僕のヒーローアカデミア:BEAST ON!   作:u160.k@カプ厨

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修行其の四:モサモサ!個性把握テスト!

 雄英高校の入試から数日、出久の元にも合否判定の通知が届いた。

 

『私が投影された!』

「お、オールマイト!?」

 

 三角形の機械から映された立体映像、それはスーツ姿のオールマイトだった。

 

『入試お疲れ様!そしてあの事件以来だね、少年!なぜ私がって? それは私がこの春から雄英に教師として勤めるからさ!』

 

 出久も含めた受験生達にとって、この情報は想定外のサプライズ発表となっただろう。

 立体映像のオールマイトの説明によれば、出久は筆記試験は問題なく突破。そして次に実技試験についての講評となった。

 仮想ヴィランロボを撃破することで得られる『(ヴィラン)ポイント』の他にもヒーローの重要な素質をそこでは測っていた。

 

 それは守るべき一般市民を、そして同じ仲間(ヒーロー)を助けようとする行動。それは『救助活動(レスキュー)ポイント』としてカウントされていた。

 

『『人助け』を、『正しい事』をする人間を排斥するヒーロー科などあっていい筈が無い!綺麗事? 大いに結構!綺麗事を実践するのがヒーローのお仕事さ!ちなみにこれは厳粛な審査制!そして……君のレスキューポイントは60ポイント!おめでとう!首席合格だってさ!』

 

 感無量。

 

 それ以外に出久が己の感情を表現する言葉が見付からなかった。鼻の奥がツンと熱くなり、目尻から涙が溢れる。

 

『ところで緑谷少年、私は君に謝らねばならない……あのヘドロ事件の折り、君の(チカラ)が……いや、()()が個性ではないことを証言することしか出来なくて本当にすまなかった!』

「!」

 

 あのヘドロ事件の時からずっと気になっていたこと、オールマイトは獣拳を知っていると言う予想は出久の中で確信へと変わった。

 

 確かに獣拳はどこかの一子相伝の暗殺拳のように秘匿された拳法ではない、それ故に知っていたとしてもおかしくはない。それでも世界人口の八割が個性を持つ超人社会となって以降、学ぶ人も少なくなってしまった獣拳を知っている。

 もしかしたらどこかへ去ってしまった師、マスター・シャーフーの行方についても知っているかもしれない。そんな期待を抱かずにはいられなかった。

 

『なぜ私が獣拳を知っているか……それを知りたくば来いよ!雄英に!ここが!君のヒーローアカデミアだ!!』

 

 感涙に咽ぶ出久は立体映像のオールマイトが消えるまで抱拳礼を取っていた。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

 

 桜が舞う四月某日、憧れの人物が待つ雄英高校に入学した出久は今日から一年間通う『1年A組』のプレートが掲げられた教室の前に立っていた。

 

(デカイ扉……バリアフリーなのかな?)

 

 多種多様な個性に対応しているであろう雄英の意識の高さに感心しながらその扉を開くと、幼馴染みの爆豪といかにも真面目と言った雰囲気の眼鏡の青年が激しく言い争いをしていた。

 

「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者の方に申し訳ないと思わないのか!?」

「思わねぇよ!テメェどこ中の端役だ!?」

「俺は聡明中の飯田天哉だ!」

「聡明中? エリートってヤツか、ブッ殺し甲斐がありそうだなぁ!!」

 

 相も変わらずに『本当にヒーロー志望か?』と問いたくなるような言動の幼馴染み。そんな彼と言い争いをしていた飯田なる人物にある種の尊敬の眼差しを送っていた出久に強靭な尾を持つ男子生徒が話し掛けてきた。

 

「初めましてだよな、俺は舞木戸中の尾白だ」

「あ、僕は緑谷!よろしくね、尾白君!」

「こちらこそ。いきなりだけど実は俺、緑谷と同じ試験会場だったんだ。……それで、あの動きなんだけど……もしかして獣拳か?」

「! 尾白君、獣拳を知ってるの!?」

「あぁ、俺も拳法を学んでいる身でね。一度獣拳使いの動きを見たことがあるんだ」

 

 予想外なところで獣拳を知っている人物に会えたこと。互いに拳法を学ぶ者同士で盛り上がっている最中、出久の背後から麗らかな声が掛けられた。

 

「あ!その緑のモサモサ頭は!」

 

 そこにいたのは入試の日に出久を助け、出久が助けた少女だった。

 

「やっぱり合格してたんやね!あのパンチ凄かったもんね!」

 

 興奮している風に高いテンションで腕をブンブンと振り回す麗らかな少女は気付いていないのか、ズンズンと出久との距離を詰めて来る。しかし、それは女子に対して耐性が低い出久をパニックに陥れていた!

