僕のヒーローアカデミア:BEAST ON!   作:u160.k@カプ厨

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二話連続更新の第二弾となります。


修行其の十七:グルグル!vs心操!!

「できたよ」

 

『サンキュー、セメントス!それじゃあ、そろそろおっぱじめるぜ!ガチバトル!!最後まで己の力を信じて戦い抜けよ!!』

 

 雄英教師(プロヒーロー)の一人であるセメントスの個性である《セメント》によって造られた武舞台(ステージ)が完成し、決戦の開幕を待つ。

 

『ルールは簡単! 相手を場外に落とすか行動不能にする!あとは「まいった」とか言わせても勝ちのガチンコ勝負です!!』

『ケガ上等!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから!叩きのめしてもOKだ! 』

『ですがもちろん命に関わるようなのはアウトです!ヒーローは(ヴィラン)を捕まえる為に拳を振るうのです!!』

『Hey Guys! Are You Ok!?』

 

「それでは第一回戦を始めるわよ!」

 

『ここまで成績トップってホントに無個性なのか!? 地味なツラしたワイルドビースト!ヒーロー科!緑谷出久!!』

『対するは、素晴らしいガッツでここまで食らいついて来ました!未だその全貌を明かさぬダークホース!普通科!心操人使!!』

 

 抱拳礼の後に構える出久に対して、特に何をするでもなく相対していた心操が口を開いた。

 

「なぁ、緑谷出久。この戦いが何を意味するのか……分かるか?」

「……」

 

『そんじゃさっそく始めよーか!』

 

「……いや、アンタは分かる筈だ。これは『心の強さ』ってのを問われる戦いだ……。強く思う『将来(ビジョン)』があるなら、なりふり構ってちゃいられない……そうだろう?」

 

『Redyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy!!!!!!!!』

 

「……そうだね」

 

『STRAT!!』

 

「前半のアンタの動き、見てたよ……スゴイね、人間鍛えればあんなこともできるんだ、って感心しちまったよ」

「ど、どうも……(な、なんだ!? この感覚……か、体が動かない!)」

「けど、体の強さだけじゃ勝てないよ……」

 

『緑谷選手一体どうしたのでしょう? 突然構えを解いて棒立ちになってしまいましたねぇ』

『心操の個性、《洗脳》の効果だ』

 

「その通り」

(操作系の個性!しかも言葉がスイッチとなって発動するタイプ!意識はハッキリしてるのに身体を動かせない!!) 

「……俺の勝ちだ」

 

『心操、余裕の勝利宣言!コイツァ、いきなり大番狂わせだーーー!!』

『ホント、あの入試は合理的じゃねぇ……データによると心操はヒーロー科と普通科、両方の試験を受けてる。ヒーロー科は落ちる事を想定していたんだろうな……確かに強力な個性だが、実技試験は仮想ヴィランとの戦闘。戦闘能力に作用するものじゃない心操みたいなタイプの個性はあの試験内容じゃ不利なんだよ』

 

(一度発動してから効果の持続時間はどれくらいだ!? 成否の条件は心操君の言葉に反応することでほぼ間違いない! 相澤先生みたいに個性が発動する際になにか徴候(サイン)があるようにはみえなかったけど、もしかして髪が逆立つ? そうなるとあの髪型はそれを隠すためのカモフラージュか……それとも他になにか……って、そうじゃない!今考えるべきはこの状況を打破する方法だろ!)

 

「さすがの獣拳とやらも搦め手には弱かったみたいだな」

 

(クソっ!こんな……こんな所で負けるわけには……っ!?)

 

 肉体の自由を奪われ、それに対して必死に抗っていた出久は己の目を疑った。それもそのはず、そこには『(サーベル)』の如き牙を持つ古代の獣の姿があったのだ。

 

(す、剣歯虎(スミロドン)!? なんで!? いつの間に……それにどこから現れたんだ? 何のために? そもそもすでに絶滅しているはずだ!)

 

『おぉーっと、なんだコイツァ!? 緑谷マジで動かねェぞ!!?』

 

(僕以外には見えてない?)

 

 突如現れたその獣は今の不甲斐ない状態を責めているかのように強い怒りの籠った目を出久に向け、グルグルと喉を鳴らしている。

 

 そして、獣は出久を奮い立たせるかのように咆哮を挙げた!

 

(そうだ……このくらいで挫けているなんて獣拳使いの名が廃る!自分で鍛えた体だろう!!自分の力で取り戻してみせろ、緑谷出久!!)

 

 自分の体を取り戻すことを決意した出久が体に力を入れる。それと同時に心操の声が耳に届く。

 

「そのまま場外まで歩いて行け」

(!)

