僕のヒーローアカデミア:BEAST ON!   作:u160.k@カプ厨

20 / 20
一年半ぶりに投稿させて頂きました。

正直、キラメイジャーのゲキレンジャーコラボ回の時に更新したかったです……。


修行其の十九:シュバシュバ!vs尾白!!

 雄英体育祭、ガチバトルトーナメント。

 次の対戦カードは次のように決まった。

 

 緑谷vs尾白。

 轟vs飯田。

 常闇vs芦戸。

 切島vs爆豪。

 

『さーて、始めて行くぜ二回戦!』

 

「まだ始まっとらん? 見ねば!」

「間に合ったか、麗日く……って、目を潰されたのか!?」

 

 晴れ上がった瞼に驚く飯田に「大丈夫」と答えながらステージを見やる麗日。ステージの上には次の出場者が対峙している。

 

『第一試合、緑谷選手vs尾白選手!どちらも拳法を駆使して闘う者同士、熱いバトルが期待されます!!』

 

(尾拳、初めて戦う拳法だ。……けどその名前や先の上鳴君との一戦からして尾白君の《尻尾》を十全に生かすものであることは明白。拳打や蹴り技を筆頭にあの強靭な尻尾の一撃は、それこそ必殺の一撃。それでも僕にできることを、全力を尽くすだけだ!全力で行くよ、尾白君!)

(緑谷、騎馬戦の時に言った通りだ。友達として、ライバルとして挑ませてもらうぞ!)

 

 互いに一礼して構えを取る。

 

『準備万端だな!ならいくぜ!? 二回戦第一試合……START!!

 

「ハッ!」

「ハァッ!」

 

『試合開始と同時に駆け出した両者の拳が正面から衝突ー!炸裂音と共にその間にあった風を弾き飛ばし、ステージ上の埃や砂が宙に舞っています!!』

『そんなことを気にする様子もねぇ尾白と緑谷!次は目にも止らぬ高速パンチの応酬ゥッ!!』

 

「ヤァァァァーーーーッ!」

「ハァァァァーーーーッ!」

 

 両者の腕が無数に分裂し、障子が自分のお株を奪われかねないと思う程の凄まじい連打が交差し、無数の打撃音が響く。風を切りながら互いの拳を防ぎ、攻撃を躱す。

 

「シッ!」

「ハァッ!」

 

『連撃の打ち合いが、互いの拳を片手で受け止めあうことで止まったー!動から静へ、今度は拳と受け手による力比べのようであります!』

『同じくらいのガタイの両者!しかしタッパがある分、尾白が若干緑谷を押してるかぁ!?』

 

「ぬぅぅぅ……!」

「くぅ……!」

「隙ありだ!」

「!」

 

 プレゼント・マイクの実況通り、若干押され気味ながらも全身に力を籠めていた出久。しかしそれは尾白の一撃で崩された。

 

『尾白の尻尾による槍のような鋭い一撃ィィィーーーッ!』

 

 並みの相手であれば勝負が決まっていたであろう一撃は出久の頬を裂き、鮮血が宙を舞うが出久にそれを気にする余裕はない。

 

「ハァァァッ!」

「!(さすが尾白君!拳速が早い!!)」

 

『尾白選手!正確さと速さ、そして威力のある拳を次々と繰り出しています!!』

『緑谷もそれらを的確に見切り、防ぎ、かわしてるゼ!』

 

「(これくらいは当然見切るか……)なら、これはどうだ!」

 

『拳打を受け流された尾白選手、勢いを利用した後ろ回し蹴り!しかし緑谷選手、下に屈んで回避!!』

 

「がっ!?(正面!?)」

 

『なんとぉ!? 追撃のストレートが体勢を戻そうとした緑谷の顔面に直撃ィ!!』

 

「まだまだぁ!」

 

『尾白選手、その機を逃すまいと攻勢を仕掛けたァ!上段蹴り!後ろ回し!そしてぇ……!尻尾によるムーンサルトが決まったァーーー!!!』

 

「ぐうぅぅぅ……っ!!」

 

『しかし緑谷、これを耐えたーーーッ!』

『顔面の一撃からの蹴り二発とムーンサルト……威力を巧く殺してはいるが入ったダメージは小さくないだろうな』

 

 尾白の流れるような連撃、それを耐えた出久に歓声が上がる。

 

