僕のヒーローアカデミア:BEAST ON!   作:u160.k@カプ厨

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修行其の六:ギラギラ!こっからだ!

 なんとか勝利で終われた戦闘訓練。モニタールームに戻った僕たちは、オールマイトと見学していたクラスメイト達による講評を聞くことになった。

 

 オールマイトがこの戦闘のMVPが誰かを尋ねると、八百万さんの手が挙がった。

 

「飯田さんです。飯田さんは設定された状況に最も真面目に取り組んでいただけでなく、麗日さんの個性の対策として事前に室内のモノを隠していたことなどの最善の行動をされていたからです」

 

 敗北して落ち込んでいた飯田君だったが、推薦枠で入学したという八百万さんにMVPに選ばれたことで見事復活を遂げていた。

 

「おや、勝利した麗日さんと出久さんではないんですね?」

「緑谷さんは相手の奇襲を受けながらも仲間を守り、先行させた判断は良いのですが、オールマイト先生ですら危険と断じる攻撃を避けもせず、正面から立ち向かうのは一概に褒められたことではありません。一歩間違えれば怪我では済まなかった可能性がある以上、大きなマイナスです」

 

 確かにそうだ。入試の時には『これが実戦なら』という考えが出来ていたにも関わらず、今回は変に意地を張ってしまった。僕もかっちゃんに対して思う所があった。今回はそれが強く出てしまったのは間違いない。

 雄英(ここ)は『ヒーローになるための学び舎』であって、『かっちゃんに僕を認めさせる場所』ではない、という当たり前のことがわかっていなかった。

 

 麗日さんは油断から相手に発見された点を指摘されていた。実戦であればそれは自分だけでなく仲間をも危険に晒しかねない、と八百万さんは評していた。

 

 そしてかっちゃんも『連携を無視した独断専行、核兵器があるにも関わらず拠点ごと破壊しそうな威力を秘めた篭手の爆撃砲を躊躇なく使用したことは目に余る』と自身の行動の結果とは言え、散々な言われようだった。

 そっと視線を向けると、かなり追い詰められた表情で何も聞こえていないようだった。

 

「もしかして思ってたこと全部言われちゃってます?」

「そんなことはないぞぅ! うん、正解だ!八百万少女は良い観察眼を持っているね!」

「常に下学上達、一意専心に学ばなければヒーローにはなれませんので」

 

 八百万さんは特に喜ぶ様子もなく、クールに締めた。

 

「では次の組み合わせに行くとしよう!みんなもこの講評を参考にして訓練に臨むようにな!」

「尾白さん、葉隠さん、頑張ってくださいね!」

「了解」

「ありがとー!頑張るよ!」

 

 オールマイトの指示に従い、次に訓練に臨む尾白君達が移動を開始する。

 

「轟さん、障子さんもファイトですよー!」

「……」

「うむ、行ってくる」

 

 物静かな印象のある轟君と障子君。轟君は八百万さんと同じ推薦入学者、きっとどんな状況でも感情に振り回されることもないのだろう。

 

「『ちょっとしたことで動揺してしまいがちな僕としては見習わないと』とか考えてます?」

「はい……僕もかっちゃんに対して感情的になっていたと思いま……す?」

 

 ……なぜさっきから聞き覚えのある、と言うか毎日聞いている声がするんだろう?

 

「まぁ、そう落ち込まないで! 元気だして下さい、出久さん!」

 

 ……何故、手本にした生物と同じ羽音を発しながら飛行するお目付け役の兄弟子がいるのだろう?

 

「……ば、バエさん!? なんでいるんですか!?」

 

 師匠(マスター)が今よりもまだ未熟だった頃の僕が『間違った道に進まないように』と引き合わせてくれた兄弟子がバエさんだった。

 とある戦いで禁断の激技を使い、その技が不完全だったせいで今の姿になってしまった巨大戦の実況に命を燃やすことを信条としている。

 そんな部外者であるハズの彼がなぜ雄英高校(ここ)にいるのか。

 

「まぁ、それはまた後で説明します。それより尾白さん達の訓練が始まってしまいますよ?」

「あ、はい……」

 

 僕の肩に止まるバエさんに良いように誤魔化されたような気がするけど、クラスメイトの個性や戦い方について知れる折角の機会。しっかりと学ぶため、僕は視線と思考をモニターに向けた。

 

 ----------。

 

「圧倒的過ぎる……」

 

 春だと言うのに吐息が白い。

 続く第二戦目は尾白君と葉隠さんのIチームがヴィラン、轟君と障子君のBチームがヒーローという組合せだったのだが、轟君が個性でビルごとヴィラン二名と核兵器を凍結させ、そのまま制圧すると言う完封勝利だった。

