僕のヒーローアカデミア:BEAST ON!   作:u160.k@カプ厨

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修行其の十二:ドキドキ!迫る雄英体育祭!

 救助訓練に臨んだ僕たちが『ヴィラン連合』を名乗る集団による襲撃を受けてから2日。臨時休校による一日の休みがあったものの、どこか本調子でないまま教室の扉をくぐる。

 

「おはよう」

「おはよう、緑谷君!」

「おはよー、デク君!」

 

 挨拶を返してくれる飯田君や麗日さんを始め、クラスメイト達も僕と同じように肉体的にはともかく精神的な疲労は取れていないことがわかる。

 

「緑谷!緑谷もだけど、バエさんは大丈夫?」

「そうだ!私も心配してたんだ!」

「あのヴィランに手ひどくやられていたからな」

「うん、すっかり元気だよ!今は僕のコスチュームを修理に持っていってくれてるんだ」

 

 芦戸さんに砂藤君、障子君、瀬呂君。麗日さんも含めてUSJ事件の際にゲート前でバエさんと一緒に戦ってくれた面々だ。バエさんが何事もなく外出していることを知ると安堵の表情を浮かべた。

 

「そーいや、バエさんは緑谷のコスチューム作った会社の社員なんだよな?」

「確か……スクラッチだよな!」

「サポート会社でもトップクラスの企業か……人は見かけによらないな」

 

 スクラッチ社。元々はスポーツメーカーだったのだが、個性の発現による超人社会への変移とともにヒーローのサポートアイテムの開発・販売を行うようになった。現在では障子君の言う通り、サポート会社でもトップクラスの業績を誇っている企業でもある。

 

「そっか、元気ならいいや!次は来るときは教えてよ!ちゃんとお礼言いたいんだ!こないだはちゃんと言えなかったからさ」

「俺たちからも頼むぜ!」

「うん、わかったよ!」

 

 「一緒に戦った仲だし、お礼なんかいりませんよー」といいそうな気がするけど、嬉しそうなバエさんの姿を楽しみに了承すると芦戸さん達はほっとしたように笑ってくれた。砂藤君に至っては手作りお菓子のお土産まで用意してくれると言う。本当にいい人達だな。

 

「お礼といえば、私も緑谷ちゃんに言わないといけないわね」

 

 蛙吹さんにお礼を言われるようなこと? なにかしたっけ?

 

「梅雨ちゃんと呼んで。それと、一昨日のことよ、ヴィランの攻撃から庇ってくれたじゃない」

「あ、あの時はただ夢中で……そ、それに当たり前のことをしただけだから……」

「それでも助かったわ。ありがとうね」

「ど、どういたしまして!」

 

 ぺこりと頭を下げられるたのにつられて僕も頭を下げる。あs「梅雨ちゃんと呼んで」僕の思考を読んだ!? 

 

「自分のペースでいいの。だけどお友達には名前で呼んで欲しいのよ」

「あ……うん!わかったよ、つ、梅雨ちゃん!」

「ケロケロ。それじゃあ、またあとでね」

 

 僕が名前で呼んだことに満足してくれたのか、嬉しそうに笑う梅雨ちゃんは自分の席へと戻って行く。女の子を名前で呼ぶという何気に人生初の偉業を達成してしまったことで僕の脳はオーバーヒート寸前だ。

 ……故に、

 

「……」

「麗日君、どうした? 表情が麗らかではないぞ?」

「へ? うそ!? 私どんな顔してたん!?」

「無自覚だったのか!?」

 

 飯田君と麗日さんがそんなやり取りをしていることにも僕は気付いていなかった。

 

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「おはよう、では早速ホームルームを始める」

「相澤先生、復帰早ぇっ!!!!!」

 

 切島君の驚くのも無理はない。

 脳無によってボロボロにされたハズの相澤先生が右腕を吊り下げながらも教壇に立っているのだ。「さすがプロ……!」という感嘆の声に僕も思わず同意してしまう。

 

「先生、ケガはもういいんですか?」  

「婆さんが大袈裟なだけだ、それに……」

「?」

 

 やれやれ、と言った様子で返答してくれていた相澤先生が僕に視線を向ける。

 

「いや、なんでもない……それより全員、気を抜くな。次の戦いが近付いている」

「「「「「!」」」」」

 

 図らずも経験した実戦の空気と恐怖を思い出してしまい、さっきまで少し緩んでいたクラス内の空気がピンと張り詰める。誰かが『またヴィランの襲撃か』と口にするが相澤先生の雰囲気はUSJの時のそれではない。

 

「雄英体育祭が迫っている」

「「「「「クソ学校っぽいのキターーーーー!!!!!」」」」」

 

 さっきまでとはうって変わり、クラス中のテンションが一気に沸き立つ。

 かつてのオリンピックに代わる一大イベントである雄英体育祭。僕も毎年欠かさずテレビ中継を見ていたけど、今年からは自分が参加する側であり、見られる側になるということで気分が高揚してくるのを抑えられない。

 

「ヴィランに襲撃されたばっかだってのにマジかよ……」

 

 しかし、僕の後ろの席の峰田君はどこかげんなりしながらそう呟いた。さすがに1日休みがあったとは言え、命の危機によって受けたストレスは簡単には消えないようだ。

 

「だからこその決行だ。開催する事で雄英の危機管理体制が磐石だと示すのが狙いだ。警備もプロヒーローに依頼を出した上で例年の5倍に増強する予定だ」

 

 プロヒーロー!誰が来るのかわからないけど、あわよくばサインを頂いたり、握手や記念写真とかも……と、そうじゃない!