「さすがに耐えるか」

「まだまだ、……これからだよ!」

 

 「予想通り」と言いたげな尾白に対して、出久も口元の血を親指で拭うと、反撃を開始する。

 

「激技!打打弾!!」

 

「ッ!(達人ともなれば10秒で1000発の拳を叩き込むと言う技か!実際に食らうとそれが誇張じゃないってイヤでもわかる!!)「そこだ!」しまっ……!?」

 

『お返しとばかりに尾白選手の防御を打ち破り、今度は緑谷選手の連撃が尾白選手に炸裂ーーー!!!』

 

 並の相手ならばなす術もなく倒されるだけの怒涛のラッシュが次々に決まる。が、尾白はその程度で倒されるような男ではなかった!

 

「……負け……るかぁっ!」

「ッ!?」

 

『な、なな、なんとぉ!尾白選手、緑谷選手の機関銃のような連撃にむしろ自分から突っ込んでいるゥーーーッ!?』

『なんつーtoughness!』

 

 拳打の嵐に飛び込む尾白は出久に接近しながら必殺の一撃を仕掛ける!

 

「行くぞ! 尾拳!」

「!」

 

「尾空旋舞ッ!!」

 

 攻勢から強引に防御に切り替える出久の反応を待つはずもなく、尾白の放った強靭な尾撃が叩き込まれる。

 脚よりも太く、自分の体重も軽々と支えられるほどの筋力を備えた尾の一撃に出久は己の骨が立てた嫌な音を聞いた。

 

『尾白選手の尾拳が炸裂ゥー!緑谷選手を吹っ飛ばしたー!!』

『これは決まっちまったかァー!?』

 

 しかし、

 

「(どうだ、緑谷!)なっ!? ぐあぁぁっ!?」

 

 渾身の連撃を決めた尾白の眼前には獣の鋭牙が迫り、次の瞬間には己を捉えていた。

 

『なんと緑谷、ブッ飛ばされながらも反撃ィーーーッ!!』

 

(俺の尾空旋舞(ワザ)を喰らいながら穿穿弾(ワザ)を出すかよ!)

 

 武舞台を激しく転がる出久と尾白。しかし両者ともそのまま倒れることなどなく、素早く起き上がる。その眼には未だ激しく闘志の炎が燃えている。

 

(さすが尾白君だ……火災ゾーンという過酷な状況でたった1人、大勢のヴィランを無力化してた実力は伊達じゃない!)

(緑谷はやっぱりスゴイな、対オールマイト用の改造人間なんてのを倒したのも納得だ……)

(……けど!)

(……だからこそ!)

「尾白君に……」

「緑谷に……」

「「勝つ!!」」

 

 瞬時に呼吸を整え、互いに構えを取る。

 

「激技!」

「尾拳!」

 

『緑谷、尾白に向かってダッシュッ!』

『対する尾白選手、尻尾を地面に叩き着けて跳躍!さらに空中で独楽のように回転を始めました!!』

『空中からの落下による加速、それに回転による威力の向上が狙いだろうな』

 

「穿穿拳!!」

「尾空旋舞!!」

 

『緑谷選手の鉄拳と尾白選手の尻尾が激突!!』

『スッゲェ炸裂音!!けどソレ人体のパーツ同士がぶつかって出る音かァッ!?』

『いいえ!ただの人体の一部のハズがありません!互いの意地と魂が宿った技のぶつかり合いだァーッ!!』

 

「グゥゥゥッ……!」

「ハァァァッ……!」

 

『互いに正面から放たれた技と技!その軍配は……尾白選手に上がったァッ!!』

『緑谷の拳が弾き飛ばされたァ!万事休すかァ!?』

 

「これで決める……!」

 

 穿穿拳を破り、追撃の尾空旋舞での勝利を狙う。

 それは友であり、ライバルと認めた男への誓いを果たすため。そして、己に力をくれる少女の応援に応えるため己の尾を走らせる。

 

「まだだ!」

「!?」

 

 しかし出久も勝利を諦めない。

 己が志を貫くため、人知れず涙を流した少女の激励に応えるために拳を突き上げた!

