僕のヒーローアカデミア:BEAST ON! 作:u160.k@カプ厨
本当にありがとうございます!
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
「予選終了!本戦に進んだのは上位42名!!43位以降の子も安心しなさい!まだ見せ場は残ってるわ!!」
42人。その最後の一人は普通科から唯一勝ち残った心操君だった。大の字に倒れ込んで荒い呼吸を繰り返してはいるが、彼の目はまだ闘志の炎が爛々と燃えている。それを見るとあの日の宣戦布告が伊達ではないことを改めて認識させられる。
「続いて第二種目!私はもう知ってるけど、なにかしら!?」
モニタースクリーンに様々な競技の名前が高速で切り替わり、そして次なる
「その内容は……騎馬戦!!ルールは2人から4人でチームを組んでもらう普通の騎馬戦と同じよ!けど騎馬が崩されても、ハチマキを取られても失格にはならないわ!!逆に悪質な騎馬崩しを行った場合は失格になるから気を付けなさい!
次に参加者全員には先の順位に応じた点数が各自に振り分けられ、その合計値が各騎馬の持ち点となるわ!騎手はそのポイントが表示されたハチマキを首から上に巻くこと!制限時間である15分が経過したとき、最もポイントが多い上位4チームが最終種目に参加する権利が与えられるわ!!
そして気になるポイント配分は42位から上に5点ずつ増えていくわ!」
つまり僕は210ポイントか。轟君やかっちゃんとポイントは近い以上、他のチームに集中的に狙われることはなさそうだ。
しかし、さっきの競技からわかるとおり、雄英体育祭の騎馬戦が騎馬を崩されようがハチマキを取られようが失格にならない
「ただし!」
やっぱりか、何が来る?
「一位の緑谷君はなんと……1000万ポイント!」
「「「「「!!!!!」」」」」
「……なんてこった」
……ミッドナイト先生、僕の拳は
「上位の者ほど狙われる!下剋上上等のサバイバル!!チーム決めの制限時間は15分!交渉時間のスタートよ!!」
……臨むところだ、やってやる!
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「すまない、緑谷君……俺にとって君は越えたいライバルなんだ!」
「俺も友達として、ライバルとしてオマエと全力で戦ってみたいんだ!悪いな……」
飯田君と尾白君に断られ、他の人には声を掛ける前に視線を逸らされる。逆にかっちゃんと轟君には人気が集中しているし、周囲ではどんどん騎馬が組まれていく。
……このまま誰も組んでくれなかった場合、どうなるんだろう?
「デク君!一緒に組もう!!」
焦りを感じていた僕に、救いの天使が舞い降りた。
「う、麗日さん!? いいの!? その、僕のポイントが1000万故に狙われまくると思うんだけど!?」
「大丈夫だよ!ガン逃げすれば勝てるし、デク君強いもん!!それに、仲のいい人と組んだ方が絶対いい!!」
「!!?」
意味が違うと解ってるのに『仲のいい人』という言葉が脳内をループしてアバレまくっている!その麗らかな笑顔に心臓が『止めてみな!』と叫んでいるかのように荒れている!!
「よ、よろしくお願いします!」
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「私と組みましょう!一位の人!!」
私以外に組んでくれる人が中々いない状況に焦るデク君に声を掛けて来たのは、ゴーグルを着けたピンク色の髪をドレッドっぽくした女の子だった。
「私はサポート科の発目明です!今現在、この場で最も目立っているのは間違いなくあなたです!!しかも、無個性と言うことはあなたの個性の影に隠れることなく、私のドッ可愛いベイビー達がより目立てるのです!なので利用させてください!!」
発目さんは障害物競走ではサポートアイテムで身を固めながら40位で走破、サポート科で唯一本選に進んだ子だ。強力なサポートアイテムを持つ彼女が組んでくれるのであれば私たちのチームもかなりの強化が期待できる。
けど……なんか近くないかな?
「か、かなり明け透けですね……」
「さらに今解説をしている方!」
「聞いてない……ば、バエさんのことですか?」
「そうです!そのバエさんとか言う方はあのスクラッチ社の社員とか!!私達サポート科はこの雄英体育祭で自分の開発したサポートアイテムを披露することで企業の目に止まることが目標なのですが、そのバエさんとあなたは懇意にしていると言う噂を聞いています!あとで是非紹介してください!!」
発目さんの勢いに押され気味だったデク君は結局、彼女をチームに入れることを承諾。今度は発目さんの発明品を見ながらヒーロー談義で盛り上がっている。その発目さんは私には興味がないようで、話しかけても無視されてしまった。
でも……無視されたのよりも、デク君に近い方が胸の中がチクチクするように感じるのはなんでだろう?