 

(ち、近いぃ~!!)

「今日って、入学式とガイダンスだけなのかな? 担任先生ってどんな人になるのかな?」

「お友達ごっこがしたいのなら他所に行け」

 

 楽しみで仕方ない。と言った少女の、いやA組の生徒達のテンションは突如現れた寝袋に入った無精髭を生やした謎の男の気だるそうな一言で鎮静化された。

 

「ハイ、静かになるまで8秒掛かりました。時間は有限、君達は合理性に欠けるね」

 

 謎の寝袋男(仮)は教卓に立つと、出久達の疑問に答えるように自ら正体を明かす。

 

「担任の相澤消太だ、よろしくね。早速だが、これに着替えてグラウンドに出ろ」

 

 そう言うと、担任の相澤は寝袋から学校指定の青いジャージを取り出した。

 

 -------------------------。

 

「ではこれより個性把握テストを行う」

「いきなりですか!? それに入学式は!? ガイダンスは!?」

「プロになるならそんなモノ出てるヒマはない。時間の無駄だ」

 

 突然の発言にクラスを代表するように麗らか女子が質問する。しかし、けんもほろろ。そのまま相澤教諭によるこのテストの説明が始まった。

 

「君たちも中学までやっていた体力テスト、それに個性の使用を許可した状態で行って貰う」

 

 手本として指名されたのは出久……ではなく、爆豪。

 爆豪の『死ねェ!!!』と物騒な掛け声とともに投げられたボールは爆破の勢いと爆風、そして持前の強肩により700メートル越えの記録を叩き出した。

 

「なにこれ、楽しそう!」

「個性を思いっきり使えんのか!さっすが雄英ヒーロー科!」

 

 早速の好記録と個性の使用が解禁されたことに沸き立つ生徒たち。しかしその雰囲気に水を差す一言が相澤教諭から告げられた。

 

「楽しそう、か……これからの三年間でそんな腹づもりでいく気なら……そうだな、こうしよう。トータル成績最下位の生徒は見込みなしと判断して除籍処分としよう」

 

 その一言で一気に緊張感が高まる。『理不尽だ』と抗議の声が上がるも、出久はそうは思わなかった。

 

「世の中は常に理不尽で溢れてる……自然災害やヴィランによる事件。この程度の理不尽は軽く、それこそ笑って乗り越えられるくらいじゃないとヒーローにはなれない……」

 

 無個性。それ故に辛酸を舐め続けた出久の何の気はない独り言。そのつもりだったが、それは相澤教諭どころかクラスメイト達の耳にも届いていた。

 

「緑谷の言う通りだ。放課後に遊びたいと思っているなら諦めろ。これから三年間、俺達教師陣はお前たちに様々な苦難を与えて行く。入試でも言われただろ、Plus Ultra。その精神で乗り越えろ」

 

 そして、雄英最初の試練(体力テスト)が幕を開けた。

 

 50m走を4秒で走破したことから始まり、握力200kgを記録した。

 尾白と接戦を繰り広げた上体起こしは一位を獲得。他にも長座体前屈、走り幅跳び、幅跳び、反復横跳び、垂直跳び、ハンドボール投げなどを出久は二位、三位の記録を勝ち取り、持久走では個性によりバイクを作り出した推薦入学枠の女子に追走するなど桁外れの実力を示した。

 

 そして総合結果で出久はクラス二位に食い込む健闘を見せた!

 

 その結果に納得のいかない四位の爆豪が出久に、『個性を隠していたのか』だの、『入試や今回も不正をおこなったのか!』と跳びかかった所、相澤教諭によって捕縛されるというアクシデントがあったものの個性把握テストは()()()()()()()()()()()()終了した。

 

「ちなみに『最下位は除籍』というのは、君ら生徒を焚き付けるための合理的虚偽(ウソ)ね」

「あんなの嘘に決まってるじゃない。ちょっと考えれば分かりますわ」

 

 茫然自失とする飯田たちを他所に一位を勝ち取った八百万は呆れていた。しかし実は内心一番危険なのは自分だと、一歩間違えれば除籍されていたと感づいている者がいた。

 

(ウソ、っていうのがウソだ。あれは本気の目だった……おそらく第一候補は……緑谷出久(ぼく)だ)