 

「左の穿穿拳……!?」

 

 尾白の腹に叩き込まれた左の拳打。それは今まで穿穿拳を右拳で放つところでしか見ていなかった葉隠達は勿論、当の尾白をも驚かせるには十分だった。

 

『なんと緑谷、左の拳を尾白に叩き込んだァッーーー!!!』

 

「ガハッ……!」

 

 尾空旋舞(ワザ)を放った直後、追撃を放とうとするその一瞬の隙。決して無防備とは言えないその隙に叩き込んだ出久の渾身の一撃は尾白の意識を刈り取った。

 

「尾白君、気絶により戦闘不能!緑谷君、三回戦進出!!」

 

 ーーーーーーーーーー。

 

「尾白なら緑谷の少し後に出て行ったよ」

 

 リカバリーガールの言葉に『透明』の個性を持つ私が肩透かしを食らった。

 治療を受け、意識が戻った尾白君は緑谷君に激励の言葉を送ると「後から戻る」と言っていた。と応援席に戻った緑谷君から聞いた私。

 出張保健室を出た後、尾白君を探して歩き回っていた私は人目に付き辛い一画でようやくその姿を発見した。

 

「お、いたいた」

「……葉隠さん」

 

 地べたに座り、俯いていた尾白君の隣に座る。

 

「……どうしたの? そろそろ次の試合が始まるんじゃないか?」

 

 それは尾白君にも言えることだけど、それは口に出さない。 

 

「いやー、応援してたらのど乾いちゃって、ちょっとキャラメルマキアート買ってくるね。って抜け出して来ちゃったのさ!」

 

 そうなんだ。と俯いたまま返す尾白君。

 

「それにしても尾白君達、ホント凄かった!なんかこー、シュバシュバーって!」

「あぁ」

 

 試合を終えた2人を真似てパンチを繰り出す私に対する尾白君の返答は心ここにあらず、と言った風だった。

 その後はしばらく無言の時間が続く。観客や生徒の歓声、プレゼント・マイクとバエさんの実況が遠くから聞こえている。

 

「……緑谷の打打弾を受けて判ってたんだ、左右の威力に差異がなかった。……ならば左でも穿穿拳や他の技を右と遜色ない威力で出せる、って」

 

 ポツリポツリと呟き始めた尾白君。同じ拳法使いで、緑谷君と直接戦った彼だからこそわかった事や予測出来た事。

 それが勝負の決め手となったことが悔しいのだろう、その肩が震えている。

 

「けど自分の技で緑谷の技に撃ち勝ったことで勝ちを確信してしまったことでそれを忘れた……自分が情けないよ……」

 

 そう言って項垂れる尾白君。

 

 気付けば私は小さくなってしまった彼を抱きしめていた。

 

「は、葉隠さん!?」

 

 抱きしめられて驚いている尾白君。正直私も恥ずかしいけどそれより大事なことがある。

 

「尾白君は情けなくなんかないよ……。巨大ロボットをブッ飛ばしちゃうようなパンチの緑谷君に真正面から立ち向かって、技のぶつけ合いでも撃ち勝ったじゃん!情けなくなんか絶対ないよ!!」

「葉隠さ……」

 

 尾白君の声が震えている。

 

「私は透明だからさ、今は尾白君以外誰もいないよ? ……だから、……ね?」

「……」

 

 尾白君のおっきな体が静かに震えて、ポタポタと水が落ちて地面を濡らす。

 

「……折角の体育祭なのに、急に雨が降るなんて困っちゃうね」

 

 そう言う私が見上げた先にはどこまでも突き抜けるような青空が広がっていた。




バエの獣拳(?)アカデミー~

マイク「障子目蔵!個性《複製腕》!肩から生えた2対の複腕の先端に、自身の体の器官を複製できる!現在確認されているものは手、口、目、耳なんかでレーダー役には持ってここいだ!!」
出久「複腕の先に複製した器官は本来のものより強化されているようです!ちなみに普段話す時も複腕に作り出した口で話してます。」
バエ「レーダー役だけでなく、優れたフィジカルを生かして騎馬戦時のような攻防にも秀でた戦闘能力の高さも伺えます!そして何より、USJの時のように仲間の盾となることを躊躇しないヒーロー精神溢れる好青年でもあります!」
マイク「縁の下の力持ち、能ある鷹は爪を隠すを地で行くCool guyだぜ!」
出久「ガチバトルトーナメントもまだまだ続きます!」
バエ「白熱するバトルに私達の実況魂もベランベランです!」

マイク「さらに向こうへ!」
マイク&バエ&出久「「「Puls Ultra!!!」」」

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