僕のヒーローアカデミア:BEAST ON! 作:u160.k@カプ厨
『続けていくぜ!第二試合!!スパーキングキリングボーイ上鳴電気!』
『vsストロングテイルファイター尾白猿夫!』
「覚悟しろよ、尾白ォ……この勝負、一瞬で終わらしてやんぜオラァ!」
『なんと上鳴選手、試合前に勝利宣言であります!よほど自信があるようですが、なにか秘策でもあるのでしょうか?』
『どうだろうな……』
上鳴君の個性は「アタリ」ともよく言われる電気系の《帯電》は素早い広範囲攻撃が強い個性だ。遮蔽物などがない場所では防御も回避も困難で、かなり有利なのは確かだ。
どうしても自分の距離まで近付く必要のある尾白君にはやり方次第では完封もあり得なくはない。
ただ際限なく放電できるワケではなく、容量をオーバーすると脳に負荷がかかってショートしてしまう。故に上鳴君の狙いは一撃必殺。しかしそれは尾白君にも読まれていることは解ってるハズ。なにか僕たちの知らない切り札があるのかも知れない。
「な、なぁ、上鳴? なんでそんなにキレてんだ?」
「なん、だと……? 本気で言ってんのか!?」
「あ、あぁ……全く心当たりがないんだが……」
「テメェ……ここで将来が決まると言っても過言じゃねぇ、神聖な雄英体育祭の最中に女とイチャつくという……あのナメきった行動をしらばっくれるつもりかァ!?」
「い、イチャついてたワケじゃない!と言うかそもそも神聖とか言ってるけどオマエと峰田が言えた義理じゃないだろ!?」
「うるせぇ!テメーの次は緑谷だ!!マジでいくぜェ!!!」
「いけぇぇぇーーー、上鳴ィィィーーー!!尾白と緑谷、リア獣共のデリートを許可するぜぇぇぇ!!!」
「「リア獣!?」」
峰田君が目を血走らせながら上鳴君を応援している。
確かに雄英に入ってからは友達と呼べる人が増えたし、遊びに誘って貰えることも多くなった以上、中学の頃までと比べれば「リア充」と呼ばれても遜色はない。
しかしかっちゃん以外の人から殺害予告を受けるほどではないと思うのだが、一体なんなのだろうか?
『なんだァ? 上鳴と峰田、カップルに僻んでやがんのか~? ウケる!!』
「はぁ!?」
「えぇー!? そんなー!私と尾白君がベストカップルだなんてー♪告白だってまだないのにー♪♪」
「落ち着いて透ちゃん。カップルとは言われたけど、ベストとまでは言われてないわ」
「え、なになに!恋!? 恋なの!?」
「まだ、ってどういうことなん!?」
「もしかして透って……」
「こ、これが恋愛トークですのね!」
顔を真っ赤にして慌てている尾白君に対して、葉隠さんは満更でもないようで両手で頬を抑えながら身体を横に振っている。その周囲では芦戸さんを筆頭にA組女子が今にも恋愛トークでも始めそうな雰囲気だ。
「いいわね、恋バナ!私もあとで混ぜなさい!!そろそろ試合を始めるわよ!!」
いつの間にかB組の女子も加わっていた恋愛トーク大会に参加を表明したミッドナイト先生の宣言に、ビリビリと電流を迸らせる上鳴君と構える尾白君。
『よっしゃ、いくぜ!Are You Rady!? 第二試合、START!!!』
臨戦態勢の両者の戦いはマイク先生によって火蓋が切られた!