 

『これでもう決着かぁ!? だとしたら早すぎんぞ……お?』

 

「……どうした? 早く行けよ」

 

『おーっと、これはどうしたことだー!? 緑谷その場で固まったまま動いてねーぞ!!心操の洗脳は失敗しちまったのかー!?』

『いや、あれは……おそらくだが、緑谷が抵抗してるんだ』

『マジか!?』

 

「抵抗してるだと? そんなワケあるか!さっさと場外に行けってんだよ!!」

 

 予想外の事態に焦りを感じて声を荒げるも、出久の体は僅かに震えるだけで動く気配はない。

 

「うぅ……」

「なっ!?」

 

 指を動かすどころか瞬きすら心操の指示でしか行動出来ないハズの出久から呻き声が僅かに上がる。そして……、

 

「ウォオァァァ―――――!!!!!」

 

 獣のような咆哮を上げ、出久は心操の《洗脳》を打ち破った!

 

「っハァ……ハァ……!(いない……)」

 

 荒い呼吸を繰り返し、周囲を見渡すも獣の姿はどこにもなかった。

 

(何だったんだ、今の……)

 

『な、な、な、なんとぉーーー!!緑谷、心操の《洗脳》から脱出ーッ!? オマエなにしやがったんだ!!?』

『衝撃で解ける、とはあったが……制限時間でも切れるのか?』

『あれはまさか!』

『知っているのか、Brother!』

 

 プレゼント・マイクに問われたバエは昔見た戦いの記憶を語りだした。

 

 かつて相手の体を乗っ取り、自在に操る技を持つ邪拳士がいた。その技は『拳聖』と呼ばれる者の体すら奪い、弟子に襲い掛かってしまった。

 なんとか窮地を脱したものの、その拳聖は他の拳聖から叱責され、その獣拳使いとしての在り方や教えには不足があり、未熟であるとされた。

 しかし、その拳聖の初めての弟子であり、その拳聖を敬愛し、慕っていた獣拳使いがその邪拳士の技を師の教えである体の頑丈さと気合いだけで打ち破り、師の教えが正しいことを証明して見せたのだ。

 

 そして心操の《個性》を鍛えた体の力で打ち破ったその光景は、バエにその戦いを想起させるには十分だった。

 

『自慢の個性を破られた心操選手、さすがに動揺しているようです!』

 

 未だかつて自力で《洗脳》から逃れる事が出来た人間は皆無。発動すれば勝利確定な能力が故に、バエの言う通り心操は動揺を隠せずにいた。

 

「そいつもオマエが使う獣拳とかってヤツの力なのかよ……」 

「そうだよ……獣拳を学んで、掴んだ力だ!」

「(効かない!?)チッ!……戦闘向き、なんてお世辞にも言えない個性で入試では散々だった……けど「仕方ない」って妥協したあの日と今日は違うんだよ!」

 

 勝負は仕切り直し。しかし心操にできることは限られている以上、一度切った切り札をもう一度ぶつけるも効果が見られない。

 

「正直、オマエが羨ましいよ……俺はこんな《個性》のお陰でスタートから遅れちまった!オマエには解らないだろうけどな!!」

「確かにね!僕には個性すらなくて、スタート地点に立とうとすることすら否定されてた!!だから持つ者(キミ)の悩みや苦しみは想像すら出来ないよ!」

 

 出久と心操、奇しくも『人は誰でも《個性》を選んで生まれることはできない』と理解している者同士。それ故に互いに譲れないモノがそこにはあった。

 

「俺だって既にヒーローとしての一歩を踏み出しているヤツらに劣っていないことを……ヒーローの素質を持っているってことを証明してやるって決めてんだ!!」

 

『心操選手、どうやら個性ではなく実力行使に切り替えたようです!』

『そりゃそうだろうな、どういうワケか《洗脳》が通用しねぇんだ。むしろそれしか選択肢がないだろう』

 

「僕だってそうだ!」

 

『心操の攻撃を難なく防いだ緑谷、返しの一撃が決まったァ!』

『しかし心操選手、緑谷選手の一撃を耐えています!!』

『普通科と言えども、ここまで来ただけあって中々のタフネスだな。だが、これ以上食らうのは厳しいか……』

 

 相澤教諭の言う通り、出久の一撃は心操の耐久力を限界近くまで削っていた。痛みに呻き、膝に力が入らずにフラフラとよろめくが必死に歯を食いしばって立ち続ける。

 

「(ただのパンチがこの威力かよ!?)やっぱスゲェな……さすがヒーロー科の主席なだけはあるなぁ……!」

 