 

 相澤消太。相手の個性を消す『抹消』の個性を持つヒーロー・イレイザーヘッドの名を持つ彼は過去に154回、昨年に至ってはクラス全員を除籍処分にしている。

 その彼にこの場で除籍を言い渡されなかったということは、基準点(ボーダーライン)をクリアできたのだろう。最下位だった故に安堵の涙を流す峰田実と同様に、出久の背中にも冷たいモノが伝った。

 

 -------------------------。

 

「緑谷、途中まで一緒に帰らないか?」

「う、うん!喜んで!」

 

 尾白が誘ってくれた誰かと一緒に帰る、ということ。それは無個性ということで蔑まれて来た出久にとって、久しぶりのことだった。

 

「すまない、尾白君!緑谷君!俺も同行させてもらってもいいだろうか!」

 

 さらにそこに同行を希望してきたのは今朝、果敢にも爆豪に注意していたメガネ男子・飯田だった。

 

「俺は構わないよ」

「僕も大丈夫だよ!」

 

 聞けば飯田も同じ入試会場におり、出久が『あの試験の全貌を見抜いていたのでは?』と感心していたらしい。しかし出久が正直にそうではないことを伝えても『君の行動は紛れもなく尊敬に値すると』より感心した様子だった。

 そして三人の話題は今日の個性把握テストへと移行した。

 

「それにしても相澤先生にはしてやられたよ」

「全くだ!俺も『これが最高峰!』かと思ってしまったよ」

 

 昇降口まで出た所で、麗らかな声の少女と宙に浮かぶ女子の制服が出久と尾白を追い掛けて来ていた。

 

「おーい、お三方!駅までー?」

「待ってー、一緒に帰ろ―!」

「む!君たちは無限女子に透明女子!」

「麗日お茶子です!飯田天哉君に緑谷、デク君?」

 

 麗かな雰囲気の少女・麗日お茶子は出久の名前を誤読していた。

 

「あ、いや、あれで『いずく』って読むんだ。デクはかっちゃんが僕をバカにして付けたあだ名というヤツでして……僕は小さい頃は何ができるってワケでもなかったし、無個性だし……」

「蔑称、と言うヤツか」

 

 飯田と尾白の表情が険しくなる。心なしか透明少女も怒りのオーラが滲んでいる気がする。

 

「そうなんだ、なんかごめんね!爆豪君がそう呼んでたからてっきり……でも『がんばれ』って感じで好きだ!私!」

「デクです!」

「「おい!」」

「浅すぎるぞ、緑谷君!」

「コぺルニクス的転回……」

 

 物事の見方が180度変わってしまう事を比喩した言葉。それくらい出久にとって麗日の言葉は衝撃的だった。

 一方、ギャグ漫画レベルの出久の簡単(チョロ)さに、思わず尾白と声を重ねてツッコんでしまった透明少女は鈴のような声で笑っていた。

 

「あはは!被っちゃったね!葉隠透だよ!えっと、尾白猿夫(さるお)君?」

猿夫(ましらお)ね。よろしく、葉隠さん」

「ところで尾白君!尻尾モフらせて!」

「いきなりだね!?」

「だって気持ち良さそうなんだもん!」

「理由になってなくない!?」

「いいじゃん、いいじゃん!ちょっとだけー!」

「おー、葉隠さん、もう尾白君と仲良しだね!」

「うん!マブダチだよ!」

(相澤先生は『お友達ごっこがしたいなら他所へ行け』なんて言ってたけど、今くらいはいいですよね? オールマイト、マスター……)

 

 学生になって初めてかもしれない程に楽しく、賑やかな帰り道。

 入学初日からそんな友人に恵まれたことを獣拳の神と師シャーフー、そしてオールマイトに感謝する出久だった。

 




~??の獣拳アカデミー~


??「激獣剣歯虎(スミロドン)拳!我らが出久さんが修めている獣拳です!」
出久「まさか原始時代の猛獣とは予想できなかったなぁ…」
??「主な激技(ゲキワザ)は激気のスミロドンを螺旋回転しながら相手に突撃させる《穿穿弾》!」
出久「もう一つは高めた激気を集中させた拳を相手に直接打ち込む《穿穿拳》!もっと修行してさらに高みを目指さないと!」
??「そんな出久さんはとうとうヒーローとしての最初の授業に臨むみたいですね!そしていよいよ私も本編に登場予定です!」
出久「さらに向こうへ!」
出久&??「「Plus Ultra!!」」
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