 その訓練は轟君のレベルの高さを知ることが出来たが、尾白君達の力を知ることは次の機会に持ち越しとなってしまったのは残念だった。

 

「へっくち!」

 

 可愛いくしゃみ、その主はチームを組んだ隣の麗日さんのモノだった。轟君の氷結は地下のモニタールームにまでその冷気が流れ、皆が寒さに震えていた。

 

「あ、あの、麗日さん!こ、これ、良かったらつ、使ってくださぃぃ……」

「え、でも、それだとデク君が寒くなってまうよ?」

「ぼ、僕は大丈夫! ちょっと汗臭いかもだけど……」

「ううん! ありがとう!じゃあ、お言葉に甘えて借りるね!……おー、ぬくいー♪」

「そ、それは良かった、デス……」

 

 自分で渡しておいて何だが、僕が差し出したカンフージャケットを羽織るのでなく、完全に着込んだ麗日さんはほにゃりと笑った。そんな麗日さんに何故か顔から火でも吹き出るのではないかと思うほど熱くなった。

 

 その後、モニタールームに戻って来た葉隠さんが訓練前には着ていなかった道着風の上着を着ていた。不意に上着の持ち主(尾白君)と目が合うと、互いに苦笑した。

 

 

 その間も訓練は続き、全員がその個性を活用した行動は非常に勉強になった。

 

 Cチームの峰田君&八百万さんvsHチームの蛙吹さん&常闇君。八百万さんの《創造》によってバリケードを構築している間、何かを凝視している峰田君は女子の顰蹙を買っていた。

 常闇君の《黒影(ダークシャドウ)》は攻防バランスの取れた個性で、蛙吹さんのサポートも光っていた。

 

 Eチームの芦戸さん&青山君vsGチームの上鳴君&耳郎さん。

 芦戸さんの個性である『酸』で青山君のマントが溶けてしまうアクシデントが起こるも、耳郎さんの『イヤホンジャック』による索敵で即座に核兵器と相手の居場所を把握。攻撃にも転用出来る汎用性の高さは注目するべきだろう。

 ただ戦闘終了後に上鳴君の様子がおかしかったのは《帯電》の個性が関係しているのだろうか?

 

 Jチームの瀬呂君&切島君vs Fチームの口田君&砂藤君。

 瀬呂君の《テープ》による防衛網と切島君の《硬化》は防御に徹底されると非常に厳しい。屋内で拠点防衛を主眼とするなら二人の組み合わせは抜群だった。

 対して口田君の《生き物ボイス》は生物を操れる強い個性だけど、市街地で屋内となると近くに動物が少ないことから苦戦を強いられていた。砂藤君の《シュガードープ》これは短期決戦に特化しているようで、長期戦になりやすい防衛戦を展開する今回の訓練では相手も含めて相性は最悪だったと言わざるを得ないだろう。

 

 そして全訓練と講評が終了した。

 

「よし、以上で今日の授業は終了だ!みんなお疲れさんだったね!全員大したケガもなかったし、初めての実戦訓練にしちゃあ上出来だったぞ!!」

 

 オールマイトの労いの言葉に思わず拍子抜けしてしまう。昨日の相澤先生のようなのが基本(デフォルト)と考えていたので、余計にそう感じてしまう。

 僕たちのそんな空気を察したのか、さすがのオールマイトもリアクションに困っていた。

 

「相澤君、一体何を……ま、まぁ、雄英(ここ)は『自由な校風』が売りだからね!教師の個性的な授業も自由ということさ! じゃ、着替えて教室に戻ってくれたまえ!では!」

 

 ビシッ!と手を挙げ、オールマイトはダッシュでその場を走り去って行った。

 

 ……気のせいだろうか、オールマイトの身体から煙のようなモノが上っていたように見えた。

 それは風船から抜ける空気のように、オールマイトの『ナニカ』が徐々に弱まっているような奇妙な感覚。それは()()()のように僕の胸の中に残り、消えることがなかった。

 

 ----------。

 

 着替えを終えて教室に戻った僕は切島君や芦戸さん、青山君達に囲まれ、訓練での動きを誉められたり、自己紹介を受けていた。獣拳のことを聞かれなかったので不思議に思っていると、僕がかっちゃんと戦っている間に尾白君とバエさんが説明してくれていたらしい。

 そのバエさんはと言うと、一年前にデビューして以来すっかりファンになってしまったプロヒーロー・Mtレディがヴィランと戦闘中との速報を見て文字どおり飛んで行ってしまった。

 

 なぜいたのかを聞きたかったけれど、それよりも大事なのは切島君達がこれから今日の授業の反省会をすると言う。なんとそこに僕も誘ってくれた!