 

「それに雄英体育祭はオマエらにとって年に1回しかない最大のチャンスだ、簡単に中止していいモノでもない」

 

 そうなのだ。雄英体育祭は全国に中継されるだけでなく、大勢のプロヒーローが実際に観戦にくる。その真の目的は将来の有望株をスカウトすることだ。

 

「優秀な結果を残した者はそのほとんどが今でもトップヒーローとして活躍している。気張れよ」

 

 相澤先生のさりげない激励を締めとして、朝のホームルームは終了した。

 

 ----------。

 

「みんな!私、頑張る!!」

「も、燃えてるね、麗日さん……」

 

 昼休み、麗日さんの気迫が燃え上がっていた。聞けば、彼女がヒーローを志す理由によるモノだった。

 

「お金のため?」

「う、うん……ごめんね、なんか不純で……恥ずかしいな……」

 

 しかしヒーローと言えども必ず稼げる訳ではない。故に麗日さんにはもう1つの利点を見出だしていた。

 

「うん……ウチの実家は建設会社なんだけど結構苦しくて……私が個性を使えれば助けになれると思った、けど父ちゃんは『親としては私が夢叶えてくれる方が何倍も嬉しい』って言ってくれたんだ!」

 

 麗日さんのご両親はとても娘想いのとてもやさしい人達なのだろうとわかる。そして麗日さんもご両親に親孝行をするべく日々努力を重ねている。お金が理由だとしても、恥じる必要なんて全くない。

 僕の両親も無個性な僕を見捨てず、『ヒーロー』と言う夢を応援してくれている大切な存在だ。そんな両親のためにできることなら全力で取り組むだろう。

 

「だから私はヒーローになってお金をいっぱい稼いで、父ちゃんと母ちゃんに楽させてあげるんだ!」

「ご両親を助けるために……スゴいよ、麗日さん!」

「うむ、ブラボー!実にブラボーだ!ブラーボ!!」

「えへへ……そうかな?」

 

 飯田君も僕もその心意気に感動してしまった。

 

 

 でもなぜだろう、麗日さんが笑うと心臓の鼓動が早くなる。

 

 ……不整脈だろうか?

 

 ----------。

 

 本日最後の授業を終えた僕たちが教室を出ようとするもそれは叶わなかった。

 

「なんなんだ、この人だかりはよー!? でれねーじゃんか!何しに来たってんだよぉ!?」

 

 A組の教室の前に集まる大勢の生徒に圧倒され、動揺するクラスメイト。特に峰田君はその様子が顕著だ。

 

「敵情視察だろ、騒ぐなザコ」

「ヴィランの襲撃を乗り越えた僕たちは今度の体育祭で壁となりえるか、それを見に来たんだよ」

 

 ザコ呼ばわりされて凹んでしまった峰田君を慰めつつ、その目的を推測してみるとかっちゃんも同じ意見らしく、教室前に集まる群衆を一瞥する。

 

「意味ねぇことしてないで、どけやモブども」

「知らない人の事とりあえずモブって言うのはやめたまえ!」

 

 飯田君の言うとおりだ。そう言わんばかりにクラス全員が頷いた。

 

「幻滅するな……どんなもんかと見に来たけど、随分偉そうだなぁ……ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのか?」

「アァ!?」

「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入った奴が結構居るんだ。体育祭の結果(リザルト)によっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ……」

 

 人だかりの中から前に出てきた紫の逆立った髪型と目の下のクマが印象的な男子生徒、彼の言葉に衝撃を受ける。それと同時に彼も雄英生として高みを目指していることがわかる。

 

「俺は()()()の心操ってんだけど、俺は敵情視察なんかじゃないよ。調子のってるなら足元ゴッソリ掬ってやる、って宣戦布告しに来たんだ」

 

 言い切る心操君の目には力強い光が宿り、半端な覚悟ではないだろうことがわかる。足元どころじゃない、彼は僕たちの首を取るつもりだ。

 

「隣りのB組の鉄哲ってモンだけどよォ!! さっきのモブ発言きいてたぞ!! ヴィランと戦ったっつーから話聞こうと思ってたんだが偉く調子に乗ってんじゃねぇか!本番で恥ずかしい事になんぞ!!」

