は元より、距離が近すぎて回避も困難だ。

 

「させるかぁっ!」

 

 激旋棍(ゲキトンファー)棍棒(バトン)をブーメランのように投擲! 死柄木の両手を砕き、足止めに成功。同時に相澤先生が『抹消』の個性を発動してくれていたおかげで、蛙吹さんは無事だった。

 

「離れろォ!!」

「ガフッ!?」

 

 その隙に死柄木を殴り飛ばし、蛙吹さんとの間に割り込む。

 

「蛙吹さん!峰田君!今のうちにここを離れて!!」

「わかったわ」

「緑谷、悪ィ!頼んだ!」

「緑谷、ソイツの手とあの脳無ってのに気をつけろ……あれは普通じゃない」

「わかりました!バエさん、蛙吹さん達をお願いします!」

「お任せください!」

 

 この場を離れる蛙吹さんたちを横目で見送りつつ、目の前の死柄木とその奥の黒霧や脳無にも気を配る。蛙吹さん達を追おうとする気配を見せる黒霧。だけど、バエさんを警戒しているらしく、動こうとしない。

 

「痛ってぇ……このガキ……」

 

 痛みにもがいていた死柄木が殺意の籠った目で睨みつけてくる。

 

「脳無……いつまで寝てる……さっさと起きて、コイツを殺せェッ!!!」

 

 《穿穿弾》を喰らって吹き飛ばされ、倒れたままだった脳無が死柄木の声に反応して僕に襲い掛かる。《穿穿弾》でダメなら、これだ!

 

「激技!穿穿拳ッ!!」

 

 脳無の剛腕から繰り出される一撃を躱し、得意の一撃をカウンター気味に叩き込む!

 

「っ!?」

 

 ガラ空きの胴体に決まった必殺の拳。しかし、空気がパンパンに詰まったタイヤを殴ったような感覚しかなく、脳無も何事もなかったかのように平然としている。

 

「驚いたか? そいつは対平和の象徴用の改造人間『脳無』、オマエのパンチが効いてないのは『ショック吸収』って個性のおかげさ……この手の礼だ、ガッツリ痛めつけてから殺してやるよ……」

 

 死柄木がさも自慢げに説明してくれる。

 ショック吸収、確かに打撃が主体の僕やオールマイトにとっては相性最悪……天敵に近いかもしれない。

 

「何、寂しがる必要はないさ……オマエのあとすぐにオールマイトも送ってやるから……オマエもどーせアレのフォロワーだろ?」

 

 ……挑発に乗るな。殺意に、恐怖に、相手に飲まれるな。

 

「コイツで、あのニヤケ面を潰して……個性でヒーローとヴィランに分けちまう、こんな腐った世の中をブッ壊してやる……!」

 

 しかし、『無効化』でなく『吸収』。どんなに高性能なサスペンションやタイヤでも、吸収できる衝撃には限度があるはずだ。ならばその限界値を突破するまで!

 

「激技ッ!打打弾(ダダダン)!」

 

 『心』を特に鍛えた先達が得意とした10秒間に999発の拳打を叩き込む激技。今の僕はそこまでの拳速はないが、この激技(ワザ)こそが適解のハズだ!

 

「いくら殴った所で無駄無駄、肉をゆぅーーーっくりと抉り取るような攻撃じゃないとソイツには効かないよ」

 

 相手の言葉に惑わされるな、ただ的確に拳を叩き込め!

 

「……まぁ、それも意味ないけどな。脳無(ソイツ)には『超回復』って個性もあるんだ、オールマイトの100%にも耐えられる超高性能サンドバック人間。オマエがどれだけ足掻いても無駄なんだよ」

「!?」

 

 個性は一人に一つのハズ、複数の個性を持つ人間なんて……あ、轟君は考え方によっては炎と氷の二つの個性だ。これは驚く必要はないな。

 

 それより考えるべきは『超回復』の個性だ。ダメージを与えてもその場で即座に回復する……確かに『ショック吸収』と『超回復』の組み合わせなんて確かに厄介極まりない。

 普通なら絶望してもおかしくはないし、獣拳を知らない僕だったらどうしたらいいかを考えるだけで何もできなかっただろう。

 

 しかし、僕は確信した。今、目の前にいる相手に使うは打打弾(この技)で間違いはない。

 

「はぁ、ただのバカか……脳無、もういい、ソイツ殺せ」

 