 喜んで参加を表明して、ふと教室を見回すとかっちゃんの姿が見えないことに気付いた。

 

「切島君、かっちゃん知らない?」

「あぁ、爆豪だよな? アイツも反省会に誘ったんだけど、さっさと出て行っちまったんだ」

 

 切島君にお礼を言うと、僕はかっちゃんを追いかけた。

 

「かっちゃん!!」

「……アァ?」

 

 昇降口を出たところでなんとか追いついたが、呼び止めた僕を肩越しに睨みつける目力に思わず腰が引けてしまう。

 

「僕は本当に木偶の坊だった……けど、とても偉大な師匠(マスター)に出会って、獣拳を教えて貰うことが出来て、今の僕があるんだ! 今回は僕が勝った……でも、かっちゃんを超えたなんて到底思えない!君はまだ僕にとって上の存在なんだ!!」

 

 バカにしてきて見下して、『夢』を散々笑われて、いつしか『嫌なヤツ』と苦手意識を持ってしまった相手。

 

 何でもできて、優秀な個性を持ったスゴイヤツ。幼い頃は憧れ、目標にしていた相手。

 

 それが僕にとっての爆豪勝己という人間への評価だ。

 

「今日、僕が勝てたのはかっちゃんの中での『緑谷出久(ぼく)』という存在が幼い頃から変わっていない『泣き虫で何もできない木偶の坊のクソナード』のままだったからだ!」

 

 『余裕で、片手で捻り潰せる石ころだ』と油断し、本気の10分の1すら出していなかった。故に勝てた。

 

 もし最初から油断せず、本気でかかられていたら? 敗北に涙していたのは僕の方だったかも知れない。

 

「……何が言いてぇのかわかり辛ェんだよ!! ……今日、テメェに負けたのは事実だろうが! 半分野郎にも勝てないかも知れねぇ、って一瞬思っちまった……。ポニーテールの奴の意見にも納得しちまった! ……クソッ!!」

 

 「でもな」と、僕の方に振り返ったかっちゃんは涙を浮かべていた。それでもそのギラギラと光る目から力は失われていない。

 

「いいか、デク! ……ここからだ! 俺はここから……俺は雄英(ここ)で一番になってやる!! もう二度と!テメェにも負けねぇからな!! クソが!!」

 

 かっちゃんなりのけじめの言葉と決意。その力強い宣言の後、再び僕に背を向けて歩き出した。

 

「僕だって負けるつもりはないよ! ……憧れた君に認めて欲しいから!」

 

 僕の宣言に何の反応も示さないかっちゃん。そんな時……、

 

「いたァーーーーーッ! 爆豪少年!!」

 

 突風のように駆けてきたオールマイトがかっちゃんの肩を掴んだ。

 

「自尊心ってのは大事なモンだ! 君は間違いなくプロになれる器を持っている! 君はまだまだこれからだか「離してくれ、オールマイト……歩けねぇ……」……あ、はい」

 

 「あ、はい」て。

 

「……言われなくても解ってる……、俺は!アンタをも超えるヒーローになってやる!」

「あれー? ……あ、うん……すでに立ち直ってたのね……」

 

 激励に来たハズのオールマイト。しかしタイミングが悪かった、と言うしかない。

 

「……教師って難しいね!」

 

 その声はどこか自分を鼓舞しているようだった。

 




~バエの獣拳(?)アカデミー~

プレゼント・マイク「麗日お茶子!個性は《無重力(ゼロ・グラビティ)》!五本の指先についた肉球で触れたモノを無重力状態にして浮かせることが出来る!許容量は約3t!許容量を越えて浮かせ続けたり、自分を浮かび上がらせると平衡感覚がイカれてゲロっちまうぜ!」
バエ「入試の時に出久さんを助けてくれたことから始まり、同じクラスになったり、今回の訓練でもコンビを組むなどなにかと縁がありますね!」
出久「ときどきスッゴく近いので心臓に悪いです……」
マイク「イチャつくのは構わねぇが、本質を見失うんじゃねぇぜ!」
出久「い、イチャちゅくってなんですか!?」
バエ「出久さんにも春が来たんでしょうかねぇ……」
出久「バエさんまで!?」

マイク「そういや、相澤っちがオマエらに何やら決めさせるみてぇだぜ!」
出久「そうなんですか? 二回目のヒーロー基礎学の授業の内容も気になります!」
バエ「そして出久さん達に迫る不穏な影!どうなる次回!」

マイク「さらに向こうへ!」
マイク&バエ&出久「「「Puls Ultra!!!」」」

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