『先に動いたのは尾白!上鳴に向かってダーッシュ!!』
『迎え撃つ上鳴選手!血涙と噛みしめた唇から血を流しながら、その場で両手を一度振り上げたぁ!!』
「くたばれ尾白ォ!全力全壊、無差別放電130万ボ「隙だらけだ!」ブフォッ!!?」
『尾白の強烈なボディーブローが決まったァ!』
『無防備に両手なんかあげてりゃそうなるな……』
「へぼぁ!!?」
『上鳴選手の身体がエビのように折れ曲がったところにアッパーが炸裂ゥ!!』
「これで……決まりだ!」
『宙に浮いた上鳴選手にさらに上段蹴り、尻尾の薙ぎ払い、そして上段後ろ回し蹴りの三連撃が決まったァーーー!!!』
強烈な空中コンボを食らって蹴り飛ばされた上鳴君は激しく地面を転がり、場外スレスレの所でようやく止まった。しかし、顎に食らったアッパーと蹴りのダメージは相当のモノだったらしく、立ち上がる様子がない。
「う、うぇ……い……」
「上鳴君、気絶により戦闘不能!尾白君の二回戦進出!!」
「か、上鳴ィ~!」
峰田君の悲痛な声を他所に残心する尾白君。
「やったー!尾白君が勝ったー!!」
しかし葉隠さんの声には反応したらしく、またもや尻尾が激しく荒ぶっていた。
----------。
続く第三試合も一瞬の決着だった。
瀬呂君の《テープ》が轟君を捕縛し、場外に投げ飛ばそうとするまでは良かった。しかし、轟君はテープごと瀬呂君を氷結させただけでなく、氷山のような大氷塊を作り出すとその中に閉じ込めて戦闘不能にしてしまったのだ。
相手が悪かった、とでも言うように送られるドンマイコールは瀬呂君のトラウマになってしまわないかちょっと心配だ。
「や、やりすぎだろ……」
「……ワリィ」
第四試合、結果だけなら飯田君が勝利した。
しかし発目さんは自身が製作した
「だ、騙したなぁーーー!?」
「すみません。あなたを利用させて貰いました」
「嫌いだ!キミィィィーーー!!!」
第五試合は文字通りの先手必勝だった。八百万さんは事前に武器を創造していたが、彼女が行動を起こすよりも早く常闇君が《
第六試合、青山君は《ネビルレーザー》の
一回戦の中でもっとも会場が沸いたのは、硬くなることで最強の矛と最硬の盾にもなる《硬化》の切島君と打撃を与えた箇所に任意のタイミングでもう一度打撃を発生させ、二度目の打撃は数倍の威力となる《ツインインパクト》という個性を持つ庄田君の第七試合だろう。
互いに真正面からただひたすらに殴り合うという、シンプルな試合内容。だがその硬度は斬りかかった刃物を逆に破砕し、身体中が鋭利な刃物のようにもなる切島君と一度の打撃が二発分以上の威力を持つ庄田君の殴り合いはまさに接戦。そして最後に打ち勝ったのは切島君だった。
「いい試合だった……!」
「あぁ、君の優勝を祈らせて貰う」
互いに握手をしながら健闘を称えあう両者の姿はとてもカッコ良かった。
そして第八試合、かっちゃんと麗日さんの対戦。
麗日さんは対象に触れることで力を発揮する個性なだけあって、必然的に相手に接近しなければならない。しかしその対象があのかっちゃんだ。そう易々と触れさせないどころか、手加減のない爆破で迎撃していた。
それでも何度も立ち上がり、突進している麗日さんが無策のワケがないと見抜いたかっちゃんは警戒し、勝負を決めかねていた。
だがその様子に気付かなかった一般の観客だけでなく、こともあろうに一部のプロヒーロー達からブーイングが上がった。それはかっちゃんはもちろん、麗日さんに対する侮辱だ。
怒りの余り叫びそうになるも、その必要はなかった。
『今言ったのプロか? 何年目だ? シラフで言ってんならもう観る意味ねぇから帰って求人情報誌でも読んでろ』
相澤先生の静かな一喝。
『ここまで上がって来た相手の実力を認めてるからこそ警戒してんだろう……本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断もできねぇんだろうが』
会場内は水を打ったように静まり返った。
そしてかっちゃんと麗日さんの試合は中断されることなく続行され、いよいよ最終局面を迎えると麗日さんが仕込んでいた秘策が牙を剥いた。
麗日さんとかっちゃんの頭上にはいつの間にか、無数の石片が空を埋め尽くさんばかりに浮かんでいた。その正体は《爆破》で破壊されたステージの破片だった。麗日さんはその石片を突進と爆炎で悟らせることなく、《
そして《無重力》を解除された無数の石片は、さながら流星群の如くかっちゃんに向かって降り注いだ!