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『さあ、いよいよ始まります!雄英体育祭第二種目の騎馬戦!!』
「行くよ!麗日さん!!」
「うん!」
「発目さん!」
「はい!」
「常闇君!」
「うむ」
「ヤッタルゼ!」
個性の《
『鬨の声を上げろ!取って取られて取り返せ!全11チームによるサバイバルの始まりだァ!!Are you ready!?』
『カウント、スタートです!3!』
『2!』
『1!』
『『試合開始ィッ!!』』
「オラァ!1000万の奪い合いだァ!!」
「予告する!キミの
『鉄哲チームと葉隠チーム、早速緑谷チームに攻勢を仕掛けます!』
『その二チーム以外も緑谷狙いか』
「追われし者の宿命!選択しろ、緑谷!!」
「先ずは逃げに徹して時間を稼ごう!」
「了解した! ……む!?」
『緑谷チーム、交戦より撤退を選択したようですが動く様子が……おーっと、なんということだ―!緑谷チームの騎馬の足がステージに沈んでいるぅー!!?』
「(B組の人、もしくは心操君の個性か!)麗日さん!発目さん!」
「了解!」
「良いですよぉ!存分に私のベイビー達を使ってください!!」
『麗日の個性で重力を
「デェェェク!1000万寄越せやァ!!」
「か、かっちゃん!?」
『上空に脱出した緑谷チームを爆豪選手が猛追しているぅー!!』
『上に逃げるのはいい選択だった、しかし飛べるのが自分だけと思うのは早計だな』
「ダークシャドウ!」
「サセネェヨ!」
「チィ!」
かっちゃんの奇襲は《ダークシャドウ》によって弾かれ、墜落するところを瀬呂君のテープによって回収された。
『HEY!HEY!HEY!!騎馬から離れて飛んでんぞーっ!? あんなのアリかァー!?』
「テクニカルだからセーフ!ただし、騎手の足が地面に着いたらアウトだから気を付けなさい!!」
先のかっちゃんの突撃は独断行動だったらしく、今のルールを聞いた瀬呂君から文句を言われている。
「いいぞ、ダークシャドウ!そのまま常に俺たちの死角を守れ!」
「アイヨ!」
「さすがだよ、常闇君!」
「フッ、選んだのはオマエだ」
謙遜する常闇君だけど、スゴいのは事実だ。
けど、今のかっちゃんの突撃から考えると人数が多いことや空中での動きに馴れていない僕たちでは、咄嗟の反応や動きに隙が生じ易い。《ダークシャドウ》の全方位防御だけに頼ることも出来ない以上、上空に逃げるのもあまり得策とは言い難いらしい。
「デク君!着地予定ポイントになんかある!!」
「峰田君のもぎもぎボールだ!なら……穿穿弾!!」
威力を抑えた穿穿弾で地面ごともぎもぎボールを吹き飛ばして着地、同時にそこに狙いを済ました後方からの一閃を回避!
『緑谷チーム!後ろから奇襲を回避!! しかし仕掛けたのは……これはどういうことでしょう、障子選手の姿しか見えません!』
『Teamが組めなかったのか?』
『んなワケないだろ……よく見ろ』
「蛙吹さんに峰田君を一人で背負うなんてスゴいフィジカルだね、障子君」
「チクショー!なんでばれたんだ!?」
「さすが緑谷ちゃんね。それと梅雨ちゃんと呼んで」
障子君の《複製腕》で覆われた背中から峰田君とあs「梅雨ちゃんと呼んで」つ、梅雨ちゃんが顔を出す。
「やるな、緑谷。獣拳とは気配の察知までできるのか?」
「そこは修行の成果かな」
おそらく峰田君が足止め、梅雨ちゃんがハチマキを奪取。そして障子君が背中の二人を守る、三人の個性を生かしたいい作戦だ。これを破るのは至難の技だろう。
「ッ!回避!!」
「あぁ! 私のベイビー!!改良の余地ありです!!」
発目さんが悲鳴を上げる。飛来するレーザーに反応できたものの、背負っていたジェットパックに直撃して使い物にならなくなってしまったのだ。それに機動力の低下は痛い!