 大した個性でないどころか無個性。確かに拳法で推薦入学したエリート達とも互角以上に渡り合う出久の努力は想像もつかない程のモノだったのだろう。

 しかし《個性》が、しかも特に強力な《個性》こそが重要視される超人社会の『ヒーロー』と言う存在の中では目を向けられることが困難であるハズの出久がヒーロー科に入れたことは心操を始めとしたヒーロー科志望だった者達にとっては羨ましく、とても悔しいことだった。

 

「……僕がヒーロー科に入れたのは師匠(マスター)に、獣拳に出会えたからだよ。そうでなかったら、雄英(ここ)に来れたかすらあやしいよ……」

「謙虚だね……アンタの師匠ってのがどんな人かは知らないけど、人に恵まれたんだな」

「うん、自慢の師匠(マスター)だよ!」

「そこは即答かよ」

 

 呆れてしまう心操。しかし後日マスター・シャーフーの写真を見て弟子入りを本気で考えるのだが、それについては今は割愛する。

 

「その師匠(マスター)に授かった獣拳、その力を示すよ!激技ッ!!」

「ッ!!」

「穿穿拳ッ!」

 

『緑谷、渾身の一撃がクリーンヒットォ!!』

『心操選手、場外まで吹っ飛んだー!!』

 

「心操君、場外! 緑谷君の勝利!!」

 

『緑谷2回戦進出!!』

 

 出久の勝利に歓声が上がる中、一人立ち上がろうとする心操に手を差し伸べる者がいた。

 

(これがコイツがヒーロー科に入れた理由、か……)

 

 誰でもない、今さっきまで戦っていた出久だった。その姿にずっと抱えていた疑問が氷解した心操はその手を取って立ち上がった。

 

「……俺も、オマエと同じでヒーローに憧れた……」

「……うん」

「……だから今回の結果次第でヒーロー科への編入も検討してもらえる。今回がダメでも俺は諦めない……駆け上がって、絶対にヒーロー科に入ってオマエ……いや、オマエらよりも立派なヒーローになってやる……」

「うん!強くて優しい、()()()()()()の個性を持った心操君ならスゴいヒーローになるよ!!」

「!……ホント、やりにくいヤツばっかだな……」

 

 心操自身も悪用を思い付く、散々『ヴィラン向き』なんて言われていた《個性》。それを受けた出久から真逆のことを言われた。

 

「覚えとけよ、必ず追い越してやる」

「うん、でも僕も追いかける側だから待ってるなんてしないよ」

 

 再度手を差し出す出久に、思わず笑ってしまう。

 

「上等だ……俺が追い越すまで負けんなよ?」

 

 心操もその手を握り返す。

 

「ありがとう!がんばるよ!!」

 

 握手を解き、出久に背を向けて静かにステージを降りた心操を同じ普通科に通うクラスメイトの称賛が迎えた。

 

「カッコ良かったぞ、心操!」

「!」

 

「正直ビビったよ!」

「俺ら、普通科の星だな!」

「入試主席に、前半戦の全競技一位の相手にいい勝負してんじゃねーよ!」

 

 クラスメイトだけでなく、観戦していたプロヒーロー達からも対ヴィランに関してかなり有用な個性だと認め、『相棒(サイドキック)に』と希望する者や心操が普通科に所属していることに難色を示す者、戦闘経験の差がなければどうなっていたかを考える者、皆が口を揃えて心操が『ヒーロー』になることを想像していた。

 それは今さっき出久が言ってくれたことがウソや世辞ではないことの証明となった。

 

「聞こえるか心操、スゲェぞ」

「……」

 

 心操は改めて、ヒーローになることを決意した。そして出久ともどもミッドナイトが涎を垂らして身をくねらせているのを全力でスルーするのだった。

 




~バエの獣拳(?)アカデミー~

マイク「心操人使!個性《洗脳》!洗脳したい相手に意識を集中させて問いかけを行い、それに相手が返答することで相手の体の自由を奪い、簡単な動作を命令することができる!!」
バエ「本人にその気がなければ洗脳スイッチは入らないそうですが、かなり強力な個性ですね!」
出久「人質を取られている場合でも動きを止めたヴィランの制圧と人質の救出を安全かつ同時に行えたり、パニックになっている人を落ち着かせたりと戦闘や救助にバッチリなヒーロー向きの個性ですね!」
バエ「悪用を思いついたり、ヴィラン向きなんて言われ続けてもヒーローになろうとする心操さんは磨けば光る原石のような方ですね」
出久「僕も追い抜かされないように頑張らないと!」

出久「さて次回!」
バエ「ガチバトルのトーナメントはまだまだ続きます!!」
マイク「熱いバトルが繰り広げられるぜ!」

出久「さらに向こうへ!」

バエ&マイク&出久「「「Puls Ultra!!!」」」
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