 僕の攻撃が破れかぶれの愚行と取った死柄木の命令で脳無の反撃が始まる。

 確かに相澤先生を倒し、対平和の象徴(オールマイト)用の改造人間と豪語するだけあって、生半可な相手ではない。それでも、当たれば即死が確定するであろう攻撃だけを回避しながら拳を叩き込み続ける。

 

『治癒ってのは体力を使う、大きなケガの治癒ほど体力をつかうもんさね』

 

 入試の実技試験の後、麗日さんは足の治療を受けると、酷く疲労していた。僕は、試験の疲れが一気に出たのかと思った。しかしそうではないことを先の言葉と共に教えてくれたのが、雄英高校の養護教諭にして『治癒』の個性を持つヒーロー、リカバリー・ガールだった。

 

 それに個性というモノは身体機能の一部。使い過ぎれば疲労し、消耗もする。時には自分自身にすらダメージを与えてしまうことだってある。

 ショック吸収と超回復、無敵と思われる組み合わせの個性と言えども、使い手『体力』という限界があるハズだ。

 

「がっ!? ……ぐっ!……はぁあぁーーーーー!!!!!」 

 

 高速ラッシュ対決。脳無の巨腕からは想像も着かない速さと見た目通りの破壊力を持った攻撃が僕の身体に突き刺さり、徐々にダメージが蓄積されていく。そのせいで手数が減り、拳速が落ちる。

 

「バカなガキだな、教師(プロヒーロー)だって倒した脳無にオマエ如きが敵うワケないのにさ」

 

 鼻血によって呼吸が辛くなり、溜まった乳酸で筋肉が悲鳴を上げる。そんな押され気味の僕を嘲笑う死柄木。しかし、ここで終わるワケにはいかない。

 

「……日々、学び、高みを目指して変わること……それこそ獣拳の教え!」

「?」

 

 気合いで持ち直し、拮抗する!

 

「それ即ち!」

 

 確かに破壊力もあり、手数もある脳無の攻撃。しかし、その攻撃に正確性はなく、ただ重く、速いだけで空振りや無駄打ちが多い。対して僕の拳は威力も低ければ、速度も変わらない。しかし叩き込んだ拳は全て脳無を捉えている。その証か、次第に脳無を押し返せて来ている。

 

「Puls……Ultraァァァーーーーーーーッ!!!!!!!!!」

 

 拳と拳がぶつかり合い、炸裂音が響く。それは、どちらかの拳が砕けたことを示している。

 

「グギャァァァーーーーー!?!?!?」

 

 拳が砕けたのは脳無の方だった。《ショック吸収》の容量限界を超えただけでなく、拳以外の身体の傷が回復しない様子から《超回復》に回す体力も尽きたのだろう。

 

「もう一丁ォ!」

 

 もう片方の拳も破壊し、腕をその巨体ごと弾いたことで脳無の姿勢が大きく崩れた!

 

 距離を開ければ黒霧の個性にやられる!……なら!

 即断即決、隙を逃さず距離を詰める。その勢いを利用し、激気を込めた込めた拳を突き出す!

 

「激技ッ!穿穿弾拳ッ!!」

 

 《穿穿弾拳》。全力で《穿穿拳》を打ち込むと同時にゼロ距離で《穿穿弾》を放つ激技だ。土壇場で編み出した激技(ワザ)だけど、想定以上の威力だった。

 

 限界を越えたショック吸収の個性は効果を発揮せず、その威力を受けた脳無はUSJの天井を突き破り、遥か空の彼方に消えた。そしてその数秒後、地球の重力と引力によって凄まじい勢いで落下。地面をめり込ませながらも身体をビクビクと痙攣させている。

 

「……ウソだろ?」

 

 それが信じられないらしく、殺意すら消えて茫然自失としている死柄木に沸々と怒りが沸く。

 

「……こんなのが……無個性で、ヒーローですらない……そんな僕にブッ飛ばされたヤツが対平和の象徴(オールマイト)用の切り札?」

 

 未熟で、師匠(マスター)やオールマイトは勿論、クラスの皆にも追いつくのがやっと。そんな僕に倒される存在がNo.1ヒーローであるオールマイトに勝てるワケがない!