しかし麗日さんの捨て身の秘策は、かっちゃんの一撃で粉砕されてしまった。必殺の攻撃を破られた麗日さんはついにキャパオーバーを迎えてダウン、かっちゃんの勝利を持ってトーナメントの一回戦は終了した。
ーーーーーーーーーー。
「うわぁ、かっちゃん……」
「ンだテメェ!何の用だ、死ねカス!!」
スタジアムないの通路で何の偶然か、試合を終えたばかりのかっちゃんとバッタリ遭遇していた。
「(死ねカスって……)次は僕の番だから控え室で準備をしに行くんだ。あと、一回戦、突破おめでとう……じゃあ」
「……テメェの入れ知恵だろ。あのクソみてーな捨て身の策は」
背後からの問い掛けに再び足を止める。
「厄介なことしやがって、フザケんじゃ「違うよ」あ?」
確かにかっちゃんを筆頭にヒーローやクラスメイトの個性を観察し、分析、研究している僕が麗日さんになにかしらのアドバイスをしたと考えるのは普通のことだろう。しかしそれは違う。
「全部、麗日さんが君に勝つために考えて組んだんだ」
麗日さんとかっちゃんの試合前、激励に行った僕はかっちゃんの研究結果から考えた対抗策を麗日さんに伝えようとした。しかし麗日さんにはその申し出を断られてしまった。
「僕の考えた対抗策に頼らず、麗日さんは正々堂々と君と戦った」
「……」
「厄介だと感じたならそれは……麗日さんが君を翻弄したんだ」
「……!」
----------。
「いやー、負けてしまった!」
出張保健室に担ぎ込まれた麗日さんはバツが悪そうに笑っていた。
「最後の最後で勝った!と思って油断しちゃったよ、くっそー!」
ケガについてはリカバリー・ガールの《治癒》によってすっかり良くなっているようで一安心ではある。しかし無理に笑っているその姿に僕は何も言えずにいた。
「いやー。やっぱ強いね爆豪君は!真正面からブチ破られちゃったよ、もっと頑張らないといかんね、私も!!」
「麗日さんは頑張った!十分凄かったよ!!」そう言いたかったけど、口に出すことはできなかった。
かっちゃんを相手にあそこまで戦える人がどれだけいるか。かっちゃんは勿論、観戦しているプロにすら気付かせずにあれだけの仕掛けを作りながら戦える人がどれだけいるか。
それを考えれば賞賛すべき戦いだった。少なくても僕はそう思う。
『Hey!Guy`s!!ステージの修復が終わったぜ!!』
『間もなく第二回戦の第一試合を開始します。参加選手は集合してください!ブンブーン!!』
「あ、じゃあ……僕、いくね」
「うん!二回戦、見てるから!!がんばってね、デク君!!」
「うん!」
麗日さんのエールを受けて出張保健室を出る。すると中から誰かと話しているらしい麗日さんのすすり泣く声が聞こえてきた。
……情けない。慰めの言葉も掛けられず、逆にまた背中を押して貰ってしまった僕自身がとても情けなかった。
~バエの獣拳(?)アカデミー~
マイク「上鳴電気!個性《帯電》!体に電気を纏わせ放出する事ができるぞ!!」
出久「かなり強力な電気を放出できて、自分を中心とした範囲攻撃は相手が数十人居ても余裕で制圧するほどです!」
バエ「しかしあくまで電気を「纏うだけ」の能力であるため自力で指向性を持たせたり等の緻密なコントロールは出来ないようですね。よって味方が近くにいると巻き込むため基本的に強い力は使えないようでもあります」
マイク「麗日とおなじで自身の限界、許容ワット数を超える電力を使用すると、脳がショートし一時的に著しいアホになっちまうぜ!ウケる!!」
出久「さて次回はいよいよ二回戦が始まります!」
バエ「初戦は尾白さんと出久さんのバトルです!」
マイク「拳法使い同士の対決!どうなるか楽しみだな!!」
出久「尾白君も強力なライバルの一人、負けないように精一杯やるだけです!」
バエ「さらに向こうへ!」
マイク&バエ&出久「「「Puls Ultra!!!」」」