「Oh La La、避けられちゃった☆」
「いや、あのサポートアイテムを破壊できただけ儲けだ!」
「将を討つなら、まずは馬ってことね」
「足を奪うことは戦う上での基本だ」
さっきのはやっぱり青山君か!尾白君は勿論だけど、心操君とB組の庄田君の個性が判らない分さらに危険度が増している。さらに続々とチームが寄ってきている。
「デク君が言った通り、スゴイ狙われてるね!」
「全員が1000万に固執せず、漁夫の利を狙う者が多いのが救いだな……」
常闇君の言う通り、その穴をついて逃走ルートを選定する。しかし、そのいくつかを突然隆起した
「轟君……!」
「緑谷、さっきの礼だ……取らせてもらうぞ、1000万!」
広範囲攻撃を得意とする轟君と上鳴君にクラス最速の飯田君。そして文武両道にして、メインもサポートを問わずに熟せて全ての距離で対応可能と言う、僕が思うにA組内でも最強に位置する八百万さんというトンデモチームが僕たちの前に立ちはだかった。
『轟選手が他のチームの隙間を埋めるように氷壁を展開!緑谷チーム、ほぼ完全に囲まれております!!このまま、1000万を奪われてしまうのか!?』
『それとも!このピンチを乗り越えるか!? 手に汗握る展開だぜYeah!!』
「緑谷、塞がれた逃走ルートは全部ではないハズだ。時間もまだ残っている以上、危険な行動を取ることはない」
「そうだね、ここは……」
「あっれー、まさか優秀なA組で、入試首席で、先の競技でも1位の君が逃げたりなんかしないよねぇ? ヴィランをも退けた実力の持ち主なら僕たちから逃げる必要なんてないんじゃないのかなぁ!?」
なんかすごい挑発されているけど、誰だこの人?
「挑発に乗るな、緑谷!」
「う、うん、大丈夫!」
嘲笑なんて馴れたモノ、先を見据えて考えれば下手に取り合う必要はない。
「まぁ、仕方ないか、ジュウケンだかなんだか知らないけど大したもんじゃなさそうだしね!」
……そう思ってた時期が僕にもありました。
「で、デク、君?」
「緑谷、挑発に乗るな!相手は「障害物競争でデカいのブッ飛ばしてたけど、どうせなんかのトリックなんだろーね!イカサマ拳法でどうにかなるはずないもんねぇ!!」
イカサマ? なにが? ……まさかとは思うけど、獣拳をイカサマ呼ばわりした?
「どうやって入試首席とったの? インチキ拳法でさぁ!?」
……怒り、爆発。
「……わかったよ、残り時間とかもう気にしない。全力で行ってやるよ!」
僕自身をバカにするならすればいい……けど、獣拳をバカにすることは許さない!
「デク君!お、落ち着いて!!常闇君もデク君を止めて!」
「……いや、前言を撤回する。獣拳とは緑谷が血の滲むような努力の末に会得した、言わば緑谷の誇り!それを辱しめられたのだ、それを成した者を許すことなど出来るハズがない!!怒れ、緑谷!修羅の道を往くのであれば、この常闇踏影!地獄の底まで相乗りして見せよう!!」
「……そうやね、デク君をバカにするんはこの麗日お茶子が許さんよ!!」
「なんかよくわかりませんが、私のベイビー達を宣伝できるなら全力でやりますよ!」
「……ありがとう!」
チーム戦だと言うのに個人的な感情を優先させる僕を肯定してくれる常闇君と麗日さん、発目さんには頭が下がる。3人のチームメイトに感謝しながら頭に巻いたハチマキに手を掛けた。
『なんだぁ? 緑谷、1000万のハチマキを自分で外しちまったぞ?』
『周囲を完全に包囲されてヤケになった、ってワケじゃなさそうだが……』
その通り、僕はヤケになんてなってない。強力な個性を持つ相手に囲まれたならこっちも
「な、なんだよ? ハチマキをヌンチャクみたいに振り回したりして……虚仮嚇しにもならないよ!」
先達の一人はヌンチャクの扱いに優れ、時には鯉のぼりをヌンチャクの代わりにして敵を撃破したことがあるらしい。その先達の技をお借りしてこの場を切り抜け、B組のイヤミ君(仮)に獣拳がイカサマでもインチキでもないことを教えてやる!