 

「これで世の中を破壊する?」

 

 なぜそうしたいのか、僕にはわからない。

 しかし、自分(ヴィラン)達の思い通りにならない、やりたい放題できないのが気に入らない。そんな理由なのだとしたら、それは絶体に許せない。

 

「平和の象徴を……オールマイトをバカにするなぁっ!!!!!!」

 

 そして何より、僕が尊敬する人物の一人を乏しめ、害を成そうとすることが僕の怒りを爆発させた。

 

「……ムカつくなぁ、その目……気に入らない、それに無個性? そんなガキに俺の脳無が倒されたってのか?」

 

 ブツブツと様々なことを呟く死柄木は首筋をさっきよりも強くガリガリと掻き毟る。

 

「……殺してやる」

「いけません!死柄木弔!」

 

 死柄木が動く。が、それを黒霧が諌めた。

 

「今の彼は手負いの獣、それに無闇に手を出せば餌食になるのはこちらです!」

「……チッ、なら仕方ないか……」

「逃がすと思ってンのかコラァ!」

 

 撤退を決意した死柄木達に待ったをかける3つの影。

 

「か、かっちゃん!切島君に轟君まで!」

「前座ご苦労、後は引っ込んでやがれ!」

「ここからは俺達の出番だ!」

「緑谷は消耗が激しいだろ、俺らに任せとけ」

 

 かっちゃんと切島君、そして轟君が死柄木と黒霧を倒す(メインディッシュを食らう)のは自分だ、と前に立つ。その時、ゲートの方で轟音が響いた。

 

「生徒諸君、もう大丈夫……」

 

 噴煙の向こうに浮かぶそのシルエットと力強いその声は僕が、クラスの皆が待ち望んだヒーローのモノ。

 

「私が来た!」

 

 そこには憤怒の表情を顔に貼り付けたオールマイトを筆頭に、先生方(プロヒーロー)がズラリと並び立っていた。

 

「A組クラス委員長!飯田天哉、ただいま帰還しました!!」

 

 救助要請に走ってくれたのは飯田君だったのか、さすが頼りになる。

 

「死柄木弔、ここは引きましょう!」

「今回はゲームオーバーだった……けど、平和の象徴(オールマイト)も!無個性のオマエも!必ず殺す……」

 

 黒霧の個性で逃走を図る死柄木の殺害予告に怯むことなく、その怨念の籠った目を睨み返す。

 

僕たち(ヒーロー)を……ナメるなよ!」

 

 死柄木の姿が黒い霧に包まれ、虚空に消えた。そして殺気を内包したゾワゾワとした悪意が徐々に遠のき、そして消えた。

 

「ふぅ……っ!?」

「緑谷少年!?」

 

 緊張を解いた途端、突然力が抜け、膝をついてしまった僕に心配したオールマイトが駆け寄って来てくれた。

 

「あはは、すみません。安心して、ちょっと力が抜け、痛ッた……!?」

 

 《打打弾》の影響は元より、《穿穿弾拳》は想像以上に威力がある分、反動も大きかったらしい。腕が痺れているだけでなく、激痛に指一本動かすのもツラい。

 

「まだまだ、修行が足りないや……」

「何を言う、君のおかげで最悪の結果にならずに済んだ!これは君の修行の成果だ、胸を張りたまえ!」

 

 オールマイトのお褒めの言葉。それが堪らなく嬉しかった。

 

 

 その後、死柄木(リーダー)副官(黒霧)が撤退。先生方(プロヒーロー)が駆け付けたことでヴィランたちは次々に制圧された。警察も到着し、完全に鎮圧されたヴィラン達は次々に逮捕・連行されて行った。

 

 芦戸さん曰く、猫のお巡りさんを部下として引き連れた刑事さんたちによる事情聴取や負傷した僕たちの治療が終わった頃には空が夕焼け色に染まっていた。

 

 救助訓練が本物の(ヴィラン)との戦闘となってしまった今日の授業はようやく幕を閉じたのだった。

 




~バエの獣拳(?)アカデミー~

プレゼント・マイク「尾白猿夫!個性は『尻尾』!強靭な尻尾は攻撃に防御!移動でもなんでもござれだ!」
バエ「火災ゾーンでも得意の拳法と合わせてたった一人で乗り切ったそうです!すごいですね!」
マイク「この尻尾には見た目通りかなりの筋力があって、尻尾一本で自分の体を持ち上げられる!障害物の多い所でも猿のように跳び回ることもできるぜ!」
バエ「派手さはないかもしれませんが、オールラウンドに活躍できる優秀な個性ですね!」

マイク「さて次回、緑谷達に次なる試練が訪れるぜ!」
出久「どんな試練も乗り越えてみせます!」
バエ「さっすが出久さん!その意気です!」

出久「さらに向こうへ!」
マイク&バエ&出久「「「Puls Ultra!!!」」」
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