「ちょっと鉄哲!ヴィランの襲撃については先生から閉口令が出るの聞いてなかったの!?」

 

 今度は銀髪のどこか切島君に似た威勢のいい鉄哲君と彼のクラスメイトらしいサイドテールの女子が現れた。

 しかし心操君や鉄哲君、A組の前に集まった群衆のほとんどが『ヴィランと戦ったことで僕たちA組は調子に乗っている』と言う共通認識を持っているようだ。

 しかしそれは僕を含めたA組のみんなにとって捨て置けない問題だ。

 

「……その宣戦布告、受けて立つよ」

「「「「「!」」」」」

 

 故に誤解を解かないといけない。そのためには一度心操君達の意識を僕に向ける必要がある。

 

「僕たちだって高みを目指しているんだ、負けるつもりはないよ」

 

 宣戦布告への返答、簡単に首を取らせるつもりもない。

 

「アンタ、入試首席の緑谷だよな? どうだい、恵まれた個性を持って座るヒーロー科の椅子は?」

「恵まれた個性? 君がどんな個性かは知らないけど、僕は無個性だよ。だからヒーロー科の椅子からいつ蹴落とされるか気が気じゃない、っていうのが本音かな」

「「「「「!?」」」」」

 

 僕が無個性であることは知らなかったらしく、皮肉っぽく訊ねてきた心操君たちの方が今度は動揺している。

 

「USJのことだって、一歩間違えればケガじゃ済まなかったかもしれない……そんなことを嬉々として自慢話にできるほど、僕たちは楽天家じゃない」

 

 無意識のうちに握りしめた拳に力が入る。

 みんなが本物の悪意に晒され、戦って傷ついた。相澤先生や13号先生、蛙吹さんに至っては命の危機にも直面した。それを自慢しているように取られるなんて心外にも程がある。

 

「今度の雄英体育祭、僕たちも全力で挑むよ」

 

 

 優勝を目指すのはともかく、「調子に乗った僕たち(A組)が気に入らないから、首を取って恥を晒させてやる」と言う考えで倒されるほど僕たちは弱くない。

 そして雄英体育祭も甘くない。

 

敵情視察(観察)だけでなにか解ることは少ないし、かっちゃん……彼の言う通り時間の無駄だから、その時間を修行に回す方が合理的だよ」

 

 それを無視するんだったらそれでもいい、その間に僕たちは修行を重ねてさらに高みを目指すだけだ。言外にそう言えば、A組前の群衆は一人、また一人と踵を返していった。

 

「……チッ」

 

 そしてかっちゃんも教室を後にする。罵倒や暴言がなく、舌打ちだけだったということはかっちゃん的にも僕の言ったことは間違いなかったのだろう。

 

「デク君、カッコよかったよ!」

「うむ!緑谷君の言葉に恥じないように努力せねば!」

「そ、そんな……なんか偉そうになってたし、勝手に「僕たち」なんて言っちゃたし……」

 

 麗日さんと飯田君が褒めてくれるのは良いけど、冷静になんて考えるととんでもないことをしてしまったのではないだろうか?

 

「そんなことねぇよ!緑谷の言葉、シビれたぜ!」

「そうだぜ!シビれさすのは俺の専売特許だと思ってたのによ!」

「俺も気合い入れ直さないと!」

 

 切島君や上鳴君、尾白君を筆頭にクラスの皆が燃えていることで一先ず安心した。しかし僕もあれだけのことを言ってしまった以上、情けない成績は残せない。期待と不安でドキドキと心臓が荒ぶっている。

 

「緑谷は……まだ残ってたか。朝に伝えるのを忘れてたが、体育祭の選手宣誓。入試首席のオマエがやることに決まったからそれについても準備を怠るなよ」

 

 「用がないならさっさと帰れ」という相澤先生の指示にクラスメイト達が教室を後にしていく。

 

「……はい?」

 

 突然大役を任された衝撃から復帰した僕は、そんな間の抜けた声しか出せなかった。

 




~バエの獣拳(?)アカデミー~

プレゼント・マイク「葉隠透!個性『透明化』!常に透明化した身体が個性のいわゆる透明人間だ!」
バエ「戦闘向きではありませんが、情報収集にはかなり効果的ですね!」
出久(フリーズ中)
マイク「身につけてる物は透明化しない!そのため葉隠の個性を十全に活かそうとすると全裸状態になっちまうぜ!コイツァ、シヴィー!!」
バエ「彼女と蛙吹さんをみてるとなぜか懐かしい気分になるんですよねぇ……」
マイク「オイオイ!昔の女でもrememberしてんのか? brother!」
バエ「その辺りは触れないのが紳士ですよ、マイクさん」
マイク「coolだな、オイ!」

バエ「さて次回!いよいよ雄英体育祭の開幕です!」
マイク「どんな種目があるのか楽しみにしてろよ、リスナー`S!!」
バエ「さらに向こうへ!」
マイク&バエ「「Puls Ultra!!」」

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