「常闇君!」
「心得た!」
気合い一閃。ハチマキヌンチャクをイヤミ君(仮)に向けて伸ばした!
『緑谷選手!ハチマキを巧みに操り、物間選手のハチマキを奪取!!物間選手、藪をつついて蛇、いえ……
「や、やるじゃないか……」
「……獣拳は伊達じゃない」
「ハッ!いい気にならないで欲しいね!!僕たちにはまだポイントが残って……」
「何やってんだ物間!全部盗られちまったぞ!!」
「な!?」
イヤミ君(仮)こと物間君の表情が驚愕に染まる。僕が頭のハチマキを取ったのと同時に《ダークシャドウ》で首から掛けた他チームのハチマキも一緒に頂戴したことに気付いていなかったようだ。
「くっ!……ぶ、武器なんて卑怯じゃないのかなぁ!?」
「これもテクニカルだからアリよ!」
「そんな!?」
悔しそうに歯噛みしている間に物間君チームの横を駆け抜け、次のチームのハチマキに狙いを定めて奪取!
『緑谷チーム!さっきまでのガン逃げから打って変わって、次々とポイントを奪っていくぅー!!Brotherが言った通り、藪から飛び出たサーベルタイガーだぜ!!』
「緑谷君!」
「飯田君!」
『残り3分!轟チームが再度緑谷チームの前に立ちはだかります!!』
「言ったハズだ、挑ませて貰うと!取れよ!轟君!!」
クラスでも最速の飯田君だけど、僕もギリギリで対応できる。しかしそれは飯田君本人が一番理解しているハズ、ただ愚直に攻めてくるなんてことはあり得ない!つまり僕たちが知らない切り札が来る!!
「トルクオーバー!レシプロ・バーストォ!!!」
瞬間、轟君チームの姿が消え、一迅の
「……取ったぞ!」
轟君の言う通り、僕の手の中にあったハチマキが消えている。
『HEY!HEY!HEY!!飯田よ、そんなスゲェカード持ってやがったのか!豪快なダッシュで轟チーム1000万奪取ゥ……って、ありゃ?』
『どういうことでしょう、轟チームに加算されたのは
「なんだと!?」
バエさん達の実況によって知らされたことが事実かを確かめる轟君、その手には僕から奪った
『当然だな、いつまでも虎の子の1000万を餌にしているのは非合理的だ。おそらく物間チームから奪った他のハチマキと一緒に首にかけ直したんだろうな』
その通りだ。轟君やかっちゃん以外にも厄介な人しかいない状況で、いつまでも取られやすい所に置いておくほど、僕は自惚れてはいない。物間君の前で1000万ポイントハチマキを外して使って見せたことで、その後も『僕がそのハチマキを使っている』と全員が勝手に思い込んでくれていたのだ。
「クソッ!もう一度だ!!」
「はい!」
「もちろんだ!」
「ネバギバだぜ!」
『320P』と記されたハチマキを握り締めた轟君が声を荒げている。脚を引きずりながらも足掻こうとする飯田君を支えながら八百万さんと上鳴君が僕たちに迫る。
『怒りに燃える轟チーム!今度こそ逆転となるのかーーー!?』
『……いや、もう時間切れだ』
『Time Up!』
マイク先生が嵐のような第二種目の終了を宣言した。
~バエの獣拳アカデミー~
バエ「ゲキヌンチャク!虎を模した特殊合金製のヌンチャク型の武具です!!
出久「激気をチャージするとオレンジ色に輝き、振り回すことで激気が溜まり、破壊力を上げることが可能です!」
バエ「激気を込めることでヌンチャクが直接当たらない相手にも攻撃できます!ゲキブルーに扱い方を教えてもらったゲキレッドが使用していました!!」
出久「今回、僕はハチマキをヌンチャク代わりに使いましたが、いつか使ってみたいですね!」
バエ「さて次回!午前の部が終了して、皆さんお楽しみのお昼の時間ですがなにやら轟さんが出久さんを呼び出すみたいですね?」
出久「峰田君と上鳴君も何か話し込んでるみたいですね、何を話してるんだろう?」
バエ「さらに向こうへ!」
バエ&出久「「Puls Ultra!!」」